新河岸川

新河岸川
水系 一級水系 荒川
種別 一級河川
延長 34.6[1] km
平均流量 530[1] m3/s
流域面積 389.91[1] km2
水源 武蔵野台地北部
河口・合流先 隅田川岩淵水門付近)
流域 埼玉県東京都
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新河岸川(しんがしがわ、しんがしかわ[2])は、埼玉県及び東京都を流れる一級河川荒川水系隅田川の支流[3]である。

地理

新河岸川の起点標石

武蔵野台地北部に降った雨を集めた伏流水入間川(笹井堰)からの水田用水を水源とする赤間川が、埼玉県川越市上野田町の八幡橋付近で新河岸川と名前を変え、起点となる[4]。川越の市街地の北側を回り込むように流れた(ここは途中の田谷橋まではかつての赤間川である)後で、川越市大字砂付近で不老川、川越市大字南田島付近で九十川と、次々に流れ込む支流を合わせながら荒川の西岸沿いを流れて、東京都北区岩淵水門先で隅田川に合流する[5]。上流から川越市ふじみ野市富士見市志木市朝霞市和光市板橋区北区を流れる。

歴史

元は川越市伊佐沼が源流で、現在の大和町(現在の和光市)新倉・朝霞水門付近で旧入間川(現在の荒川)へ合流していた河川だった。荒川と並行しており、荒川が「外川」と呼ばれたのに対し、当川は「内川」と呼ばれた。

新河岸川の舟遊び (川越市)

江戸時代川越藩松平信綱[6]、「九十九曲り」と言われる多数の屈曲を持たせ流量を安定化させる改修工事を実施し、江戸川越とを結ぶ舟運ルートとした。これ以降、沿岸には新たに川越五河岸をはじめとした河岸場が作られ、川の名も「新河岸川」と呼ばれるようになった。舟運は特に江戸時代末期から明治時代初めにかけて隆盛した。

客を乗せる早舟は、川越夜舟とも呼ばれ、川越城下を午後3時に発って一晩かかって翌朝8時に千住、昼前には花川戸へ着いた。物資の輸送としては並舟と飛切(とびきり)があった。並舟は川越ー江戸の往復を7〜8日で行った不定期船。飛切は今日下って翌日上るという特急であった。船は喫水が浅い平田舟で、明治・大正期にはニブネと呼ばれていた。積載量は70石から80石、長さ15メートルくらいのものが多かった。

明治時代川越鉄道(現在の西武新宿線)や川越馬車鉄道(のちの西武大宮線、廃止)、大正時代にはほぼルートを同じくする東上鉄道(現在の東武東上本線)が開業した結果、舟運は衰退していった。

1910年(明治43年)以降の荒川本流の直線化工事により、その南側の湾曲部は本流から分離された。新河岸川は、荒川の南側の湾曲部および分流を繋ぎながら東へ掘削され、現在の岩淵水門の先で荒川(現在は隅田川)へ合流する形となった[7]

合わせて、1920年(大正9年)〜1931年(昭和6年)に川越市街地の北側を流れ、伊佐沼に流入していた赤間川に新河岸川は繋げられた(現在の田谷橋付近から田島橋付近まで開削、伊佐沼から流れ出る旧新河岸川部分は現在は九十川という)。

さらに昭和に入ると志木より上流の旧河川も洪水防止のため河川改修工事が行われた。その結果河道が直線化されて流量が保てなくなり、また1931年に埼玉県から通船停止令が出たことにより[8][9]、船の運航を取り止め舟運の時代は終わりを告げた。

ふじみ野市に於いて新河岸川の舟運で栄えた船問屋を修理、復元した福岡河岸記念館が一般公開されている。

水害を防ぐために下流の朝霞市に1980年度から2008年度の工期で朝霞調節池が建設された。あわせて、新河岸川放水路、びん沼川を経て1986年に完成した南畑排水機場で荒川に放水する[10]

旧新河岸川

複数の旧流路跡が現在も埋め立てられず残っている。

特にふじみ野市と富士見市との境(湯殿の渡しのある地域)、および、富士見市と志木市との境(前河岸跡のある地域)を流れる部分は旧新河岸川と呼ばれている。

環境

産業廃棄物の不法投棄
1988年(昭和63年)12月、埼玉県朝霞市上内間木地内河川敷において河川改修事業に伴う築堤のための掘削工事中に、1970年(昭和45年)頃に不法投棄された産業廃棄物が発見された。推定10,000m3以上の廃棄物にはPCB等の有害物質が含まれていたため、管轄する埼玉県が鉛直遮水壁の打ち込みや遮水シートで覆うなど、封じ込めのための応急措置を施した。2009年(平成21年)には、学識者などからなる技術検討委員会を立ち上げ、無害化のための具体的な工法の検討を行っている[11]

支流

新河岸川放水路 (富士見市

上流から

橋梁

下流から

東北本線の新河岸川橋梁 (北区赤羽
舟渡大橋 (板橋区舟渡
新河岸川水循環センター(幸魂大橋直下)
いろは橋と志木市役所
養老橋より下流を撮影

この川に接している地域

下流から 

高島平6丁目にて

沿岸の主な施設

上流から

新河岸川舟運

河岸場

荒川・新河岸川の河岸場

下流から

  • 日本橋・箱崎町
  • 浅草・花川戸
  • 千住大橋
  • 戸田河岸
  • 芝宮河岸

以下、埼玉県

  • 新倉河岸
  • 井口河岸
  • 根岸河岸
  • 台河岸
  • 浜崎河岸(お台場河岸ともいう)
  • 宮戸河岸
  • 引又河岸(志木河岸ともいう)
  • 宗岡河岸(引又河岸の対岸)
  • 前河岸
  • 山下河岸(水子河岸ともいう)
  • 鶉河岸(鶴馬河岸ともいう)
  • 本河岸
  • 蛇木河岸(上南畑河岸ともいう)
  • 伊佐島河岸(勝瀬河岸ともいう)
  • 百目木河岸
  • 古市河岸
  • 福岡河岸(古市河岸の対岸)
  • 寺尾河岸 (川越五河岸の一つ)
  • 下新河岸 (川越五河岸の一つ)
  • 牛子河岸(上下新河岸の対岸) (川越五河岸の一つ)
  • 上新河岸 (川越五河岸の一つ)
  • 扇河岸 (川越五河岸の一つ)
  • 仙波河岸

対岸への渡し舟場

下流から

  • 渡し(現在の和光市
  • 権八渡し
  • 乗越の渡し
  • 山下の渡し
  • 木染の渡し
  • 竹の内の渡し
  • 蛇木の渡し
  • 湯殿の渡し
  • 下手の渡し
  • 花の木の渡し
  • 滝の渡し
  • 木の目の渡し(現在の川越市

脚注

  1. ^ a b c 荒川水系 新河岸川ブロック河川整備計画(附図)(県管理区間) (PDF) 付図1-4、埼玉県、2008年2月、2015年12月31日閲覧。
  2. ^ 国土交通省荒川上流河川事務所および埼玉県内雨量・水位情報HPでは「しんがしがわ」、埼玉県公式ウェブサイト「公共用水域の水質測定結果について」では「しんがしかわ」と読み仮名を振っている。
  3. ^ 国土交通省荒川上流河川事務所の新河岸川朝霞調節池建設事業のページ
  4. ^ 新河岸川の成り立ち - ハイフィネス・ジャパン株式会社、2016年6月16日閲覧。
  5. ^ 国土地理院 地図閲覧サービス(試験公開)による2万5千分1地形図:赤羽[南東] : 西方から荒川に沿って流れてくる川が新河岸川
  6. ^ 斎藤貞夫『川越舟運=江戸と小江戸を結んで三百年』さきたま出版会、1982年6月、p18。
  7. ^ 流路変遷にまつわる荒川七ふしぎ” (PDF). 国土交通省 関東地方整備局 (2008年11月12日). 2013年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月4日閲覧。
  8. ^ 「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 埼玉県』角川書店、1980年、486頁。ISBN 978-4040011103 
  9. ^ 新河岸川広域景観プロジェクト便vol.2” (PDF). 埼玉県. p. 2 (2008年9月1日). 2018年2月4日閲覧。
  10. ^ 南畑排水機場 - 国土交通省関東地方整備局
  11. ^ 新河岸川産業廃棄物処理対策 Archived 2014年8月13日, at the Wayback Machine. 埼玉県
  12. ^ 浮間水再生センター連絡橋。歩行者と自転車に開放
  13. ^ “内間木橋通行止めのお知らせ” (PDF). 広報あさか (朝霞市役所): p. 17. (2020年6月1日). https://www.city.asaka.lg.jp/uploaded/attachment/62647.pdf 2020年6月14日閲覧。 

関連項目

外部リンク