国際女性デー 正式名称
International Women's Day 挙行者
全世界 種類
国際デー 日付
3月8日 関連祝日
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女性参政権獲得を訴える国際女性デーのポスター(1914年 (ドイツ語) )[ 注 1] 。第一次世界大戦 直前のドイツでは掲出禁止[ 2] 。
国際女性デー (こくさいじょせいデー、英 : International Women's Day )は、女性の地位向上、女性差別の払拭等を目指す国際的な連帯と統一行動の日。毎年3月8日 にあり、国際デー に制定されている。
国際婦人の日 (こくさいふじんのひ)[ 3] [ 4] 、国際婦人デー (こくさいふじんデー)[ 5] 、国際女性の日 [ 6] (こくさいじょせいのひ)などとも呼ばれる。
なお、国連が定める国際ガールズ・デー は10月11日である。
概要
1908年 2月28日 、アメリカ合衆国 ニューヨーク でのストライキで女性が労働条件の改善を訴えた[ 7] 。アメリカ社会党 はこれを記念し[ 7] 、1909年2月28日(2月の最終日曜日)、米国で初めて「全米女性の日 (英語版 ) 」の記念行事が開催された[ 7] [ 8] 。
1910年 にデンマーク のコペンハーゲン で行なわれた国際社会主義女性会議 (英語版 ) で[ 7] ドイツ の社会主義 者クララ・ツェトキン が「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日として「国際女性デー」を提唱し、多数の賛同を得て採択された[ 8] [ 注 2] 。この時点では、具体的な月日は定められなかった[ 7] 。1911年3月19日、オーストリア、デンマーク、ドイツ、スイスで初の「国際女性デー」記念行事が行われた[ 7] 。1913年、ロシアの女性は2月の最終日曜日に「国際女性デー」の記念行事を開催した[ 7] 。
国際女性デーにちなむ最大の事件は、第一次世界大戦 中の1917年 にロシア帝国 で起こった二月革命 であろう。国際女性デー(当時ロシアで使われていたユリウス暦 では2月23日、グレゴリオ暦 で3月8日にあたる)に首都ペトログラード で行われた女性労働者を中心としたデモは、男性労働者、更には兵士を巻き込んだ大規模な蜂起となり、最終的には帝政 を崩壊に追い込んだ。その後、1960年代に国際的な女性運動 で取り上げられるようになるまでは、主に社会主義運動内や共産主義国家 で祝われていた。
国連 は1975年 の国際婦人年 に3月8日を「国際女性デー」と定め[ 7] 、1977年には国連総会で「国際女性デー」が決議された[ 8] 。現在は国際連合事務総長 が女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対し呼びかける日となっている。2000年 には、国連人権高等弁務官 のメアリー・ロビンソン (Mary Robinson、アイルランド 初の女性大統領)が21世紀に向けて「女性が権利の獲得に向けたこれまでの歩みを祝うと同時に、女性被害者は、いまだに跡を絶たないことを想起する日」であると言明する文書を発表した。イタリア では女性が互いにミモザ(ギンヨウアカシア - Acacia baileyana の花を贈り合い(もともと男性が女性に贈る習慣がある)、この季節を迎えると街中にミモザの花がみられる。
フランス では、1981年 にミッテラン 政権下で女性権利大臣 に任命されたイヴェット・ルーディ が、大統領にフランスで正式に「国際女性デー」を定めるよう提案し、ミッテランはこれを受けて、1982年 3月8日、国際女性デーを祝う大規模な式典を開催し、女性の「主体性、平等、尊厳」の尊重を求める演説をした[ 11] 。
アメリカ合衆国などは、国際女性デーを含む3月を女性史月間 としている[ 12] 。
国連は2010年7月2日の国連総会 で「女性に関わる国連の活動と組織改訂」について決議、4機関を統合し「男女平等と女性のエンパワーメント のための国連機関」(UNウィメン )を設立している[ 注 3] 。この機関はそれまで独自の活動をしてきた4機関、すなわち、国連婦人開発基金 (UNIFEM[ 注 4] )、国連ジェンダー問題特別顧問事務所(OSAGI[ 注 5] )、国連経済社会局女性の地位向上部(DAW[ 注 6] )、国際婦人調査訓練研修所 (英語版 ) (INSTRAW[ 注 7] )が一組織にまとまって、2011年1月1日より活動を開始した。さらに各国の状況に合わせてUNウィメンの活動を進めるため、1ヶ国につき国内委員会 (National Committee) を一団体に認めた。
UNウィメンの国内委員会は民間団体。以下、設置している14ヶ国一覧(2016年現在)。
新型コロナ・ウィルスが猛威を振るうことになった2020年、感染拡大を危惧して中止されたイベントもあったが、世界各地で国際女性デーを祝うイベントが多数開催されたのも、また事実である。スペインのDiario 16 (スペイン語版 ) 紙は、「男性優位主義はコロナウイルスより多くの人間を殺す」[ 14] の見出しで、女性のエンパワーメントの必要性を強調している。
各国の状況
公式な祝日として制定する国
祝日ではないが幅広く認知されている国
公式の祝日
女性限定の祝日
非公式の祝日
近年では、男性が生活の中で関わる女性(友人、母親、妻、恋人、娘、同僚など)に花や小さな贈り物を贈るのが通例となっている。また、ブルガリアやルーマニアなどの国では、子どもたちが母親や祖母に小さなプレゼントを贈る、母の日と同等の記念日と認識されている[ 36] 。ロシアでは、記念日に対する政治的な意味合いはほとんどなくなり、単に女性や女性の美を尊重する日になっている[ 40] 。
日本
日本では1923年 3月8日 、社会主義フェミニスト 団体赤瀾会 が初の集会を開催。総理府 は中川善之助 議長のもと1972年6月22日、女性の地位向上の施策を政府に提言する目的で婦人に関する諸問題調査会議を設置し2年間にわたり調査を行うと、1974年3月29日に『現代日本の女性の意識と行動』[ 41] を発表する[ 42] [ 43] 。
1975年 (国際婦人年)の3月8日以来、国連 がこの日を「国際婦人デー」と定めるとこれにちなみ同年6月13日、女性問題の集中審議が衆議院 社会労働委員会で初めて行われ、6月17日に衆議院で、翌18日には参議院 で「国際婦人年にあたり婦人の社会的地位向上をはかる決議」を採択。11月には「国際婦人年記念日本婦人問題会議」(労働省 、総理府、日本国際連合 共催)を開き、会議後、解散した実行委員会に代わって市川房枝 、大羽綾子 、中村紀伊らが決議の実現を目指す国際婦人年連絡会を結成する[ 42] 。
1992年11月に「ユニフェム国内委員会」が設立(世界で13番目)[ 44] 。大きな活動のひとつが会員、個人、企業、団体等の賛同により、ユニフェムを支える民間の寄付金の窓口として募金を預かりユニフェム本部に送ることであった。その募金は主にユニフェムがアジアで進めるプロジェクトに提供されたのである[ 45] 。
なお「ユニフェム国内委員会」の設立10周年を迎えた2003年6月には、来賓に緒方貞子 元国連難民高等弁務官と当時のユニフェム事務局長ノエリーン・ヘイザー (英語版 ) [ 46] を迎えてシンポジウムを開いた[ 注 8] 。UN Women 設立に伴ってNGO 国際婦人年連絡会 (International Women's Year Liaison Group)[ 48] 、公益財団法人アジア女性交流・研究フォーラム[ 49] 、財団法人横浜市女性協会(現・公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会)[ 50] の国内の3団体を中心に日本国内委員会を設けると、 2011年3月に UN Women 承認の民間団体「UN Women 日本国内委員会」と名称を定め中村道子が会長に就任する。
2013年11月に団体名を「国連ウィメン日本協会」と改称し国連に関わる団体だとわかりやすくすると、前身より継承した趣旨にそって「ジェンダーと女性のエンパワーメントのための国連機関」の理念を日本の社会に広めること、さらに関係機関や民間企業に活動の支援を働きかけ、社会に募金活動を担ってきた。また、ユニフェム日本国内委員会(1992年 - 2010年)から募った「支援プロジェクト」活動資金は、後継の UN Women 日本国内委員会(2011年 - 2012年)ならびに国連ウィメン日本協会(2013年 - )を受け皿とし、日本政府からプロジェクト単位で拠出金を得ている。
支援プロジェクトに当てる活動支援の拠出金は、2015年度を例にとると総額486万2399円(時価4万1478.22ドル相当)である[ 注 9] 。歴代の「支援プロジェクト」は主にアジア各地域を対象に時事によって対象が選ばれており、1990年代はカンボジア (インドシナ難民 )と、インド ・フィリピン ・モンゴル の女性の社会進出に当てられた。2000年代はラオス ・カンボジア・アフガニスタン ・パキスタン の女性の社会進出と東ティモール をふくむ全域の女性差別 ・暴力撤廃に、スマトラ島沖地震 津波について災害復興に、またアジア地域外のボスニア・ヘルツェゴビナ では暴力抑制と対話における女性の役割を支えている[ 注 9] 。2010年代に入ると HIV 関連プロジェクト(2000年代から継続)、難民の定住に合わせた持続的に収入を得る工芸品の製作・販路開拓、全域の女子差別と暴力撤廃(継続)、ネパール大地震 では女性・少女への緊急支援などの活動に用いられたのである[ 注 9] 。
寄付者は2008年6月「特定非営利活動法人 」化(認定 NPO 法人)により一定の税金の控除 が受けられる[ 注 10] 。
2017年 、朝日新聞 が協賛特集記事「Dear Girls」の展開を始めた。
毎日新聞では2020年 から国際女性デー企画として「声をつないで」の連載を続けている[ 52] 。2022年3月にはオンラインイベント「国際女性デーだよ!全員集合」を開催した[ 53] 。
2022年から日本放送協会 (NHK)と在京民放キー5局 (日本テレビ ・テレビ朝日 ・TBSテレビ ・テレビ東京 ・フジテレビ )、東京メトロポリタンテレビジョン (TOKYO MX)が共同で啓発キャンペーン「# 国際女性デーだから」[ 注 11] を実施している[ 54] [ 55] [ 56] 。
旧ソ連諸国
初期のソビエト連邦 においては、国際女性デーは前述のように二月革命 記念日でもあり、政治的・革命的な日であった。この頃の国際女性デーのポスターには、女性の(主に家事労働 からの)解放を訴えるスローガンが書かれていた。
1966年 、国際女性デーはソ連で祝日(休暇日)となった。しかし、国際女性デーに本来そなわっていた政治性は失われ、単に女性の美しさや母性を讃えるだけの日になっていった。国際女性デーのポスターからもスローガンは消え、女性の美しさを抽象的に表すものになった。
現在の多くの旧ソ連諸国(CIS 諸国、バルト三国 など)においても、国際女性デーは政治的な行事のない、女性の祭日となっている(ジョージアの祝日 も参照)。この日、男性は女性に春の花束やプレゼントをあげるという習慣があるが、女性がお互いにプレゼントをあげることも多い。前の日、普通女性、時々男性も、会社や大学で国際女性デーを祝う。この日、ロシアやウクライナ 、ベラルーシ 等の市場では「花束」が大量に売られる。まだ寒いこの時期に仕入れられる花卉は高価であるが、男性たちはこのときばかりは財布をはたいて花を買い求める日になっている。
ギンヨウアカシア
ロシア各地でソ連時代から登用されてきた女性軍人が道ゆく女性たちに花を配る日にもなっている。
国際連合の公式テーマ
年
UNテーマ[ 57]
1996
Celebrating the Past, Planning for the Future
1997
Women and the Peace Table
1998
Women and Human Rights
1999
World Free of Violence Against Women
2000
Women Uniting for Peace
2001
Women and Peace: Women Managing Conflicts
2002
Afghan Women Today: Realities and Opportunities
2003
Gender Equality and the Millennium Development Goals
2004
Women and HIV/AIDS
2005
Gender Equality Beyond 2005; Building a More Secure Future
2006
Women in Decision-making
2007
Ending Impunity for Violence Against Women and Girls
2008
Investing in Women and Girls
2009
Women and Men United to End Violence Against Women and Girls
2010
Equal Rights, Equal Opportunities: Progress for All
2011
Equal Access to Education, Training, and Science and Technology: Pathway to Decent Work for Women
2012
Empower Rural Women, End Poverty and Hunger
2013
A Promise is a Promise: Time for Action to End Violence Against Women
2014
Equality for Women is Progress for All
2015
Empowering Women, Empowering Humanity: Picture it!
2016
Planet 50-50 by 2030: Step It Up for Gender Equality
2017
Women in the Changing World of Work: Planet 50-50 by 2030
2018
Time is Now: Rural and urban activists transforming women's lives
2019
Think Equal, Build Smart, Innovate for Change
2020
"I am Generation Equality: Realizing Women’s Rights ”
2021
"Women in leadership: Achieving an equal future in a COVID-19 world"
2022
"Gender equality today for a sustainable tomorrow"[ 58]
2023
DigitALL: Innovation and technology for gender equality[ 59] ジェンダー平等のためのイノベーション とテクノロジー[ 60]
2024
"Invest in women: Accelerate progress"
ギャラリー
女性を祝うその他の祝日
国別
世界
脚注
注釈
^ English : "Give Us Women's Suffrage. Women's Day, March 8, 1914. Until now, prejudice and reactionary attitudes have denied full civic rights to women, who as, mothers, and citizens wholly fulfill their duty, who must pay their taxes to the state as well as the municipality. Fighting for this natural human right must be the firm, unwavering intention of every woman, every female worker. In this, no pause for rest, no respite is allowed. Come all, you women and girls, to the 9th public women's assembly on Sunday, March 8, 1914, at 3 pm."[ 1]
^ 周辺情報として、1960年の国際婦人会議(於:コペンハーゲン)は国際婦人デー50周年を期して開かれた[ 10] [ 5] 。
^ 正式名称 U nited N ations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women 。UNウィメン設立の国連決議を受け、その運営と統治は国連総会、経済社会理事会およびUNウィメン執行理事会により、政策規範の決定の支援と助言、事業活動の制定ならびに助言を受けて進めている[ 13] 。
^ Fonds de développement des Nations unies pour la femme
^ Office of the Special Adviser on Gender Issues
^ Division for the Advancement of Women
^ United Nations International Research and Training Institute for the Advancement of Women
^ シンポジウムの講演・発表をまとめた内容。「私の仕事—難民と歩んだ一〇年」(緒方貞子)および「開発と女性 : ジェンダー平等、開発、平和のために」(ノエリーン・ヘイザー、ラヘラ・ハシム・シディキ、木山啓子、横田洋三 、田中由美子、有馬真喜子 〔述〕)[要ページ番号 ]
^ a b c 主にアジア各地域で行われた歴代の「支援プロジェクト」は国連ウィメン日本協会のページ[ 51] から「歴代支援先一覧.pdf」をダウンロードして参照。
^ 「認定 NPO 法人」は2015年1月29日に更新。これは初回より3回目の更新であり、次回更新は2020年1月28日[ 44] 。
^ 2023年までは「#自分のカラダだから」との名称で実施。
出典
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参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
国際女性デー に関連するカテゴリがあります。
外部リンク