伊勢車両区(いせしゃりょうく)は、三重県伊勢市吹上一丁目1-89にあった東海旅客鉄道(JR東海)の車両基地である。参宮線伊勢市駅構内に位置し[1]、東海鉄道事業本部が管轄していた。
参宮線開業以来の歴史を持つ車両基地であるが、国鉄分割民営化の時に亀山機関区(現・亀山鉄道部)への統合・廃止も検討されていた。[要出典]しかし、民営化に当たっては関西本線の非電化区間および亀山機関区が西日本旅客鉄道(JR西日本)の管轄となり、JR東海に三重県内非電化区間の運行拠点を確保する必要があったため、存続することとなった[1]。その後気動車の点検体制を見直すため、2016年(平成28年)3月31日をもって廃止され[3]、名古屋車両区と美濃太田車両区に統合された[2][4]。
歴史
配置車両の車体に記される略号
「海イセ」…東海鉄道事業本部を意味する「海」と、伊勢を意味する「イセ」から構成される[1]。
配置車両
以下は、2015年4月1日現在の配置車両である[8]。中日新聞の報道によれば、2016年(平成28年)3月31日の廃止直前の担当車両数は44両であった[3]。
気動車
- キハ11形
- 1988年に0番台10両(1 - 10)が、1999年に300番台6両(301- 306)が新製配置された。のちに100番台6両(107 - 112)が、2015年3月14日にはさらに3両(101・104・105)が美濃太田車両区より転入している。
- トイレ付きの300番台4両(303-306)のみが名古屋車両区に転属し、2017年4月現在名松線での運用を続けている。
- かつては紀勢本線(亀山 - 多気間)、参宮線でも旅客運用されていた。2015年7月までは新宮までの運用があったが、キハ25形に置き換えられ消滅した。
- 各番台ともワンマン運転に対応している。
- 2007年の落石事故によりキハ11-9が車籍抹消。残りの0・100番台は2015年7月までに全て運用を離脱し、全てミャンマー鉄道省に譲渡された。
- 301・302はそれぞれ2015年9月11日・2016年3月11日付で除籍された。現在はJR東海交通事業によって購入され城北線で運用されている。
- キハ40形・キハ48形
- 2015年4月1日現在、キハ40形は3000番台5両、3300番台1両、6300番台1両の計7両が配置されていた。
- 2015年4月1日現在、キハ48形は3800番台2両、5000番台1両、5300番台2両、5500番台1両、5800番台4両、6000番台1両、6300番台1両、6500番台1両、6800番台7両の計20両が配置されていた。
- 下3桁が300および800番台のものは、ワンマン運転に対応している。
- 2016年3月25日までに全車が運用を離脱した。
過去の配置車両
- キハ30形気動車
- 定期運用は国鉄時代に終了したが、保存車としてキハ30 51が配置されていた。現車は美濃太田車両区に留置されていたが、2008年3月31日付で廃車された。
- キハ28形・キハ58形気動車
- 2001年まで配置されていた。車籍がなくなった後も車両は引き続き美濃太田車両区に留置されている。
かつては機関区であったため、C51形やC57形などの蒸気機関車も配置されていた。
特徴
担当車両44両、従業員28人の小規模な車両区であり、気動車の点検・修繕にあたった[3]。熊野大花火大会の際には、区所属の社員が現地へ赴き、乗客の誘導も行っていた[3]。
脚注
- ^ a b c d e f g h i j 朝日新聞出版 (2013) - 17ページ
- ^ a b c 大島康介 (2016年3月19日). “電化の波、118年に幕 JRの伊勢車両区”. 中日新聞. 2016年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 大島康介「地域住民と交流 思い出 伊勢車両区長 振り返る きょう廃止 惜しむ声も」中日新聞2016年3月31日付朝刊、伊勢志摩版16ページ
- ^ “『業務ニュース名古屋』 No.253”. JR東海労働組合名古屋地方本部 (2014年12月19日). 2016年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月4日閲覧。
- ^ 平賀 (2013) - 13ページ
- ^ 『鉄道ジャーナル』第21巻第12号、鉄道ジャーナル社、1987年10月、60頁。
- ^ “駅管理体制見直し”. 交通新聞 (交通新聞社). (2001年4月1日)
- ^ 交友社『鉄道ファン』 2015年7月号「JR旅客会社の車両配置表」
参考文献
- 『週刊JR全駅・全車両基地 No.45』朝日新聞出版、2013年6月30日、p.34 全国書誌番号:22263803
- 平賀尉哲 (2013) "厳選!旅情駅 伊勢市駅"『週刊JR全駅・全車両基地 No.45』p.12 - 13
関連項目
- 日本の車両基地一覧
- 濱田益嗣 - 赤福前会長。2007年5月に、伊勢車両区の1000台駐車可能な駐車場への転換を提言して物議を醸した。
座標: 北緯35度26分44.6秒 東経137度2分20.6秒 / 北緯35.445722度 東経137.039056度 / 35.445722; 137.039056