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この項目では、JR九州の鉄道路線について説明しています。線路の敷設形態の一つである三角線(さんかくせん)については「デルタ線」をご覧ください。 |
三角線(みすみせん)は、熊本県宇土市の宇土駅から同県宇城市の三角駅に至る九州旅客鉄道(JR九州)の鉄道路線(地方交通線)である。
2011年9月1日より、公募によって決定した愛称「あまくさみすみ線」が使用されている[4]。
概要
宇土駅で鹿児島本線から分岐して、住吉 - 赤瀬間では宇土半島の北岸を走り、赤瀬 - 波多浦間で半島を横断して天草諸島の大矢野島に面し天草各地への船やバスが発着する宇城市三角町とを結んでいる。三角港からは三角島原フェリーにより島原港との間にカーフェリーも運航されていたが2006年8月29日限りで廃止された。
全列車が鹿児島本線経由で熊本駅まで直通運転している。また、全線でICカード「SUGOCA」の使用はできないが、起点の宇土駅では鹿児島本線方面に限り使用可能である。
一般向けリアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」は、閉塞方式の都合で非対応だが、熊本 - 宇土間のみ、「鹿児島本線」のページから利用できる[5]。
路線データ
- 管轄(事業種別):九州旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):25.6 km
- 軌間:1067mm
- 駅数:9(起終点駅含む)
- 三角線所属駅に限定した場合、起点の宇土駅(鹿児島本線所属[6])が除外され、8駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 最高速度:85 km/h[3]
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
全線が熊本支社の管轄である。
利用状況
平均通過人員
各年度の平均通過人員(人/日)および旅客運輸収入は以下のとおりである。
年度
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平均通過人員(人/日)
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旅客運輸収入 (百万円/年)
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出典
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宇土 - 三角
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1987年度(昭和62年度)
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2,415
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[7]
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2016年度(平成28年度)
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1,374
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140
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2017年度(平成29年度)
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1,331
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144
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[8]
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2018年度(平成30年度)
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1,242
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133
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[9]
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2019年度(令和元年度)
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1,187
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131
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[10]
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2020年度(令和02年度)
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775
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65
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[11]
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2021年度(令和03年度)
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776
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71
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[12]
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2022年度(令和04年度)
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825
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85
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[13]
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線区別収支
各年度の収支(営業収益、営業費、営業損益)は以下のとおりである。▲はマイナスを意味する。
宇土駅 - 三角駅間
年度
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収支(百万円)
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出典
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営業収益
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営業費
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営業損益
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2018年度(平成30年度)
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157
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430
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▲273
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[14]
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2019年度(令和元年度)
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157
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399
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▲242
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[15]
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2020年度(令和02年度)
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82
|
365
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▲284
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[16]
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2021年度(令和03年度)
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84
|
365
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▲281
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[17]
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2022年度(令和04年度)
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96
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425
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▲329
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[18]
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運行形態
定期列車は各駅に停車する普通列車のみで、全列車が鹿児島本線熊本駅 - 宇土駅間を通り熊本駅 - 三角駅間で運行されている。運行本数は1時間 - 1時間半に1本程度で、途中の住吉駅や網田駅で列車交換するダイヤが設定されている(国鉄時代の普通列車は1 - 2時間に1本と本数が少なく、最終も早かった[19])。
普通列車はキハ200形もしくはキハ220形(200番台)[注釈 1]と、キハ47(147)形により、基本的に終日2両編成[注釈 2]で運用されている。かつてはキハ31形とキハ40(140)形での運用がほとんどだったが、2017年からはキハ31形に運用離脱および廃車が発生し、2019年3月16日で定期運用を終了した[20]。なお、平日と土曜・休日では列車により、使用する車両と編成が異なる。
各列車は特急を含めワンマンで運転される。2006年3月17日まで無人駅および有人駅での営業時間外の停車時に関しては、前の車両のドアのみ開き(中扉は開かず・後ろ乗り前降り)、乗車時には整理券を取り、下車時には運賃・乗車券等を整理券とともに運転士に渡す必要があった。2006年3月18日のダイヤ改正後より、当線の全駅で全ての列車のホーム側の全てのドアから乗り降りできるようになったものの、2007年3月18日のダイヤ改正より当線内では再び後ろ乗り、前降り方式に変更された[注釈 3]。
臨時快速列車として土曜日・休日に限り1往復の「天草グルメ快速「おこしき」」が運行されていた(この場合、普通列車は1往復減る)。熊本駅 - 三角駅間の運転で途中停車駅は、川尻駅・宇土駅・緑川駅・住吉駅・網田駅・波多浦駅であった。普通列車と共通の車両が使用されるため特別な車内設備等はないが、専用のヘッドマークが取り付けられ車内放送では沿線の観光案内が放送された。愛称は日本の渚百選に選ばれた砂干潟で知られる宇土半島北岸の御輿来(おこしき)海岸にちなむ。2011年3月12日のダイヤ改正で設定がなくなった。
国鉄時代は普通列車のほかに、「火の山」などの豊肥本線から直通する急行列車があり、雲仙や天草と別府や阿蘇とを結ぶ観光ルートとして使われていたが、マイカー・バスの台頭や新婚旅行者の海外流出などの影響で利用者が減少したため、分割民営化直前の1986年11月1日のダイヤ改正で急行「火の山」の熊本駅 - 三角駅間が廃止された。
以後は三角線での特急・急行列車の定期運行はないが、2011年10月8日より観光特急列車「A列車で行こう」が臨時列車扱いながら土曜日・休日を中心に運行されている(当線初の特急でもある)。停車駅は熊本駅 - 宇土駅 - 三角駅である[21]。当初1日2往復の運行であったが、2013年3月16日のダイヤ改正で1往復増発されて1日3往復の運行となっている[22]。
使用車両
全列車が熊本車両センターに所属する気動車で運転されている。
以下は代走等で入線することがあるが、2021年時点ではほとんどの列車でキハ47形・キハ147形が運用されていた。
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キハ200形
-
キハ220形(200番台・元長崎車)
歴史
三角線の開業は明治32年(1899年)と大変古い。九州鉄道が、熊本方面と天草や島原とを連絡するため、それらへ船の便がある三角までの線路を敷いたのである。当初は、松橋から宇土半島の南岸を通って三角港までの路線が計画されていたが、漁港を多く抱える南岸の住民の反対にあって赤瀬までは北岸を通る路線となった。
三角港には現在でも天草からの船が発着しているが、熊本新港や天草飛行場の開港、天草の各島と本土とを結ぶ橋(天草五橋)の完成、モータリゼーションなどによって三角線を使って三角港に行く旅客は少なくなった。
駅一覧
便宜上、宇土側の全列車が直通する鹿児島本線熊本駅からの区間を記載する。
- 累計営業キロは宇土駅からのもの
- 定期列車は全列車普通列車(すべての駅に停車)。臨時快速の停車駅は上述の#運行形態を参照
- 線路(三角線内は全線単線) … ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可、∥:複線(鹿児島本線内)
- 全駅熊本県内に所在。
脚注
注釈
- ^ キハ200形は主に豊肥本線で運用されているが、間合い運用で三角線でも使用される。2022年9月のダイヤ改正以降は、三角線内でも終日運用されている。
- ^ 2021年3月のダイヤ改正までは、3両編成(車掌乗務)で運転される列車もあった。該当の列車は、祝前日を除く日曜日から木曜日までの夜21時台に熊本駅を発車する下りの三角行き1本と、折り返し翌日(祝日を除く平日)の朝6時台に三角駅を発車する上りの熊本行き1本の計1往復であった。
- ^ さらに2017年4月1日からは早朝・夜間の列車に限り、終点の三角駅が車内収受式(後ろ乗り前降り、車掌乗務の列車を除く)に変更された。これは三角駅窓口の営業時間が短縮されたためである(窓口の営業時間内に発着する列車についてはこれまで通り駅収受式にて取り扱う)。なお、当線の列車が直通する鹿児島本線(熊本駅 - 宇土駅間の各駅)では終日駅収受式のため、全ての列車でホーム側の全てのドアが開く。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
三角線に関連するメディアがあります。