ルネッサンス (Renaissance )は、イングランド 出身のプログレッシブ・ロック ・バンド 。同ジャンルの中でもシンフォニックな叙情派として広く知られる。
1969年 に結成され、メンバー構成により大きく2つの時期に分かれる。印象的な女性ボーカリストを擁し、歌姫のアニー・ハズラム らを輩出した。
概要・略歴
※出典[ 4] 。
1969年 - 1971年(オリジナル・ルネッサンス)
ブルースロック ・バンド 「ヤードバーズ 」のメンバーだったキース・レルフ (ボーカル、ギター)とジム・マッカーティ (ドラムス)は、1968年 にヤードバーズを脱退して、フォーク ・デュオ「トゥゲザー」を結成した[ 5] 。彼等はヤードバーズを1966年に脱退したポール・サミュエル=スミス をプロデュ―サーに迎えて、シングルを1作発表した[ 6] 。
翌1969年 、彼等は元ザ・ハード のルイス・セナモ (ベース)、元ナッシュヴィル・ティーンズ のジョン・ホウケン (キーボード)、レルフの妹ジェーン・レルフ (ボーカル)を迎えて、5人編成の「ルネッサンス」を結成する。同年、サミュエル=スミスのプロデュースでデビュー・アルバム『ルネッサンス 』を発表。ヤードバーズ時代のブルース とは大きく異なった、フォーク・ロック にクラシック音楽 を加味したサウンドだった。
1970年 、彼等は新作アルバムの制作に着手して数曲を録音したが、徐々に分裂し始め、やがてレルフとマッカーティは降板した。しかしアルバム契約の履行の為に、2人は引き続いてプロデューシングと曲作りに関与し、メンバーはホウケンと同じく元ナッシュヴィル・ティーンのマイケル・ダンフォード(ギター)らを迎えて、制作を継続した。翌1971年 、レルフのプロデュースの下で紆余曲折を経て完成した2ndアルバム『幻想のルネッサンス 』を発表した。
レルフとマッカーティが結成したルネッサンスは、1971年以後にダンフォードが主導したルネッサンスと区別して、俗に「オリジナル・ルネッサンス 」とも呼ばれている[ 7] 。その音楽は、後に元メンバーが「もう一つのルネッサンス」として結成した「イリュージョン 」(Illusion)に受け継がれた。このバンド名は『幻想のルネッサンス』の原題である。
1971年 - 1987年(新生ルネッサンス)
アルバム『幻想のルネッサンス』完成後、ダンフォードに主導権が移行。流動的な編成を経て、1972年 頃にはアニー・ハズラム (ボーカル)、ジョン・キャンプ(ベース)、ジョン・タウト(キーボード)、テレンス・サリヴァン(ドラムス)の新しいラインナップで固まり刷新。オリジナルとは似て非なる、新たなルネッサンスが 再興された。通常、ルネッサンスというバンド名は、1971年以後のバンドを指す ことが多い。
ダンフォードは主導権を握りつつも、オリジナル・ルネッサンスとの諸事情で正式メンバーとしては参加せず裏方に徹した。また2ndアルバムの収録曲に歌詞を提供したベティ・サッチャーが、引き続き作詞提供者として支援して6人目のメンバーと呼ばれるようになった。このラインナップで3rdアルバム『プロローグ 』(1972年)、4thアルバム『燃ゆる灰 』(1973年)をリリースする。
その後、新興レーベル「BTM」に移籍。第一弾の5thアルバム『運命のカード 』(1974年)から、ダンフォードもプレイヤーとして正式メンバーに名を連ねた。このラインナップで6thアルバム『シェエラザード夜話 』(1975年)、大手レーベル「ワーナー・ブラザース・レコード 」から7thアルバム『お伽噺』(1977年)8thアルバム『四季 』(1978年)などの作品を残している。『四季』からシングル・カットされた「北の輝き(Northern Lights)」は、全英シングルチャート で最高10位を記録した[ 8] 。
1979年 、9thアルバム『碧の幻想 』発表後、サリヴァンとタウトが脱退。ワーナー・ブラザーズからも契約を解消され活動が停止してしまう。
残されたハズラム、ダンフォード、キャンプは別行動を取った後、再び集まって活動を継続。新作アルバム『カメラ・カメラ 』『タイム・ライン』を発表するが、当時の流行に影響を受けたヴィジュアルになり、1970年代 に築いたスタイルから徐々に掛け離れていった。
1985年 にはキャンプも離れ、行き詰まったバンドは1987年 に解散する。
1998年 - 現在(再始動以降)
解散後、ハズラムはソロ活動に移行。1990年代 よりダンフォードの音楽活動「マイケル・ダンフォーズ・ルネッサンス」も活発化し、2000年 に両者が合流。サリヴァンも復帰して正式に活動を再開し、同年に17年ぶりの新作になる12thアルバム『トスカーナ』を発表した[ 4] 。翌2001年 に初の日本公演を開催するなど、2002年 まで活動を続ける。
カナダ・オタワ公演(2010年)
その後しばらく活動が途絶えたが、2009年 のデビュー40周年を契機に再び始動する。断続的にライブを行い、翌2010年 には日本公演を開催。制作活動も再開する。
2012年のラインナップ
2012年 11月、1971年のルネッサンスの結成時からの主導者だったマイケル・ダンフォードが脳内出血により死去[ 9] 。当時からの在籍メンバーはハズラムだけになる。
2013年 、ダンフォードの遺作で約12年ぶりの新作になる13thアルバム『消ゆる風』をリリース[ 10] 。
2015年 5月、全盛期時代のキーボーディスト ジョン・タウトがロンドンにて死去[ 11] 。また再始動後から長年在籍していたベーシストのデヴィッド・キーズが、病気による事情で降板。本年以降、メンバーの出入りが多くなる。
2018年 9月、8年ぶりの日本公演を開催[ 12] 。
2019年 、結成50周年を銘打った北米ツアーを開始。50周年記念の特別公演には、オリジナル・ルネッサンスを創設したジム・マッカーティが客演した[ 13] 。また、旧譜の最新リマスター盤発売も大々的に展開する。同年7月、闘病中だったデヴィッド・キーズが死去[ 14] 。
2024年 、オリジナル・ルネッサンスの創設メンバー ジョン・ホウケンが死去[ 15] 。
影響
シェラザードやノヴェラ のメンバーである平山照継がルネッサンスに大きな影響を受けて、その名残をバンド名や楽曲名に残している。
メンバー
※2022年11月時点
現ラインナップ
アニー・ハズラム (Annie Haslam) - ボーカル (1971年- )
マーク・ランバート (Mark Lambert) - ベース (1985年-1987年)、ギター (2015年- )
レオ・トラバーザ (Leo Traversa) - ベース (2015年-2018年、2022年- )
フランク・パガーノ (Frank Pagano) - ドラムス (2009年- )
レイヴ・テーザー (Rave Tesar) - キーボード (2001年- )
ジェフリー・ラングレー (Geoffrey Langley) - キーボード (2016年- )
旧メンバー
キース・レルフ (Keith Relf) - ボーカル、ギター (1969年-1970年) ♰RIP.1976年
ジェーン・レルフ (Jane Relf) - ボーカル (1969年-1970年)
ルイス・セナモ (Louis Cennamo) - ベース (1969年-1970年)
ジム・マッカーティ (Jim McCarty) - ドラムス (1969年-1970年、客演2019年)
ジョン・ホウケン (John Hawken) - キーボード (1969年-1970年) ♰RIP.2024年
マイケル・ダンフォード (Michael Dunford) - ギター (1970年-2012年) ♰RIP.2012年
テリー・スレイド (Terry Slade) - ドラムス (1970年-1972年)
ニール・コーナー (Neil Korner) - ベース (1970年-1971年)
テリー・クロウ (Terry Crowe) - ボーカル (1970年-1971年)
ビンキー・カロン (Anne-Marie "Binky" Cullom) - ボーカル (1970年-1971年)
ジョン・タウト (John Tout) - キーボード (1970年-1980年、1998年-1999年) ♰RIP.2015年
ダニー・マッカロウ (Danny McCulloch) - ベース (1971年) ♰RIP.2015年
フランク・ファレル (Frank Farrell) - ベース (1971年) ♰RIP.1997年
ジョン・ウェットン (John Wetton) - ベース (1971年-1972年) ♰RIP.2017年
ジョン・キャンプ (Jon Camp) - ベース (1972年-1985年)
ミック・パーソンズ (Mick Parsons) - ギター (1972年) ♰RIP.1972年
ジンジャー・ディクソン (Ginger Dixon) - ドラムス (1972年)
テレンス・サリヴァン (Terence Sullivan) - ドラムス (1972年-1980年、1998年-2002年)
ロブ・ヘンドリー (Rob Hendry) - ギター (1972年-1973年)
ピーター・ファイナー (Peter Finberg) - ギター (1973年)
ピーター・ゴスリング (Peter Gosling) - キーボード (1980年-1983年)
ピーター・バロン (Peter Baron) - ドラムス (1980年-1983年)
マイク・テイラー (Mike Taylor) - キーボード (1983年-1984年)
ギャヴィン・ハリソン (Gavin Harrison) - ドラムス (1983年-1984年)
ラファエル・ラッド (Raphael Rudd) - キーボード (1984年-1987年) ♰RIP.2002年
グレッグ・カーター (Greg Carter) - ドラムス (1984年-1985年)
チャーリー・デスカーフィーノ (Charles Descarfino) - ドラムス (1985年-1987年)
ミッキー・シモンズ (Mickey Simmonds) - キーボード (2001年-2002年)
デヴィッド・キーズ (David J. Keyes) - ベース (2001年-2015年) ♰RIP.2019年
トム・ブリスリン (Tom Brislin) - キーボード (2009年-2010年、2015年–2016年)
ジェイソン・ハート (Jason Hart) - キーボード (2010年-2015年)
ライク・シャランダ (Ryche Chlanda) - ギター (2013年-2015年)
ジョン・アルボ (John Arbo) - ベース (2018年-2021年)
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
『ルネッサンス 』 - Renaissance (1969年)
『幻想のルネッサンス』 - Illusion (1971年)
『プロローグ 』 - Prologue (1972年)
『燃ゆる灰 』 - Ashes Are Burnning (1973年)
『運命のカード 』 - Turn Of The Cards (1974年)
『シェエラザード夜話 』 - Scheherazade And Other Stories (1975年)
『お伽噺』 - Novella (1977年)
『四季 』 - A Song For All Seasons (1978年)
『碧の幻想 』 - Azure D'or (1979年)
『カメラ・カメラ 』 - Camera Camera (1981年)
『タイム・ライン』 - Time Line (1983年)
『トスカーナ』 - Tuscany (2000年)
『消ゆる風』 - Grandine il vento (2013年) / Symphony of Light (2014年) ※後者は再発盤
ライブ・アルバム
『カーネギー・ホール・ライヴ』 - Live At Carnegie Hall (1976年) ※旧邦題『ライヴ・アット・カーネギー・ホール』
『ライブ・イン・ジャパン 2001』 - In The Land Of The Rising Sun:Live In Japan (2001年)
『ツアー2011 -運命のカード/シェエラザード夜話-完全再現ライヴ-』 - Tour 2011 – Turn of the Cards and Scheherazade & Other Stories Live In Concert (2011年) ※CD2枚組 + DVD。ただし、CDの内容はDVDの音声のみ。※旧邦題『2011 ライヴ・イン・コンサート』
『ライヴ・アット・ジ・ユニオン・チャペル』 - Live at the Union Chapel (2016年)
『シンフォニック・ジャーニー:ライヴ・イン・USA』 - A Symphonic Journey (Live In Concert) (2018年) ※With The Renaissance Chamber Orchestra名義
Ashes Are Burning An Anthology Live In Concert (2021年)
その他
In the Beginning (1978年) ※『プロローグ』『燃ゆる灰』のコンピレーション
Tales of 1001 Nights (1990年) ※2枚組ベスト・アルバム
『ダ・カーポ - ベスト・オブ・ルネッサンス』 - Da Capo (1995年) ※2枚組ベスト・アルバム
『キング・ビスケット・ライヴ』 - Live at the Royal Albert Hall : King Biscuit Flower Hour (1997年) ※1977年のライブ発掘盤
Songs from Renaissance Days (1997年) ※1979年–1988年のアウトテイク集
The BBC Sessions 1975–1978 (1999年) ※BBCセッション集
Day Of The Dreamer (2000年) ※1978年のライブ発掘盤
『ライヴ・アット・ジ・アカデミー・オヴ・ミュージック・フィラデルフィア』 - Unplugged Live at the Academy of Music (2000年) ※1985年のライブ発掘盤
『ライヴ&ダイレクト』 - Live + Direct (2002年) ※1970年のライブ音源と1968年 -1976年のデモ音源等を収録
Innocents and Illusions (2004年) ※『ルネッサンス』『幻想のルネッサンス』のコンピレーション
『ブリティッシュ・ツアー 1976』 - British Tour '76 (2006年) ※1976年のライブ発掘盤
『ドリームス&オーメンズ』 - Dreams & Omens (2008年) ※1978年のライブ発掘盤
『ライヴ・イン・シカゴ1983』 - Live in Chicago (2010年) ※1983年のライブ発掘盤
『ザ・ミスティック・アンド・ザ・ミューズ』 - The Mystic and The Muse (2010年) ※EP
『パスト・オービッツ・オブ・ダスト』 - Past Orbits of Dust (2012年) ※1969年 - 1970年のライブ音源とリマスター・スタジオ音源を収録
『ディ・レーン・リー・スタジオ 1973』 - De Lane Lea Studio (2014年) ※1973年のライブ発掘盤
『アカデミー・オブ・ミュージック 1974』 - Academy of Music (2015年) ※1974年のライブ発掘盤
『フィルモア・ウェスト1970』 - Live Fillmore West 1970 (2016年) ※1970年のライブ発掘盤
『ライヴ・アット・ザ BBC』 - Live at the BBC Sight & Sound (2017年) ※BBCセッション集の拡大版
マイケル・ダンフォーズ・ルネッサンス
マイケル・ダンフォーズ・ルネッサンス(Michael Dunford's Renaissance)は、ダンフォードとステファニー・アドリントン(Stephanie Adlington)によるコラボレーション。
『もう一人の私』 - The Other Woman (1994年) ※ルネッサンス名義
『オーシャン・ジプシー』 - Ocean Gypsy (1997年) ※過去のルネッサンス楽曲の新録。日本盤はルネッサンス名義
Trip To The Fair (1998年) ※アルバム上記2枚の編集盤
脚注
外部リンク