「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」(英語: You'd be so nice to come home to)は、ジャズのスタンダード曲。邦題は「帰ってくれたらうれしいわ」、「帰ってくればいいのに」など[3]があった(#邦題について参照)。
解説
コール・ポーター作曲で、1942年に発表された映画『サムシング・トゥ・シャウト・アバウト(英語版)』の挿入歌で、劇中ではジャネット・ブレアとドン・アメチーが歌った[3][4]。この映画自体はヒットしなかったが、第二次世界大戦中ということもあり、洗練されたメロディと「あなたが待ってくれている家に帰れたなら、なんと素敵なことだろう」と歌い上げる歌詞が、戦時中のアメリカ人の心に強くアピールすることになった[4][5]。受賞は逃したものの第16回アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされたほか、同年に発売されたダイナ・ショアによるシングル盤は大ヒットとなった[6]。
1950年代前半までにコール・ポーターの楽曲の多くはジャズのスタンダード化しておりアルバムも多数リリースされているが、本曲はそういったコール・ポーターの人気作品群からすれば人気の無い曲であった[6]。
1955年にヘレン・メリルとクリフォード・ブラウンが共演したアルバム『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』がリリースされる。収録曲は有名スタンダード曲ばかりで、その中に含まれる本曲は当時とすれば無名に近い曲であったが、今日ではこのアルバムで最も人気の高いトラックとなっている[6]。メリルの歌声もさることながら、ブラウンの歌うようなメロディと構成力による通好みのアドリブ・ソロが、同時のジャズ・ミュージシャンたちに注目されたのである[6]。なお、このアルバムにおける本曲のアレンジは当時、新進気鋭であったクインシー・ジョーンズである[6]。本曲がジャズのスタンダードになるのは、これ以降のことになる。
邦題について
原題は、コール・ポーターらしいとも言えるが、英語文法的にはかなりまわりくどい表現となっている[6]。
日本語訳する際に問題となりやすいのは最後の「come home to」の「to」である。これはTough構文と呼ばれるもので、文頭の「You」が「come home」の目的語になっている表現であり、原題を言い換えるならば「It would be so nice to come home to you.」となる[7]。家に帰るのは「私」ということになる。
忠実に日本語訳しようとすると上記のようになるのだが、邦題の「帰ってくれたらうれしいわ」は「歴史的な誤訳」とも評される[4]。この訳の場合、家に帰るのは私ではなく「あなた」ということになるためである。この邦題は、大橋巨泉がつけたものだが、後に大橋は、間違った愚かな奴がいると、翻訳の誤りを何度も語っている[8][9]。
今日では、かなり長くなるが原題カタカナ表記の『ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ』が邦題として使用されている[4][5][6]。
カバー
さまざまな歌唱のカバーバージョンがあるほか、インストゥルメンタルとしてもカバーされている。上述のようにヘレン・メリルとクリフォード・ブラウンの共演は代表的な名演として有名である[4]。映画ではほかに『ラジオ・デイズ』(ウディ・アレン監督)でダイアン・キートンが歌っている。
カヴァーした歌手やミュージシャンの一部である。
- アメリカ合衆国
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- 日本
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CM使用
日本では、テレビコマーシャルの楽曲としても使用されている。
出典