マンション建替え(マンションたてかえ)では、主に2000年代の日本における住宅マンションの建替えに関する背景、諸問題、各種事情等について記述する。
日本では老朽化や高齢化進展に伴いマンション建替えを促進するためマンション建替え円滑化法などの法令が制定されている。高層ビルや公共施設の建替えとは異なる点として、権利者が多数に上り区分所有権などが絡む点や、事業成立まで長い年月がかかる点が挙げられる。
日本に本格的にマンションが建設されるようになったのは1950年以降、一般的になったのは1970年以降とされ、2000年代に入ると次第にマンションの老朽化などが問題となり始め、特に1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神淡路大震災以降1980年以前の旧耐震基準のマンションの耐震対策が叫ばれるようになった。そして2002年(平成14年)にはマンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替え円滑化法)などが制定されるなど、マンション建替えの機運が全国的に高まっていった。さらに2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災により首都圏都心部においても首都直下地震が危惧され、建替えの相談が増加し、円滑化法も容積率の緩和などを盛り込んで2014年(平成26年)に改正された。しかし、旧耐震基準の1980年以前に建てられたマンションは全国に100万棟近くあり、建替えられるのは費用の捻出できる都心部に偏っている[1]。再開発型の複数のマンションを1棟に建替える事例も現れている。一方でコープオリンピアのように建て替えが検討されたものの、長期間停滞しているものもある。同様に公営団地においても大規模な建替えが進んでいる。大手不動産会社の長谷工コーポレーションには建替えに特化したマンション再生事業部も設置された。2011年には旭化成ホームズにマンション建替え研究所が設立されている(公共のためのサービス・システム部門で2013年度グッドデザイン賞を受賞)。新日鉄興和不動産は東京大学高齢社会総合研究機構と連携し超高齢社会に対応したマンション建替問題研究会を設立した[2]。2010年には研究者、有識者らで構成される老朽化マンション対策会議(会長椎名武雄)が設立され、政府機関への建替えに関する提言を行っている。
マンション建替えなどに関する業界団体としてはマンション再生協議会(会長:林重敬横浜国立大学名誉教授)が存在する。
容積率の未消化分を活用して低層から高層に建替え、戸数が増加した部分を分譲し、建て替え費用を捻出する事例が多い。しかし、容積率を消化している場合は建て替えに合意しても資金が不足してしまうことから、今後再び建て替える場合が懸念されている。 建て替えを兼轄に進めるため国土交通省によりマニュアルが整備されている。また、都市再生住宅制度、住宅金融支援機構によるまちづくり融資などを活用することができる[3]
建て替えを促進するために法改正後の2015年に東京都マンション建替法容積率許可要綱を策定し容積率を緩和することが可能となった(港区など特別区でもマンション建替法容積率許可要綱を制定)。2017年には東京都が東京都マンション再生まちづくり制度を創設し、マンション建替えを促進する目的で都が推進地区を指定している[4]。 老朽マンション建替えを加速し災害に強い都市を目指すことを目的に、不動産会社が老朽マンションを買い取った場合に、別の場所に建てるマンションの容積率を上乗せすることができる制度を2019年度に創設する予定である。玉突きによる都内のマンションの建替えを促進する[5]。
公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターではマンション建替えに関するアドバイザーの派遣を行っている。
横浜市ではマンション建替促進事業として合意形成支援事業を創設し、市が資金を補助する[6]。
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