マリア・キリレンコ(Maria Kirilenko, ロシア語: Мари́я Ю́рьевна Кириле́нко, 1987年1月25日 - )は、ロシア・モスクワ出身の女子プロテニス選手。2012年のロンドン五輪女子ダブルスで、ナディア・ペトロワとペアを組んで銅メダルを獲得した選手である。自己最高ランキングはシングルス10位、ダブルス5位。WTAツアーでシングルス6勝、ダブルス12勝を挙げた。
来歴
7歳からテニスを始め、2001年にプロ転向。2002年の全米オープン女子ジュニア部門で優勝し、2003年から女子ツアー大会を回り始めた。2003年の全米オープンで4大大会本戦にデビューする。予選3試合を勝ち上がったキリレンコは、いきなり本戦3回戦で第5シードのアメリ・モレスモに挑戦した。2004年全豪オープンでは予選で敗退したが、続く全仏オープンから本戦に直接出場できるようになった。
2005年9月に「チャイナ・オープン」でツアー初優勝を果たしたキリレンコは、10月のジャパン・オープンでもニコル・バイディソバとの準決勝まで勝ち進んだ。日本のトーナメントでは、2006年の東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントの女子ダブルスでアナ・イバノビッチ(セルビア)と組んだ準決勝進出もある。
2007年3月初頭のカタール・ドーハ大会で、キリレンコはマルチナ・ヒンギスとペアを組んで優勝した。キリレンコにとっては女子ツアー大会でのダブルス3勝目であり、ヒンギスにとっては2006年に現役復帰してからのダブルス初優勝であった。半年後の9月、インド・コルカタ大会でシングルス2勝目を達成。
キリレンコはこれまで、4大大会女子シングルスでは3回戦止まりの成績だったが、2008年全豪オープンの3回戦で第6シードのアンナ・チャクベタゼ(同じロシアの選手、年齢もキリレンコと同じ)に 6-7, 6-1, 6-2 で勝ち、初めての4回戦に勝ち進んだ。4回戦では第9シードのダニエラ・ハンチュコバに 6-1, 4-6, 4-6 の逆転で敗れ、ベスト8入りを逃した。
2010年の全豪オープンでは1回戦でマリア・シャラポワに 7-6, 3-6, 6-4 で勝利、4回戦のディナラ・サフィナの途中棄権により、キリレンコは4大大会初のベスト8に進出した。準々決勝では鄭潔に 1-6, 3-6 で敗れている。
2011年の全豪オープンでキリレンコはビクトリア・アザレンカと組んだ女子ダブルスで初の決勝に進出した。決勝で第1シードのヒセラ・ドゥルコ&フラビア・ペンネッタ組に 6-2, 5-7, 1-6 で逆転負けをして4大大会初優勝を逃した。2012年の全仏オープンでナディア・ペトロワと組み2度目の4大大会ダブルス決勝に進出したが、サラ・エラニ&ロベルタ・ビンチ組に 6-4, 4-6, 2-6 で敗れ準優勝となった。
2012年ウィンブルドン選手権では2010年全豪オープン以来となる4大大会ベスト8に進出した。準々決勝でアグニエシュカ・ラドワンスカに 5-7, 6-4, 5-7 で敗れている。7月のロンドン五輪でオリンピックに初出場し、シングルスとダブルスの双方でベスト4に進出した。シングルスでは準決勝で同じロシアのマリア・シャラポワに 2-6, 3-6 で敗れ、準決勝敗退選手2名による「銅メダル決定戦」でもベラルーシのビクトリア・アザレンカに 3-6, 4-6 で敗れた。ナディア・ペトロワと組んだダブルスでは準決勝でセリーナ・ウィリアムズ&ビーナス・ウィリアムズ組に 5–7, 4–6 で敗れたが準決勝敗退選手2組による「銅メダル決定戦」でアメリカのリサ・レイモンド&リーゼル・フーバー組に 4-6, 6-4, 6-1 で勝利し銅メダルを獲得した。最終戦WTAツアー選手権でもペトロワとのダブルスの決勝でアンドレア・フラバーチコバ&ルーシー・ハラデツカ組を 6-1, 6–4 で破って優勝した。
2013年2月のPTTパタヤ・オープン決勝でザビーネ・リシキを 5–7, 6–1, 7–6(1) で破り4年5ヶ月ぶりのシングルスツアー6勝目を挙げた。全仏オープンでは4回戦でベサニー・マテック=サンズを 7-5, 6-4 で破り全仏では初めてベスト8に進出した。準々決勝ではビクトリア・アザレンカに 6-7(3), 2-6 で敗れた。大会後のランキングで10位になり初めてトップ10入りを果たした。
キリレンコは2012年12月にアイスホッケー選手のアレクサンドル・オベチキンと婚約した[1]。しかし2014年7月に婚約解消を発表した[2]。
キリレンコは2014年9月のチャイナ・オープン1回戦でツベタナ・ピロンコバに敗れた試合を最後に公式戦出場から遠ざかっている。2015年1月に一般人と結婚し、7月に第1子の長男を[3]、2017年7月に長女を出産している。
WTAツアー決勝進出結果
シングルス: 12回 (6勝6敗)
結果
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No.
|
決勝日
|
大会
|
サーフェス
|
対戦相手
|
スコア
|
準優勝
|
1.
|
2004年2月22日
|
ハイデラバード
|
ハード
|
ニコル・プラット
|
6–7(3), 1–6
|
優勝
|
1.
|
2005年9月5日
|
北京
|
ハード
|
アンナ=レナ・グローネフェルト
|
6–3, 6–4
|
優勝
|
2.
|
2007年9月23日
|
コルカタ
|
カーペット (室内)
|
マリヤ・コリツェワ
|
6–0, 6–2
|
準優勝
|
2.
|
2007年9月30日
|
ソウル
|
ハード
|
ビーナス・ウィリアムズ
|
3–6, 6–1, 4–6
|
優勝
|
3.
|
2008年4月20日
|
エストリル
|
クレー
|
イベタ・ベネソバ
|
6–4, 6–2
|
優勝
|
4.
|
2008年6月15日
|
バルセロナ
|
クレー
|
マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス
|
6–0, 6–2
|
優勝
|
5.
|
2008年9月18日
|
ソウル
|
ハード
|
サマンサ・ストーサー
|
2–6, 6–1, 6–4
|
準優勝
|
3.
|
2009年4月19日
|
バルセロナ
|
クレー
|
ロベルタ・ビンチ
|
0–6, 4–6
|
準優勝
|
4.
|
2010年10月24日
|
モスクワ
|
ハード (室内)
|
ビクトリア・アザレンカ
|
3–6, 4–6
|
準優勝
|
5.
|
2012年2月12日
|
パタヤ
|
ハード
|
ダニエラ・ハンチュコバ
|
7–6(4), 3–6, 3–6
|
準優勝
|
6.
|
2012年8月25日
|
ニューヘイブン
|
ハード
|
ペトラ・クビトバ
|
6–7(9), 5–7
|
優勝
|
6.
|
2013年2月3日
|
パタヤ
|
ハード
|
ザビーネ・リシキ
|
5–7, 6–1, 7–6(1)
|
ダブルス: 25回 (12勝13敗)
結果
|
No.
|
決勝日
|
大会
|
サーフェス
|
パートナー
|
対戦相手
|
スコア
|
優勝
|
1.
|
2004年6月13日
|
バーミンガム
|
芝
|
マリア・シャラポワ
|
リサ・マクシア ミラグロス・セケラ
|
6–2, 6–1
|
準優勝
|
1.
|
2005年5月15日
|
ローマ
|
クレー
|
アナベル・メディナ・ガリゲス
|
カーラ・ブラック リーゼル・フーバー
|
0-6, 6-4, 1-6
|
準優勝
|
2.
|
2005年8月27日
|
ニューヘイブン
|
ハード
|
ヒセラ・ドゥルコ
|
リサ・レイモンド サマンサ・ストーサー
|
2-6, 7-6, 1-6
|
優勝
|
2.
|
2005年10月9日
|
東京
|
ハード
|
ヒセラ・ドゥルコ
|
浅越しのぶ マリア・ベント=カブチ
|
7–5, 4–6, 6–3
|
準優勝
|
3.
|
2006年6月24日
|
スヘルトーヘンボス
|
芝
|
アナ・イバノビッチ
|
晏紫 鄭潔
|
6–3, 2–6, 2–6
|
優勝
|
3.
|
2007年3月3日
|
ドーハ
|
ハード
|
マルチナ・ヒンギス
|
アグネシュ・サバイ ブラディミラ・ウーリロバ
|
6–1, 6–1
|
優勝
|
4.
|
2008年4月19日
|
エストリル
|
クレー
|
フラビア・ペンネッタ
|
メルバナ・ユギッチ=サルキッチ イペク・セノグル
|
6–4, 6–4
|
準優勝
|
4.
|
2008年8月3日
|
モントリオール
|
ハード
|
フラビア・ペンネッタ
|
カーラ・ブラック リーゼル・フーバー
|
6–1, 6–1
|
優勝
|
5.
|
2008年8月18日
|
シンシナティ
|
ハード
|
ナディア・ペトロワ
|
謝淑薇 ヤロスラワ・シュウェドワ
|
6–3, 4–6, [10–8]
|
準優勝
|
5.
|
2008年9月28日
|
ソウル
|
ハード
|
ベラ・ドゥシェビナ
|
荘佳容 謝淑薇
|
3–6, 0–6
|
準優勝
|
6.
|
2009年2月22日
|
ドバイ
|
ハード
|
アグニエシュカ・ラドワンスカ
|
カーラ・ブラック リーゼル・フーバー
|
6–3, 6–3
|
準優勝
|
7.
|
2009年5月2日
|
フェズ
|
クレー
|
ソラナ・チルステア
|
アリサ・クレイバノワ エカテリーナ・マカロワ
|
3–6, 6–2, [8–10]
|
準優勝
|
8.
|
2009年8月9日
|
ロサンゼルス
|
ハード
|
アグニエシュカ・ラドワンスカ
|
荘佳容 晏紫
|
0-6, 6-4, [7-10]
|
優勝
|
6.
|
2009年10月24日
|
モスクワ
|
ハード (室内)
|
ナディア・ペトロワ
|
マリア・コンドラティエワ クララ・ザコパロバ
|
6-2, 6-2
|
優勝
|
7.
|
2010年8月8日
|
サンディエゴ
|
ハード
|
鄭潔
|
リサ・レイモンド レネ・スタブス
|
6-4, 6-4
|
優勝
|
8.
|
2010年8月15日
|
シンシナティ
|
ハード
|
ビクトリア・アザレンカ
|
リサ・レイモンド レネ・スタブス
|
7-6(4), 7-6(8)
|
準優勝
|
9.
|
2011年1月28日
|
全豪オープン
|
ハード
|
ビクトリア・アザレンカ
|
ヒセラ・ドゥルコ フラビア・ペンネッタ
|
6-2, 5-7, 1-6
|
優勝
|
9.
|
2011年5月7日
|
マドリード
|
クレー
|
ビクトリア・アザレンカ
|
クベタ・ペシュケ カタリナ・スレボトニク
|
6–4, 6–3
|
優勝
|
10.
|
2011年7月31日
|
スタンフォード
|
ハード
|
ビクトリア・アザレンカ
|
リーゼル・フーバー リサ・レイモンド
|
6–1, 6–3
|
準優勝
|
10.
|
2011年8月15日
|
トロント
|
ハード
|
ビクトリア・アザレンカ
|
リーゼル・フーバー リサ・レイモンド
|
不戦敗
|
優勝
|
11.
|
2012年4月1日
|
マイアミ
|
ハード
|
ナディア・ペトロワ
|
サラ・エラニ ロベルタ・ビンチ
|
7–6(0), 4–6, [10–4]
|
準優勝
|
11.
|
2012年6月8日
|
全仏オープン
|
クレー
|
ナディア・ペトロワ
|
サラ・エラニ ロベルタ・ビンチ
|
6-4, 4-6, 2-6
|
準優勝
|
12.
|
2012年6月23日
|
スヘルトーヘンボス
|
芝
|
ナディア・ペトロワ
|
サラ・エラニ ロベルタ・ビンチ
|
4–6, 6–3, [9–11]
|
準優勝
|
13.
|
2012年10月21日
|
モスクワ
|
ハード (室内)
|
ナディア・ペトロワ
|
エカテリーナ・マカロワ エレーナ・ベスニナ
|
3–6, 6–1, [8–10]
|
優勝
|
12.
|
2012年10月28日
|
イスタンブール
|
ハード (室内)
|
ナディア・ペトロワ
|
アンドレア・フラバーチコバ ルーシー・ハラデツカ
|
6-1, 6–4
|
4大大会シングルス成績
- 略語の説明
W
|
F
|
SF
|
QF
|
#R
|
RR
|
Q#
|
LQ
|
A
|
Z#
|
PO
|
G
|
S
|
B
|
NMS
|
P
|
NH
|
W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.
脚注
外部リンク