『プランダラ』(Plunderer)は、水無月すうによる日本の漫画作品。『月刊少年エース』(KADOKAWA)にて、2015年2月号(2014年12月26日発売)より2022年6月号(2022年4月26日発売[2])まで連載[3]。2021年5月時点で累計発行部数は160万部を突破している[4]。
あらすじ
第1巻 - 第3巻
アルシア暦305年、撃墜王を探す旅を続けてきた陽菜は、ナナとリヒトー=バッハに出会い、カウントについて知る。その後、陽菜は撃墜王を詐称する男との星奪戦によりカウントを失ったが、リヒトーに助けられる。その際リヒトーが「閃撃」の撃墜王であることが判明するも、「自分は君の探している撃墜王ではない」としてその場を立ち去った。
軍に指名手配されたリヒトーは、ホムホゥの街でジェイル=マードックとの戦闘になる。戦闘の最中にリィン=メイが崖から落下したことによってリヒトーはその場を逃走し、リィンはジェイルともにリヒトーを追うことになる。
その後、移動酒場に戻ったリヒトーと陽菜は、リヒトーを追ってきたジェイルと鉢合わせる。空を飛ぶという「アビスの悪魔」に対してリヒトーが質問を受けていると、アビスの悪魔と呼ばれるヘリコプターが現れた。ジェイルたちの協力によりアビスの悪魔を捉えるも、そこにリヒトーのかつての部下である「追撃」の撃墜王、園原水花と銃を持った部下が現れ、町の人々を皆殺しにしようとする。リヒトーはそれを止めたが暴走状態となってしまい、最終的にジェイルによって止められる。
第4巻 -
ジェイルはリヒトーたちをかくまっていたが、アビスの悪魔との戦闘時に議会(アルシング)に手を出したことが軍上層部に露呈し、ジェイルがリヒトーを連行しようとする。ナナはそれを止めるため、自身の能力によってジェイルや陽菜たちを過去へと飛ばす。
彼らが飛ばされた先は廃棄戦争前の日本。彼らは若き日のリヒトーこと坂井離人たちが通うことになる軍学校の眼の前に飛ばされ、そこに入学することとなる。
登場人物
声の項はテレビアニメ版の声優。
- リヒトー=バッハ / 坂井 離人(さかい りひと)
- 声 - 中島ヨシキ[5][6]
- 本作の主人公[7]。赤い目と白髪、奇妙なお面が特徴の剣士。カウントは女にふられた数で、マイナスまで振り切れたカウントを持つが、実は伝説の撃墜王の1人。別名、「閃撃」の撃墜王。音速を超える速さで移動したり、常人では考えられない高度まで跳躍できる。大太刀のバロットのカウントは5700であるが、暴走時には10倍の57000まで上昇させている。暴走時には、「シュメルマンの殺意」に支配される。
- 廃棄戦争以前は黒髪が特徴の日本人であり、撃墜王手術直後から時間をかけて容姿が変貌していった。本物の離人のバロットのカウントは「みんなの代わりに敵を殺した数」。アルシア王立国軍での階級は大佐だったが、後に特務のトップとして復帰した際に上級大将となる。リヒトー=バッハというのはシュメルマンの養子になった時に改名した名前である。
- 陽菜=ファロウ(ひな=ファロウ)
- 声 - 本泉莉奈[5][6]
- 本作のメインヒロイン[7]。髪は水色、毛先はピンクのグラデーション。健気でひたむきな少女[8]。アビス送りになる直前の母の言葉に従い、オリジナルバロットを持って旅をしていた。カウントは母曰く「歩いた距離」。坂井時風と月菜=ファロウ(声 - 皆口裕子)の娘。陽菜というのは時風の愛刀(バロット)の名前。時風の娘であるため、時風を殺したという罪悪感から「キミや月菜にとって憎むべき仇であって、君の英雄じゃない」「ボクは君の捜してる撃墜王じゃない」とリヒトーに突き放されるも、月菜の自分でリヒトーを選んだことを伝え、両想いになる。
- ナナ=バスーラ
- 声 - 伊藤静[6]
- 銀髪に紫の目をした、移動酒場の店主。カウントは「客に美味いと言われた数」。
- その正体はタイムトラベルの能力を有する最初の撃墜王であり、別名は「識撃」の撃墜王。過去でジェイルと出会った際には「7号被検体、通称『ナナ』」と名乗っている。軍での階級は少佐。
- ジェイル=マードック
- 声 - 梅原裕一郎[6]
- アルシア王立国軍の中尉であり、中隊 「ゲフェニングス」隊長。カウントは「信念を貫いた数」。悪人には軍人として最優先で直接制裁を下すことを信念としており、それを貫くためにあえて万単位はあるバロットのカウントを偽装して昇進を遅らせている。
- 鉄を創り出す能力を持ち、壁や柱等の構造物、鎖等の戦闘に役立てるものだけでなく、遊具や工具などの幅広いものを創り出せる。創り出した鉄は、本人が近くにいないと長くは持たず、自身の信念が揺らぐと硬度が低下する性質をもつ。
- リィン=メイ
- 声 - 小澤亜李[6]
- アルシア王立国軍の曹長。スカートを長くするために昇進したがっている。カウントは「人助けをした数」。樹木をへし折る威力をもつ足技を得意とする。
- ペレ=ポポロ
- 声 - 市川蒼[6]
- アルシア王立国軍の軍曹。「心撃」の撃墜王。「ッス」という語尾を使う。カウントは「相手を疑った数」。銃への対処法や廃棄戦争以前の医療技術に精通するなど、一介の王立軍の人間とは異なる技術を有する。
- 園原 水花(そのはら みずか)
- 声 - 悠木碧[6]
- アルシア元帥府特別任務執行機関「特務部隊」の少佐で、「追撃」の撃墜王の異名を持つ少女。リヒトーに近づくと星奪戦が始まってしまうためいつも遠くからスコープ越しにみんなの様子を見ている。怖がりで人を殺せない優しい少女だったが、何者かに薬で無理やり力を引き出され「シュメルマンの殺意」に支配されていたが、星奪戦で暴走したリヒトーに敗れ正気を取り戻した。
- アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチ / アラン
- 声 - 東地宏樹[6]
- アルシア王立軍総司令。ジェイルの養父。「爆撃」の撃墜王。いかつい風貌をしているが、状況を分析・判断する冷静さと、人懐こい陽気さを併せ持つ。息子をジェイル坊と呼んでいる。
- アニメ版では「アレク」となっている。
- 坂井 時風(さかい ときかぜ)
- 声 - 石川界人[6]
- リヒトーの義兄弟(階級は中佐)。「瞬撃」の撃墜王。陽菜の母、月菜=ファロウと婚約関係にあり、陽菜の実父である。地上でたくさんの子どもを育てている。地上で唯一の大人(ペルモを除く)。
- シュメルマン
- 声 - 関俊彦[6]
- 王族直属のアルシア元帥府特別任務執行機関「特務部隊」の元帥。ニコラや水花の上司。諜報、誘拐、暗殺などの特別命令を遂行する。彼らの存在は軍の上層部でも一部の者しか知らない。人に絵本を読み聞かせるのが好き。
- 300年前の階級は少佐で、第13特設軍学校の学長。離人を高く評価しており、人を殺したくない彼に「殺さない軍隊」という道を示した。生徒を撃墜王の実験体にすることを望まない優しい人物で、生徒達からも尊敬されていた。
- ニコラ
- 声 - 遊佐浩二[6]
- ダビの取り巻きの一人。特務部隊の兵士。実はシュメルマンの直属の部下で、リヒトーを取り戻すため裏工作を行いリヒトーの暴走を企てた。別の顔に変装する能力を持っている。陽菜が持つバロットには興味がないためシュメルマンには報告はしてない。
- ダビ
- 声 - 興津和幸
- 撃墜王(偽者)を名乗る軍人。陽菜を騙してカウントを奪うが割って入ってきたリヒトーに敗れる。のちに300年前にシュメルマンらと行動していたことが明かされる。[9]。
- ペルモ
- 声 - 遠藤綾[6]
- 自作の飛行機で空を飛ぼうとしている少女。カウントは「夢を叶えた数」。最初から10と少なかった上に失敗続きだったため、リヒトー達と出会った時点でカウントは1にまで減っていた。
- リヒトーの協力で今までより高性能な飛行機を完成させるが、アルシアでは空を飛ぶ研究は法律で禁止されており、軍からの追求を逃れるためにリヒトーが飛行機を壊す。その結果、カウントが0になりアビスに引きずり込まれた。しかし彼女は絶望せず、リヒトー達と再会できると信じて沈んでいった。
- 道安 武虎
- 声 - 日野聡[6]
- 過去では第13特設軍学校Bクラス所属。非常に粗暴な性格で、離人や時風とは何度も衝突していた。弱気な園原のことを見下していたが、彼女が敵軍に殺されそうになった時は助けている。
- 現在ではシュメルマン配下の撃墜王の1人で、「重撃」の撃墜王。階級は少将。重力を操り、リヒトーの能力を封じ込めることが出来る天敵。カウントは「屈服させた敵の数」。撃墜王という存在に拘っており、廃棄戦争を生き延びた自分達以外の人間が撃墜王になることを拒む。
- フィレンダ
- 声 - 三石琴乃[6]
- 第13特設軍学校の教官。階級は少尉。おっとりとした性格をしているが、生徒を実験体にしようとするなど危険な思想の持ち主。
舞台・用語
- アルシア
- 本作の舞台となる王国。生まれた時から何かをカウントすることが義務付けられている「数字」に支配された世界。
- 数字(カウント)
- アルシアに住む全国民が持つ数字(カウント)。身体のどこかに刻まれており、一人一人が何かを数えながら生きると義務づけられている。「0」になるとアビス送りとなって地面に引きずり込まれる。
- バロット
- アルシア王国軍の一部将校のみが扱える特殊な兵器。個人によって様々な能力を発動することが可能であり、その能力の強弱は自身の持つカウントの大きさで強さが決まる。なお、撃墜王はバロットを使わずとも様々な力を発動できる。所持者をバロットホルダーと呼び、アルシアでは違法とされている。
- 星奪戦
- 自分のカウントを賭けて行われ、勝者は敗者のカウントを奪い取ることができる。
- 廃棄戦争
- アルシアが成立する300年前に起こり、撃墜王たちが戦争を終結に導いたとされる大戦争。
- 撃墜王
- 300年前に起こった廃棄戦争を終結に追い込んだ英雄。300年前から生きているが、一定の年齢以上老いることなく、普通の人ではあり得ないほどの膨大な力を持っている。また、膨大な力を出すと、数字(カウント)が遥かに上昇し、感情を抑えきれない殺意を抱いてしまう程、性格も豹変してしまう。
- 「閃撃」の撃墜王 - リヒトー=バッハ / 坂井 離人
- 「瞬撃」の撃墜王 - 坂井 時風
- 「重撃」の撃墜王 - 道安 武虎
- 「追撃」の撃墜王 - 園原 水花
- 「爆撃」の撃墜王 - アレクサンドロフ=グリゴローヴィッチ
- 「識撃」の撃墜王 - ナナ=バスーラ
- 「心撃」の撃墜王 - ペレ=ポポロ
- アビス
- 数字(カウント)が「0」になった者が地面に引きずり込まれる世界。実はかつて起こった廃棄戦争で荒廃した地球であり、アビスへ送られる目的は、支配体制の確立と人口統制である。
- 議会(アルシング)
- アビス送りの際に、地中から対象者を引きずり込もうとする無数の手。原理は不明ながら莫大な力を行使することが出来る『多数決を取る機械』。オリジナルバロットと呼ばれる特殊な装置が投票権になっており、過半数を取ることに強制力を発動させることが可能。妨害する者は容赦無く襲ってくる。
- 正体は、300年前に起こった廃棄戦争で、宇宙から飛来した生命体である。
書誌情報
テレビアニメ
2020年1月から6月までTOKYO MXほかにて放送された[31]。
スタッフ
主題歌
- 「Plunderer」[33][34]
- 伊藤美来による第1クールオープニングテーマ。作詞は許瑛子、作曲は大畑拓也、編曲は岸田勇気。
- 「孤高の光 Lonely dark」[35]
- 伊藤美来による第2クールオープニングテーマ。作詞は許瑛子、作曲は間瀬公司、編曲は中畑丈治。
- 「Countless days」[33][34]
- 陽菜(本泉莉奈)による第1クールエンディングテーマ。作詞は三浦誠司、作曲および編曲は奥田もとい。
- 「Reason of Life」[35]
- 陽菜(本泉莉奈)、リィン(小澤亜李)、ナナ(伊藤静)による第2クールエンディングテーマ。作詞は荘野ジュリ、作曲・編曲は坪田修平。
各話リスト
放送局
日本国内 インターネット / 配信期間および配信時間[31]
配信開始日 |
配信時間 |
配信サイト |
2020年1月8日 |
水曜 23:00 更新 |
dアニメストア
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2020年1月15日 |
水曜 更新 |
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BD
巻 |
発売日[37] |
収録話 |
規格品番
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1 |
2020年3月25日 |
第1話 - 第6話 |
KAXA-7891
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2 |
2020年4月24日 |
第7話 - 第12話 |
KAXA-7892
|
3 |
2020年7月29日 |
第13話 - 第18話 |
KAXA-7893
|
4 |
2020年8月26日 |
第19話 - 第24話 |
KAXA-7894
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Webラジオ
リヒトー=バッハ役の中島ヨシキと陽菜役の本泉莉奈によるWebラジオ『プランダラジオ』が、2020年1月7日から7月7日まで音泉にて隔週火曜に配信[38]。
出典
外部リンク