ドロ・ペッシュ (DORO 、Dorothee Pesch、1964年 6月3日 - )は、ドイツ 出身の女性ロック ミュージシャン 、シンガーソングライター 、音楽プロデューサー 。
同国を代表するHR/HM 系女性ボーカリスト の先駆者、象徴的存在として知られる。米『LA Weekly』誌選出「女性メタル・シンガー TOP10」で2位。
※バンド活動のソロ名義である「DORO 」も、この項目で説明する。
略歴・背景
デュッセルドルフ 出身。幼少期から歌い始め、ピアノなどを習っていた。学生時代にはグラムロック などのロック・ミュージック に興味を持つようになる。
1980年 、地元のインディーズ ・バンド 「Snakebite」に加入し、ボーカリスト として音楽活動を始める。デモを作成するもデビューまでには至らず、翌年にバンドは解散。
ウォーロック時代(1982年 - 1989年)
[ 1] 1982年 、旧Snakebiteメンバーに加え、交流があったロックバンド「Beast」のメンバーらと、HR/HM バンド「ウォーロック(Warlock) 」を結成。ソングライター としても名を連ねる。
1984年 、ラルフ・ヒューベルト(メコン・デルタ 主宰)らがエンジニアを務めた1stアルバム『Burning the Witches』でデビュー。当時では希少だった女性ボーカル を配するHR/HMバンドという事もあり、大きな注目を集めた。
翌年には大手レーベル「ヴァーティゴ 」と契約し、2ndアルバム『Hellbound』でメジャーデビュー。1986年 の3rdアルバム『True as Steel』に伴うライブでは、大型ロックフェス「モンスターズ・オブ・ロック 」に女性アーティストとして初めて出演する。
同年に拠点をアメリカ合衆国 に移して、新たなマネージメントと契約した翌1987年 、4thアルバム『Triumph and Agony』を発表。これが全米ビルボードチャート 80位にランクイン。全米ツアーも好評で、バンドは隆盛を極める。
しかし翌1988年 、盟友マイケル・ユーリック(Ds)が脱退し、オリジナルメンバーは自身のみになる。更に旧マネージメント側とでバンド名などの権利問題が勃発。法廷闘争にまで発展し、ウォーロック名義が差し止められる。裁判は2011年 まで続き、最終的には自身の権利を認められた。
ソロ活動開始(1989年 - 2002年)
オランダ・ヘルモント公演 (2006年4月)
[ 2] 1989年 、ウォーロック名義の活動が頓挫したため、次作として予定していたアルバム『Force Majeure』をレーベルからの意向もあって、ソロ名義「DORO 」のデビューアルバムとしてリリース。ウォーロック在籍メンバーも本作のみで解消し、パーソナルバンドを率いての活動に移行していく。
1990年 、プロデュースにジーン・シモンズ やトミー・セイヤー らが関わった2ndソロアルバム『Doro』をリリース。事実上最初のソロ作として制作され、アメリカナイズされたハードロック 、もしくはポップロック なスタイルに転向した。以降も、ほぼ同様な路線でコンスタントにリリースを重ねる。
2000年 にリリースした7thソロアルバム『Calling the Wild』のゲストには、レミー・キルミスター , スラッシュ , スティーヴ・スティーヴンス , アル・ピトレリ , エリック・シンガー , ボブ・キューリック 他、HR/HM 系ミュージシャンの面々が多数名を連ね、原点のヘヴィ路線に回帰する。また、自身も初めてプロデュースに参画した。
2001年 、同郷で同じ時代を体現してきた同世代の女性ボーカリスト 、ザビーナ・クラッセン(ホーリー・モーゼス )と共演。以降、女性アーティスト達との関わりも意識し始める。
メタル・クイーンとして〜以降(2003年 - 現在)
ドイツ・ラジオ局「1LIVE」主催表彰式にて (2014年12月)
[ 3] 2003年 /2004年 、デビュー20周年時期のライブで、旧ウォーロック・メンバーと共演。アコースティック /シンフォニック に再録した9thソロアルバム『Classic Diamonds』のコンセプトに伴い、「The Classic Night Orchestra」を率いてツアーを展開、ブレイズ・ベイリー や日本のSAEKO も同行した。また、この頃からファン・コミュニティらの間で "メタル・クイーン " と呼ばれ始め浸透していく。
その後、映画に出演し女優 業にも進出。そのサウンドトラック曲も収録した節目の10thソロアルバム『Warrior Soul』を2006年 にリリース。映画のプロモーションも兼ね、世界各地をライブツアーで周る。
2008年 末、デビュー25周年を記念した地元デュッセルドルフ のISSドーム・ライブに、ザビーナ・クラッセン(ホーリー・モーゼス ), リヴ・クリスティン(リーヴズ・アイズ ), ターヤ・トゥルネン (元ナイトウィッシュ ), フロール・ヤンセン (アフター・フォーエヴァー ), ジーン・チョウ (クリプテリア )ら女性ボーカリスト 、また、クラウス・マイネ , ルドルフ・シェンカー , アクセル・ルディ・ペル ら母国の重鎮達、旧ウォーロック・メンバー他多数のミュージシャンが祝うために集結した。この模様はライブ作品『25 Years in Rock... and Still Going Strong』として2010年 に発表。
2009年 、母国最大のHR/HMフェス「ヴァッケン・オープン・エア 」の開催20周年を記念した楽曲制作を担当。シングル ・リリースもされ、同フェスで披露した。11thソロアルバム『Fear No Evil』のゲストにザビーナ・クラッセン, ターヤ・トゥルネンのほか、アンジェラ・ゴソウ (アーチ・エネミー )が参加し話題となる[ 4] 。翌2010年には初来日公演を果たす。
2010年代 に入ると、女性ロック界のレジェンドとして認識され始め、各地で表彰されるようになる。2013年 、英『METAL HAMMER』誌選出による「Golden God Legend award」を受賞。米『LA Weekly』誌の「女性メタル・シンガー TOP10」では2位に選出された[ 5] 。
2014年 、デビュー30周年記念のライブを開催し、それに伴うコンピレーション作品『Strong and Proud』を2016年 にリリース[ 6] 。ウリ・ジョン・ロート , ウド・ダークシュナイダー ら母国の重鎮が参加した[ 7] 。
2018年 、大物ゲストが多数参加した6年ぶり2枚組の大作ソロアルバム『Forever Warriors, Forever United』を発表。国内チャートでは歴代最高の4位を記録した。関連インタビュー内で、リタ・フォード との将来的な共演も示唆している[ 8] 。同年、『ヘヴィ・メタル・ヒストリー』の殿堂入り[ 9] 。
ギャラリー
ノルウェー・クヴィネスダル公演 (2009年4月)
ブラジル・サンパウロ公演 (2011年4月)
ドイツ・ゲルゼンキルヒェン公演 (2015年5月)
ドイツ・ローレライ公演 (2016年6月)
ドイツ・マンハイム公演 (2017年6月)
ドイツ・ヴァッケン公演の企画にて (2018年8月)
DOROバンド
DORO ドロ
ドイツ・オーバーハウゼン公演(2017年12月)
基本情報 出身地
ドイツ ジャンル
ヘヴィメタル ハードロック 活動期間
1989年 - 現在 メンバー
ドロ・ペッシュ バス・マース ビル・ハドソン ステファン・ハーケンホフ ジョニー・ディー 旧メンバー
別記参照
DORO (ドロ)は、ドロ・ペッシュのソロ転向後に発足した、バックサポートを務めるパーソナル・バンド。基本的にはドロ・ペッシュ個人が楽曲制作の全権を担うが、メンバーと共作する場合もある。2010年代 はメンバー交代も少なく安定していた。
メンバー
※2023年7月時点
現ラインナップ
ドロ・ペッシュ (Doro Pesch) - ボーカル (1989- )
バス・マース (Bas Maas) - ギター (2008- )
ビル・ハドソン (Bill Hudson) - ギター (2021- )
ステファン・ハーケンホフ (Stefan Herkenhoff) - ベース /キーボード (2021- )
ジョニー・ディー (Johnny Dee) - ドラムス (1993–1995, 1998- )
ドロ・ペッシュ(Vo) 2018年
バス・マース(G) 2018年
ステファン・ハーケンホフ(B) 2019年
ジョニー・ディー(Ds) 2018年
旧メンバー
ジョン・レヴィン (Jon Levin) - ギター (1989)
トミー・ヘンリクセン (Tommy Henriksen) - ベース (1989)
ボビー・ロンディネリ (Bobby Rondinelli) - ドラムス (1989)
ポール・モリス (Paul Morris) - キーボード (1989-1990)
トーマス・ジュード (Thomas Jude) - ギター (1990)
トム・クームス (Tom Coombs) - ドラムス (1990)
ニック・ダグラス (Nick Douglas) - ベース/キーボード (1990-2020)
マイケル・ティレル (Michael Tyrrell、Michael Shawn) - ギター (1991-1992)
ジェフ・ブルーノ (Jeff Bruno) - キーボード/ギター (1991-1992)
トニー・マック (Tony Mac) - ドラムス (1991-1992)
クリス・ブランコ (Chris Branco) - ドラムス (1993)
ジミー・ディレラ (Jimmy DiLella) - キーボード/ギター (1993-1995)
ジョー・テイラー (Joe Taylor) - ギター (1993-2009)
ラス・アーウィン (Russ Irwin) - キーボード/ギター (1995-1996)
フランク・フェラー (Frank Ferrer) - ドラムス (1995-1996)
マリオ・パリッロ (Mario Parillo) - キーボード/ギター (1998-2001)
オリバー・パロタイ (Oliver Palotai) - キーボード/ギター (2001-2011)
ロバート・カトリック (Robert Katrikh) - ギター (2008)
ハリソン・ヤング (Harrison Young) - キーボード/ギター (2009-2015)
ルカ・プリンシオッタ (Luca Princiotta) - ギター/キーボード (2009-2021)
ディスコグラフィ
アルバム
スタジオアルバム
ライブアルバム
コンピレーション
ほか
ライブビデオ
ウォーロック名義
アルバム
ライブビデオ
脚注
外部リンク