セオドア・Y.・ツォー (Theodore Y. "Ted" Ts'o、1968年 - )は、ソフトウェア開発者 である。彼はLinuxカーネル 開発における古くからの貢献者であり(有名なタネンバウムとリーナスの論争 [ 1] においても彼の名前が見られる)、主にファイルシステム 周辺の改善で有名である。彼自身、またリーナス が語るところによれば、彼は北米地域 における初のLinuxカーネル開発者である[ 2] 。
彼は1990年 にMIT で計算機科学 の学位 を得て卒業した。卒業後、彼はMITの情報システム部門 (Department of Information Systems , IS)[ 3] に1999年 まで勤務していた。この間多くの業績を残しているが、なかんずく、彼はKerberos バージョン5の開発チームリーダーを務めた[ 4] 。MITのISを離れた後、彼はVA Linux Systems に採用され2年間勤務した。2001年 12月 からは、彼はIBM に雇用され、Linuxカーネルのパフォーマンス、スケーラビリティ 向上を目指した。2007年 12月 には彼はLinux Foundation (LF)に勤務していた。
ツォーはここで、LFの最高プラットフォーム戦略担当者(Chief Platform Strategist)を務めた[ 5] 。2008年 12月 からは、彼はLFの最高技術責任者 (CTO)に任命された。これはマルクス・レックス (Markus Rex)がノベル に復帰したことによるものである[ 6] 。
2010年 1月 からは、ツォーは、Google に雇用された[ 7] 。彼は「カーネル、ファイルシステム、ストレージ に関して業務を行う」旨述べている[ 8] 。
彼は、ext2 , ext3 (現在はext4 もサポートしている)各ファイルシステムの初期化などの管理用ユーザースペース ユーティリティ、e2fsprogs の初期開発者・管理者であり、ext4ファイルシステムのメンテナである。
ツォーは2008年 6月 までUSENIX の会計も務めており、またLinux Kernel Developers Summit の議長も務めていた。
ツォーは2003年 3月 にDebian 開発者となっており、ほとんどがe2fsprogsを含むファイルシステム関連ではあるがいくつかのパッケージを管理している[ 9] 。
彼は、IETF のセキュリティ分野理事会(Security Area Directorate)メンバー、IPsec ワーキンググループ (IPsec WG )の議長の一人であった。また、Free Standards Group の創設委員の一人であり、現在は議長である。
1994年 、彼は/dev/random と関連するカーネルドライバを作成した。これらの成果はLinuxにおいて(そしてその他のUnix系 OSにおいても)ユーザー空間プログラムに高品質の暗号論 的乱数 を提供する最初のカーネル・インタフェース となった[ 10] 。/dev/randomはハードウェア乱数生成器 へのアクセスができない場合でも動作し、またユーザー空間プログラムがハードウェア乱数生成器の存在を仮定している場合でも利用できるようになっている[ 11] [ 12] 。rngd のような独自のデーモン はこのようなハードウェアから乱数を取得できると同時に/dev/random経由で乱数にアクセスできる[ 13] 。この後、/dev/randomと/dev/urandomはLinux、BSD そしてMac OS システムなどUnix系OSにおいて乱数生成の標準的インタフェースの地位を得ている[ 14] 。こんにち、PGP とそのGNUプロジェクト 版のGPG 、GUID 、IPsec 、ファイルシステムレベル暗号化 (英語版 ) などの多くの有名なプログラムや機構は/dev/randomを利用している。
彼は、フリーソフトウェア財団 から2006年 のAward for the Advancement of Free Software を授与された。
英語版ウィキペディア における本記事 のノート に記載された彼(en:User:Tytso )自身の発言によると、彼の父母は香港 より渡米し、彼の父はスタンフォード大学 にて精神薬理学 の博士号 を取得している。また彼の名前を敢えて中国語 表記すると、「曹子徳」(曹子德 / 曹子德 、そう・しとく、ツァオ・ツードェ、拼音 : Cáo Zǐdé )となる[ 15] 。
脚注
外部リンク