『ゲッタウェイ』(The Getaway)は、1972年のアメリカの強盗映画。原作はジム・トンプスンが1958年に著した同名の小説[4]。日本公開は1973年。スティーブ・マックイーン主演のアクション映画である。
物語
刑務所に服役中のドク・マッコイ(スティーブ・マックイーン)は、申請していた仮釈放が認められず、やむなく政治力のある大物ベイノン(ベン・ジョンソン)の手を借りて裏工作で釈放された。見返りとして、ドクに銀行強盗を命じるベイノン。
妻で犯罪の相棒でもあるキャロル(アリ・マッグロー)や、ベイノンが雇ったルディ(アル・レッティエリ)らと銀行を襲い、50万ドルを強奪するドク。金の独り占めを目論むルディが一味の皆殺しを図ったが、返り討ちにしたドクは、キャロルと共にベイノンの待つ別荘に向かった。
ベイノンが銀行強盗を計画した理由は、銀行の理事である弟が使い込んだ25万ドルを盗まれた金に紛らせて、罪を隠ぺいするためだった。更にドクの口を封じようと、事前にキャロルを抱き込んでいるベイノン。だが、キャロルはドクではなくベイノンを撃ち殺し、ドクと共に金を持って逃走した。
メキシコに逃れる為に、国境の町エルパソに向かうドクたち。一命を取り留めたルディと、手下を従えたベイノンの弟も、それぞれがドクを追い、車でエルパソに向け出発した。列車を利用しようと駅に向かうドクとキャロル。だが、置き引きの男に金の入ったバッグを盗まれ、取り返している間にエルパソ行きの直通列車を逃してしまった。
短距離を列車移動し、車を買ってエルパソを目指そうとするドクたち。しかし、置き引きの騒ぎで大金と顔を見られたドクは銀行強盗と特定され、顔写真がテレビや新聞で報道されて、市民たちの注目を浴びる身となっていた。
目撃者たちに通報されながらも、エルパソにある「犯罪者たちの常宿」に辿り着くドクとキャロル。だが、ルディやベイノンの弟たちも宿に到着した。銃撃戦でルディらを倒し、町の修理屋のトラックで逃走するドクとキャロル。気のいい修理屋の親父の協力で国境を超えたドクたちは、大金でオンボロ・トラックを譲り受け、メキシコの大地へと走り去った。
キャスト
製作
本作は当初ピーター・ボグダノビッチ監督、シビル・シェパード主演で進められていた。町山智浩によれば、ボグダノビッチ以前にサミュエル・フラーが監督をする予定であったという[9]。脚本も当初は原作者ジム・トンプスン自身が執筆していたが、マックィーンが脚本の結末を気に入らなかったことからウォルター・ヒルに交代させている[10]。アル・レッティエリが演じたルディ役は、当初はジャック・パランスが予定されていたが、ギャラの問題などで実現しなかった[11]。
劇伴はペキンパー作品の常連ジェリー・フィールディングが担当する予定が、マックィーンの主張でクインシー・ジョーンズのジャズ音楽に差し替えられた[12]。ジョーンズはオリジナルの音楽でゴールデングローブ賞にノミネート[13]された。
日本で公開されたときは、スペイン版とアメリカ版(アメリカでは州法の規定により違う)でエンディングが若干異なるところがあると言われてきたが、それはトビー門口によるデマだという[14]。
人気や後の作品に与えた影響など
この作品に対してペキンパー本人は不満を持っていたとされるが、ペキンパー作品最大のヒット作である。
夫婦を演じたマックイーンとマッグローは、この作品の共演をきっかけに結婚した(のち78年離婚[15])。
1994年にアレック・ボールドウィン、キム・ベイシンガー主演(当時夫妻、後に離婚)でリメイクされた(ゲッタウェイ (1994年の映画) を参照)。
脚注
外部リンク
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