インド共産党毛沢東主義派 (インドきょうさんとうもうたくとうしゅぎは、Communist Party of India (Maoist) )とは、インド の極左 武装組織である。インド毛派 とも呼ばれている。
概要
2007年(左)と2013年(右)のナクサライトの勢力図
1960年代 の西ベンガル州 ナクサルバーリー地方での小作争議 から生じたナクサライト (英語版 ) の代表格であり[ 1] 、2004年 にインド毛沢東主義派共産主義 者センターと共産党マルクス・レーニン主義 派・人民闘争グループが合流して結成され、2000年代 に猛威を振るい、2006年 にインドの首相マンモハン・シン はインド毛派をはじめとするナクサライトを「インド国内で安全保障上最大の脅威」と述べ[ 2] [ 3] 、2013年 にインド政府はインド国内の76の地域がインド毛派をはじめとするナクサライトのテロを受けており、106の地域が思想的な影響下にあるとしていた[ 4] 。
伝統的なヒンドゥー教 のもたらしたカースト 制度とグローバリゼーション の市場原理主義 による格差社会 を階級闘争 と人民戦争 で打倒して政府から権力を奪取すべきと主張し[ 5] [ 6] 、歴代政権 が経済発展を優先して貧困 と格差 やカースト制の問題を放置した不満から農民 や低カースト層の間で勢力を拡大させ[ 7] [ 8] 、特に赤い回廊 (英語版 ) と呼ばれている貧富の差が激しい最貧地域で積極的に活動を行った[ 9] [ 10] [ 11] 。また、都市部でナクサライトを支持する「アーバン・ナクサル (英語版 ) 」の存在はインドで議論を呼んだ[ 12] [ 13] 。
2011年 11月、最高指導者の一人のマロジュラ・コテシュワル・ラオ (英語版 ) (別名、キシェンジ)が西ベンガルで治安 部隊との交戦で殺害され[ 14] 、翌2012年 7月には西ベンガルで組織の再編成に当たっていた最高幹部の一人でインド工科大学 の元学生であるアルナブ・ダム(別名、ビクラム)も治安部隊に逮捕され[ 15] 、組織は打撃を受けるもその後もテロ 活動が続くなど壊滅には至らなかった[ 16] [ 17] 。
合法的な政権獲得と議会進出に転換したネパール共産党毛沢東主義派 とはかつて協力関係にあった[ 18] 。
テロ活動
西ベンガル州鉄道脱線事故
2010年5月28日、西ベンガル州 で走行中のコルカタ 発・ムンバイ 行きの特急列車13両が脱線し、そのうち4両が走行中の貨物列車に衝突し、148人が死亡。同党によりレールの部品が取り外されたものとされている[ 19] [ 20] [ 21] 。
マルチ・スズキ暴動事件への関与疑惑
2012年 7月18日 、インド北部のハリヤーナー州 カサン村にあるスズキ のインド法人マルチ・スズキ のマネサール工場で暴動 が発生。同社の幹部1人が死亡、日本人 12人を含む約100人が負傷した。7月23日 付の有力紙「ヒンズー」などは、インド内務省 が同社労働組合 幹部と同党との関係を調べるよう指示したと報じた[ 22] 。警察 は労働組合幹部100人を拘束して取り調べたが、村の長老の一人は「村に左派 はいない」と同党の介入を否定。周辺地区との工場の誘致合戦が原因ではないかとした[ 23] 。日本の新左翼 過激派 ・革命的共産主義者同盟全国委員会 (中核派)の機関紙 『前進』は7月19日 付け速報で、暴動の内容を「ストライキ」として詳細に報道。同社の高圧的対応が労働組合の争議を過激化させたとした[ 24] 。
チャッティースガル州でのテロ
2013年5月25日、インド中部のチャッティースガル州 を移動中の国会議員団がおよそ300人の毛沢東 派武装集団に襲撃され、関係者27名が死亡した。
2014年3月11日、チャッティースガル州スクマ地区の治安部隊が毛沢東派の集団に襲撃され、州警察によると警察官 20人が死亡した[ 25] 。
2021年4月4日、ビジャープルで警察部隊を襲撃、銃撃戦となった。警察側の隊員22人が死亡、30人が負傷[ 26] 。毛沢東主義派側の被害は不明。
関連項目
出典
^ “Naxalite | Indian communist groups ” (英語). Encyclopedia Britannica . 2019年5月18日 閲覧。
^ Robinson, Simon (29 May 2008). “India's Secret War” . Time . http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1810169-1,00.html 2019年5月18日 閲覧。
^ “India's Naxalite Rebellion: The red heart of India” . The Economist (London). (5 November 2009). http://www.economist.com/world/asia/displaystory.cfm?story_id=14820724 2019年5月18日 閲覧。
^ "India: Maoist Conflict Map 2014". New Delhi: SATP. 2014.
^ "Communist Party of India-Maoist (CPI-Maoist)". South Asia Terrorism Portal. Institute for Conflict Management.
^ Anand, Vinod (2009). “Naxalite ideology, strategy and tactics” (PDF). Studies & Comments 9 – Security in South Asia: Conventional and Unconventional Factors of Destabilization (Munich: Hanns Seidel Foundation) 9 : 19–32. オリジナル の18 May 2012時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120518115713/http://www.hss.de/uploads/tx_ddceventsbrowser/SC-9_South-Asia_01.pdf 19 January 2010 閲覧。 .
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^ Lancaster, John (13 May 2006). "India's Ragtag Band of Maoists Takes Root Among Rural Poor". Washington Post Foreign Service.
^ Magnus Öberg, Kaare Strøm , "Resources, Governance and Civil Conflict", Routledge, 2008, ISBN 0-415-41671-X . Snippet: ... the general consensus is that the insurgency was started to address various economic and social injustices related to highly skewed distributions of cropland ...
^ Debal K. SinghaRoy, "Peasant Movements in Post-colonial India: Dynamics of Mobilization and Identity", Sage Publications, 2004, ISBN 0-7619-9826-8 .
^ *Loyd, Anthony (2015). “India's insurgency” . National Geographic (April): 84. https://www.nationalgeographic.com/magazine/2015/04/india-coal-conflict-minerals-maoist-insurgency/ March 13, 2018 閲覧。 .
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^ < 鉄道を標的としたテロの脅威に対する注意喚起 > 在ムンバイ日本国総領事館、2010年7月6日
^ インドで列車脱線事故、死傷者245人超す 毛派の攻撃 THE EPOCH TIMES、2010年5月29日
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^ 毛派が治安部隊襲撃、警官20人死亡の情報 インド cnn.co.jp 2014年3月12日
^ “インドの毛沢東主義派が治安部隊を襲撃、22人死亡 ”. AFP (2021年4月4日). 2021年5月4日 閲覧。
外部リンク