金沢弁(かなざわべん)は、石川県の金沢市およびその近郊で話されている日本語の方言である。北陸方言の加賀方言の一種。金沢言葉(金沢ことば)とも言うが、「金沢言葉」は特に旧市街の花街を中心に発達した接客言葉を指す。
他の北陸の諸方言と同様、近畿方言の影響を受けつつ、雪国の城下町という特性のなかで発達してきた方言である。そのため、文法や語彙に近畿方言と共通するものが少なくない一方、独特の敬語表現や柔らかな表現が発達している。しかし、共通語化で金沢特有の敬語表現は衰退しており、1990年代の市民アンケートでは高齢層の70%が金沢弁を「丁寧」と評価する一方、壮年層では26%となっている[1]。北陸は方言コンプレックスが強い地方で、先のアンケートでも「金沢が好きか嫌いか」という問いでは「好き」が約80%なのに対し、「金沢の方言が好きか」という問いには「好き」が47%、「どちらとも言えない」が45%だった[1]。外部への方言のアピールも消極的で、都市の知名度と比べて金沢弁は全国的にマイナーな存在だったが、2015年の北陸新幹線延伸を前後して観光客向けに方言を活用する動きが盛んになった[2]。
金沢は加賀藩のお膝元だったため、金沢弁は加賀藩領だった地域の方言に大なり小なり影響を及ぼした。富山弁(特に呉西地方)と金沢弁で共通する表現が多いのはそのためである。現在も金沢で使われる言葉は地域共通語として県内で影響力があり、県南端の白山麓でも若い世代では共通語化とともに金沢方言化の動きが見られる[3]。1970年頃には金沢を中心とする方言圏の南限は野々市周辺とされていたが、2000年代には松任周辺に南下している[4]。ただし、金沢弁とはあくまで金沢という石川県内の一地域の方言であり、「石川県の方言=金沢弁」と一括りにするのは誤りである。
意味が損なわれない範囲で助詞、主語、人称などが省略されることが多く、言葉が並んで文を成す傾向がある。[要出典]