日本製鉄北日本製鉄所釜石地区 NIPPON STEEL CORPORATION, North Nippon Works, Kamaishi Area |
---|
|
操業開始 |
1886年10月16日 (1886-10-16)[3] |
---|
場所 |
日本 岩手県釜石市 |
---|
業種 |
鉄鋼業 |
---|
生産品 |
特殊鋼線材 |
---|
従業員数 |
236人(2020年3月31日時点)[3] |
---|
敷地面積 |
3.44 km2 |
---|
住所 |
岩手県釜石市鈴子町23-15 |
---|
所有者 |
日本製鉄 |
---|
日本製鉄北日本製鉄所(にっぽんせいてつきたにっぽんせいてつしょ、英文:NIPPON STEEL CORPORATION, North Nippon Works[4])は、日本製鉄の製鉄所である。2022年4月1日に同社の室蘭製鉄所と東日本製鉄所釜石地区を統合して発足した[5]。
室蘭地区、釜石地区に分かれており、それぞれの所在地は次のとおりである。
室蘭地区
1909年(明治42年)の操業以降、北海道唯一の「銑鋼一貫製鉄所」として鉄鋼製品を供給している[6]。1985年(昭和60年)に生産品種を普通鋼から特殊鋼の棒鋼・線材に転換しており、構内には高炉と電炉が共存し、製鉄事業を中心に鋼材加工事業やシステム・エンジニアリング事業を結び付けたコンビナートを形成しており、日本製鉄グループの企業などが集積している。主力製品の特殊鋼棒鋼・BIC、特殊鋼線材は、自動車のエンジンや足回りの保安部品に使用されている[8]。構内のインフラストラクチャーを活かした「プラスチックリサイクル事業」を行うなど、環境産業にも注力しているほか[8]、独立系発電事業者(IPP)として北海道電力へ電力を卸している[9]。構内にはポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理事業を行う中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)の北海道PCB処理事業所が操業している[10]。2020年3月までは、棒線事業部所属であったが、2020年4月1日実施の製鉄所組織の統合・再編成により、本社直轄となり[11]、2022年4月1日に東日本製鉄所釜石地区と統合され、北日本製鉄所が発足したことに伴い、北日本製鉄所室蘭地区となる。
設備
室蘭製鉄所で特殊鋼を手掛けたのは1974年(昭和49年)の棒鋼工場稼働からである[12]。特殊鋼業界では決して早くから参入したわけではないが、国産の第1号連続鋳造機を稼働させた技術力を磨き、自動車重要保安部品用の特殊鋼棒鋼では業界初となる連続鋳造化に成功している[12]。また、VHミルや調整冷却・精密圧延など業界先駆けとなる設備を次々と立ち上げて装備力を高め、特殊鋼の生産に最適な体制を確立していった[12]。
主要製造設備
- 製銑(高炉):2,902 m³×1基(第2高炉)[14]
- 製鋼
- 予備処理:溶銑予備処理
- 転炉:270T/CH×2基
- 連続鋳造機:350×560 mm(4ストランド)、220×220 mm(6ストランド)
- 精錬設備(二次精錬):真空脱ガス装置、炉外精錬設備
- 分塊
- 鋼片精整:ショット・ブラスト、超音波探傷機、磁粉探傷機、疵取装置
- 圧延
- 圧延機形式:全連続VHミル+高剛性3ロール仕上ミル(棒鋼工場)、全連続VHミル+NTブロックミル+高精度仕上ミル(線材工場)
- ストランド数:1(棒鋼工場、線材工場)
- 調整冷却:BIC 衝風冷却、徐冷(棒鋼工場)、温水/冷水EDC、ドライ、リターデット(線材工場)
- 冷却床:フルヘッレン式(棒鋼工場)
- 切断機:冷間せん断機(棒鋼工場)
- オンライン検査機:熱間渦流探傷機、プロフィルメーター(棒鋼工場、線材工場)
- 製品精整:オフライン検査機(超音波探傷機、漏洩磁束探傷機、磁粉探傷機)
- 二次加工:連続焼鈍炉、バッチ焼鈍炉、連続酸洗ボンデ設備、全長疵検査設備
歴史
室蘭製鉄所は、1909年(明治42年)に北海道炭礦汽船(北炭)の井上角五郎の尽力により、同社の輪西製鐵場として誕生した[15]。天然の良港である室蘭港、夕張の石炭、噴火湾一帯の砂鉄、虻田(現在の洞爺湖町)の鉄鉱石を基盤としており、日露戦争を契機とする鉄鋼需要の増加に対応するため、輪西村に日本国内初の砂鉄精錬(たたら製鉄)による溶鉱炉を建設した。操業当時は溶鉱炉による砂鉄精錬が難しく、火入れ後まもなく一時停止した記録が残されている。第二次世界大戦(大東亜戦争)による戦線拡大は兵器に使用する鉄鋼の増産に繋がり、工場は24時間稼働し続けた[17]。このような中、1939年(昭和14年)から、朝鮮半島出身の労働者の勤労が応募(のち官斡旋、さらにのち徴用)としてが始まり[17]、終戦時には輪西製鐵所では多数の朝鮮人労働者が従事していた[17]。同様に、中国人も1944年(昭和19年)から1945年(昭和20年)にかけて室蘭で1,855人が港湾荷役などを行っていた[17]。
年表
日本製鐵(日鉄)
- 1934年(昭和9年) - 日本製鐵(日鉄)発足に伴い、「日本製鐵輪西製鐵所」となる。
- 1939年(昭和14年) - 仲町第1高炉火入れ(その後、1941年までに第2・第3高炉火入れ)。
- 1941年(昭和16年) - 事業所病院開設[19]。第1平炉稼働。
- 1942年(昭和17年) - 線材工場稼動。
- 1945年(昭和20年) - 北海道空襲・室蘭艦砲射撃により甚大な被害を受ける。
富士製鐵(富士鉄)
- 1950年(昭和25年) - 「富士製鐵輪西製鐵所」発足[20]。私立輪西工業学校(後の新日鉄室蘭高等工業学校)開校(1975年閉校)[21]。
- 1951年(昭和26年) - 「富士製鐵室蘭製鐵所」と改称[20]。
- 1954年(昭和29年) - 輪西町高炉休止し、仲町高炉に集約。
- 1955年(昭和30年) - 薄板工場休止。
- 1957年(昭和32年) - 連続鋼板(熱延)工場稼働[20]。
- 1961年(昭和36年) - 第4高炉火入れ[20]。第2製鋼(転炉)工場稼働[20]。
- 1965年(昭和40年) - 第1連鋳機稼働(国産1号機)[20]。冷延工場稼動(現在廃止)[20]。
- 1967年(昭和42年) - 転炉化により全平炉休止[20]。大形鋼工場稼働[20]。
- 1969年(昭和44年) - 第5焼結稼働[22]。第2線材(棒線)工場稼働[20]。
新日本製鐵(新日鉄)
新日鐵住金
日本製鉄(日鉄)
アクセス
釜石地区
日本の近代製鉄業発祥の地・釜石に立地する工場で、福岡県八幡市(現・北九州市八幡東区)の八幡製鐵所よりも早くに操業を開始した日本最古の製鉄所である。官営の製鉄所として1880年(明治13年)に操業を開始するが、満足な成果を出せず3年後に閉鎖。軌道に乗ったのは民間人である田中長兵衛に払い下げられた後の1886年以降のことである。1887年には田中の名を冠した釜石鉱山田中製鉄所が設立。戦前までは比較的大規模な製鉄所であったが、戦時中に釜石艦砲射撃で壊滅。戦後復活し、1950年の日本製鐵解体後は富士製鐵の主力製鉄所の一つとなるものの、1960年代から縮小が始まり、新日鉄発足後の1989年に高炉を休止したため現在は銑鋼一貫製鉄所ではない。
現在は線材の生産拠点で、かつては製銑・製鋼用の設備、鋼板や形鋼・棒鋼用の圧延設備があったが、現在は線材圧延設備以外存在しない。敷地面積は344万平方メートルである(2017年10月1日時点)。従業員数は236人となっている(2020年3月31日時点)[3]。
製品の線材は鋼を細く圧延しコイル状に巻いた鋼材で、釜石で製造される線材の種類には低炭素鋼・中炭素鋼線材や、ばねやケーブルに使用される高炭素鋼線材、ボルトなどの部品の材料に使用される冷間圧造(鍛造)用線材、ラジアルタイヤに使用されるスチールコード用線材、溶接用線材などがある。
鉄鋼分野の設備ではないが、日本製鉄の独立発電事業 (IPP) の拠点の一つでもあり、火力発電所を設置し、東北電力に発電した電力を供給。13万6,000kWの出力は岩手県内で最大の出力であり、2015年からは木質バイオマス燃料の使用を開始した[36]。
沿革
- 日鉄時代まで
- 富士製鐵時代
- 新日本製鐵時代
- 新日鐵住金時代
- 2012年(平成24年) - 新日本製鐵と住友金属工業が合併し新日鐵住金が発足。
- 日本製鉄時代
設備
釜石製鉄所は1989年3月までは銑鋼一貫製鉄所として稼働していた。しかし経営合理化により主要な工場は休止に追い込まれ、1989年3月の高炉休止により複合事業へ転換した。現在は線材工場のみの稼働であるが、高品質な線材の製品を供給し続けている。
主要製造設備
- 圧延
- 圧延機形式:全連続HHミル+NTブロックミル+ミニブロックミル(線材工場)
- ストランド数:2(線材工場)
- 調整冷却:衝風冷却、SCS(線材工場)
- オンライン検査機:熱間渦流探傷機、プロフィルメーター(線材工場)
- エネルギー
- エネルギー工場(火力発電所):定格出力13.6万KW
過去製造設備
アクセス
関連項目
- 釜石市
- 鈴木善幸
- 三鬼隆 - 出川哲朗の母方の大伯父
- 永野重雄
- 釜石鉱山田中製鉄所 - 釜石製鐵所の前身にあたる製鉄所。
- 釜石鉱山 - 釜石製鐵所に鉄鉱石を供給した鉱山。
- 釜石鉱山鉄道 - 鉱山と製鉄所を結んだ鉄道路線。
- せいてつ記念病院 - 釜石製鐵所の元付属病院。1990年に独立して医療法人楽山会が運営。
- 釜石共栄 - かつて釜石市内に展開していたスーパーマーケット。釜石製鐵所の購買部が前身。
- 釜石製鐡所山神社 - 当所の守護神社
- スポーツ部
福利厚生
室蘭地区
関連施設
- 独身寮「輪西寮」
- 社宅
- 日本製鉄球場
- 日本製鉄体育館
- 輪西サッカーグラウンド[38]
クラブ活動
旧社員倶楽部
釜石地区
関連施設
クラブ活動
関連会社
脚注
参考資料
関連項目
外部リンク