定西市(ていせいし)は、中華人民共和国甘粛省の中部に位置する地級市。
地理
黄河の支流である渭河が流れ、市内の水源の大部分となっている。降水が僅かな半不毛地帯で、日光が激しいが気候は涼しい。 周囲の地形は黄土の丘が殆どで、北は渓谷、南は高地である。
気候
定西市(安定区)(1981年 - 2010年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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14.6 (58.3)
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20.3 (68.5)
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26.7 (80.1)
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29.6 (85.3)
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31.2 (88.2)
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32.0 (89.6)
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35.1 (95.2)
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34.2 (93.6)
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31.0 (87.8)
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24.9 (76.8)
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20.9 (69.6)
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15.4 (59.7)
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35.1 (95.2)
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平均最高気温 °C (°F)
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1.1 (34)
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4.1 (39.4)
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9.4 (48.9)
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16.1 (61)
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20.6 (69.1)
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23.8 (74.8)
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25.9 (78.6)
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24.7 (76.5)
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19.8 (67.6)
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13.8 (56.8)
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8.4 (47.1)
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3.1 (37.6)
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14.2 (57.6)
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日平均気温 °C (°F)
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−6.9 (19.6)
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−2.9 (26.8)
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2.5 (36.5)
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8.7 (47.7)
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13.6 (56.5)
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17.1 (62.8)
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19.3 (66.7)
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18.3 (64.9)
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13.7 (56.7)
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7.5 (45.5)
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0.9 (33.6)
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−5.0 (23)
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7.2 (45)
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平均最低気温 °C (°F)
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−12.9 (8.8)
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−8.3 (17.1)
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−2.7 (27.1)
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2.6 (36.7)
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7.3 (45.1)
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11.0 (51.8)
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13.6 (56.5)
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13.0 (55.4)
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8.9 (48)
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2.7 (36.9)
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−4.4 (24.1)
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−10.7 (12.7)
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1.7 (35.1)
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最低気温記録 °C (°F)
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−25.5 (−13.9)
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−22.1 (−7.8)
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−14.8 (5.4)
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−8.0 (17.6)
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−2.8 (27)
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2.6 (36.7)
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4.3 (39.7)
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5.0 (41)
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−1.3 (29.7)
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−10.4 (13.3)
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−18.1 (−0.6)
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−29.7 (−21.5)
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−29.7 (−21.5)
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降水量 mm (inch)
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3.2 (0.126)
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4.1 (0.161)
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11.1 (0.437)
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24.3 (0.957)
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46.7 (1.839)
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53.3 (2.098)
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68.3 (2.689)
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85.0 (3.346)
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45.6 (1.795)
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30.1 (1.185)
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3.8 (0.15)
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1.6 (0.063)
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377.1 (14.846)
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% 湿度
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61
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59
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58
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55
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56
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63
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67
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70
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72
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72
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65
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60
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63
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出典:“中国气象数据网”. 国家气象信息中心. 2021年4月17日閲覧。
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歴史
歴史は古く、黄河上流文明の重要な発祥地である。新石器時代の馬家窯文化、斉家文化、寺窪文化、辛甸文化などがあった。古よりシルクロードの要衝としてヨーロッパとアジアを結ぶ経路にして、甘粛省の省都蘭州市より僅か98kmで東の入り口として栄えた。
2013年7月の甘粛地震での被害は、少なくとも94人が死亡、500人以上の人が負傷。
行政区画
1市轄区・6県を管轄する。
年表
この節の出典[1][2]
岷県専区
- 1949年10月1日 - 中華人民共和国甘粛省岷県分区が成立。岷県・臨潭県・漳県・渭源県・会川県・隴西県・チョネ設治局が発足。(6県1設治局)
- 1949年12月 - 岷県分区が岷県専区に改称。(6県1設治局)
- 1950年5月25日
- チョネ設治局が自治区に移行し、チョネ自治区となる。
- チョネ自治区が省直轄県級行政区となる。
- 岷県が武都専区に編入。
- 臨潭県が臨夏専区に編入。
- 渭源県・会川県が定西専区に編入。
- 漳県・隴西県が天水専区に編入。
定西地区
- 1949年12月 - 甘粛省会寧分区が定西専区に改称。(8県)
- 1949年12月5日 - 景泰県が武威専区に編入。(7県)
- 1950年5月25日 (7県)
- 1953年9月12日 - 楡中県の一部が靖遠県に編入。(7県)
- 1953年9月21日 - 天水専区通渭県の一部が会寧県に編入。(7県)
- 1953年9月 - 靖遠県の一部が平涼専区海原県に編入。(7県)
- 1954年3月26日 - 会川県の一部が甘南チベット族自治区チョネ自治区に編入。(7県)
- 1956年1月 - 皋蘭県、天水専区隴西県・通渭県、張掖専区景泰県・永登県を編入。(12県)
- 1956年4月19日 - 皋蘭県の一部が永登県に編入。(12県)
- 1956年4月24日 - 靖遠県の一部が景泰県に編入。(12県)
- 1956年6月12日 (12県)
- 会寧県の一部が靖遠県、固原回族自治州西吉県、平涼専区静寧県に分割編入。
- 靖遠県・定西県、固原回族自治州西吉県の各一部が会寧県に編入。
- 1956年8月20日 - 永登県の一部が張掖専区天祝チベット族自治県に編入。(12県)
- 1956年10月18日 - 皋蘭県の一部が景泰県に編入。(12県)
- 1956年10月20日 - 永登県の一部が張掖専区古浪県に編入。(12県)
- 1956年10月25日 (12県)
- 通渭県の一部(吉川区新土屏郷・金城郷の各一部)が天水専区秦安県に編入。
- 天水専区秦安県の一部(古城郷)が通渭県に編入。
- 1957年5月10日 - 固原回族自治州海原県の一部が靖遠県に編入。(12県)
- 1957年9月25日 - 通渭県の一部が隴西県に編入。(12県)
- 1957年10月16日 - 永登県の一部が張掖専区天祝チベット族自治県に編入。(12県)
- 1958年2月21日 (12県)
- 定西県の一部が隴西県に編入。
- 楡中県の一部が定西県・皋蘭県に分割編入。
- 1958年3月7日 (12県)
- 1958年3月8日 - 景泰県の一部が銀川専区中衛県に編入。(12県)
- 1958年4月4日 (10県)
- 会川県が渭源県、天水専区武山県に分割編入。
- 景泰県が皋蘭県に編入。
- 1958年4月11日 - 皋蘭県・靖遠県の各一部が合併し、地級市の白銀市となる。(10県)
- 1958年6月11日 - 渭源県の一部が天水専区岷県に編入。(10県)
- 1958年7月1日 - 天水専区武山県の一部が渭源県に編入。(10県)
- 1958年7月26日 - 楡中県の一部が蘭州市阿干区に編入。(10県)
- 1958年10月25日 - 白銀市を編入。白銀市が県級市に降格。(1市10県)
- 1958年12月16日 - 天水専区岷県を編入。(1市11県)
- 1958年12月20日 (1市8県)
- 渭源県が隴西県・臨洮県に分割編入。
- 皋蘭県が白銀市、蘭州市安寧区・西固区に分割編入。
- 永登県が蘭州市に編入。
- 天水専区宕昌県の一部が岷県に編入。
- 楡中県の一部が蘭州市城関区に編入。
- 1959年1月23日 - 靖遠県の一部が白銀市に編入。(1市8県)
- 1959年7月14日 - 臨洮県の一部が蘭州市七里河区に編入。(1市8県)
- 1960年11月17日 (7県)
- 白銀市が地級市の白銀市に昇格。
- 靖遠県が白銀市に編入。
- 1961年11月15日 - 臨洮県・岷県が臨洮専区に編入。(5県)
- 1961年12月15日 (5県)
- 隴西県の一部が臨洮専区臨洮県の一部と合併し、臨洮専区渭源県となる。
- 蘭州市七里河区の一部が楡中県に編入。
- 1962年6月9日 - 蘭州市城関区の一部が楡中県に編入。(5県)
- 1963年10月23日 (9県)
- 1964年5月31日 (9県)
- 蘭州市七里河区の一部が楡中県・臨洮県に分割編入。
- 蘭州市白銀区の一部が皋蘭県・靖遠県に分割編入。
- 1964年7月5日 (9県)
- 靖遠県の一部が蘭州市白銀区に編入。
- 蘭州市白銀区の一部が皋蘭県に編入。
- 1965年7月28日 - 蘭州市七里河区の一部が皋蘭県に編入。(9県)
- 1967年9月6日 - 平涼専区静寧県の一部が会寧県に編入。(9県)
- 1969年9月4日 - 定西専区が定西地区に改称。(9県)
- 1970年3月25日 - 楡中県・皋蘭県が蘭州市に編入。(7県)
- 1985年5月14日 (7県)
- 1985年9月2日 - 岷県の一部が甘南チベット族自治州テウォ県に編入。(7県)
- 2003年4月4日 - 定西地区が地級市の定西市に昇格。
臨洮専区
- 1961年11月15日 - 定西専区臨洮県・岷県を編入。臨洮専区が成立。(2県)
- 1961年12月15日 (4県)
- 天水専区武山県の一部が分立し、漳県が発足。
- 岷県の一部が武都専区武都県の一部と合併し、武都専区宕昌県となる。
- 臨洮県の一部が定西専区隴西県の一部と合併し、渭源県が発足。
- 1963年10月23日
- 臨洮県・渭源県が定西専区に編入。
- 漳県が天水専区に編入。
- 岷県が武都専区に編入。
定西市
- 2003年4月4日 - 定西地区が地級市の定西市に昇格。(1区6県)
経済
定西の土壌と気候は薬草やジャガイモの成長に極めて適し、漢方薬の材料が300種を超え豊富で党参や岷県の当帰は国内外に名を馳せる。地産のジャガイモは形がよく、質も優れ、持ちがよく、澱粉の含量が高い。日照が足り、昼夜の気温差が大きいため、地産の花は色が鮮やかで、香気もよい。各種キノコの栽培にも適している。
安定区でのヤムイモ栽培量は中国一である。定西のサンショウ、クルミ、アンズ他の果物は乾燥して輸出されており有名。
また、鉱産資源には紅柱石、大理石、花崗岩、金などが比較的多い。水エネルギー資源の蓄積量は87.84万キロワットに達する。
交通
市内は隴海線とG309国道、G312国道、G212国道、G316国道が通過し、特にここ数年来隴海線の複線化と青蘭高速道路、蘭海高速道路の完成により、定西は「蘭州の門戸」として地の利が際立ってきている。また2017年には市内を縦断する蘭渝線も全通し、重慶への鉄道ルートが確立した。
鉄道
道路
観光
漳県の貴清山、遮陽山、渭源の蓮峰山、首陽山などは国家級、省級の森林公園や通渭温泉などの観光開発が期待される。
脚注