メルヘン、メルヒェン(独: Märchen)は、ドイツで発生した散文による空想的な物語。非常に古くて重要な文学形式の一つであり、英語ではフェアリーテール(fairy tale)、フランスではコント(contes de fée)と呼ばれるものに相当する。そのルーツを説話(おとぎ話)、口承文芸に持つフォルクスメルヘン(Volksmärchen、民話、民間メルヘン)と、それらを元に創作したクンストメルヘン(Kunstmärchen、創作メルヘン、創作童話)がある。
フランスでの最初のおとぎ話収集は、シャルル・ペローによる1697年の「Histoires ou Contes du temps passé avec des moralités」であり、これによってcontes de féeと呼ばれる形式が形成され、英語では妖精物語(Fairy tale)と呼ばれる。魔法の要素や夢想的な展開はこの命名に現されている。そこには(神や悪魔による)魔法の性質だけでなく、空想的なおとぎ話の世界、特に魔法の影響を受けたもの、魔法にかかった動植物により大きな利益を得るヒーロー、象徴的な人物による質問などがある。同様に、石化した人間は、同情した人々の涙によって救出される。
19世紀に最もよく読まれた創作メルヘンの作家は、ヴィルヘルム・ハウフである。そのメルヘン集『隊商』(Die Karawane )、『アレッサンドリア物語』(Scheich von Alessandria und seine Sklaven)『シュペッサルトの森の宿屋』(Das Wirtshaus im Spessart)が毎年発表され、それぞれ異なる背景を舞台にしていることがタイトルからも見て取れる。最初の2冊は東洋、後の1冊は北方周辺を舞台にしている。いずれのメルヘンも、異邦の人に対して熱意を持って冒険を語るところに特徴がある。
1998年から2006年まで毎年、オーストリアのグラーツでは、ヨーロッパ最大の物語芸術フェスティバル「語り手の長い夜(Die lange Nacht der Märchenerzähler, GRAZERZÄHLT)」が開催された。2007年からはニーダーエスターライヒ州で同じ名前のイベントが続けられている[4]。
Enzyklopädie des Märchens: Handwörterbuch zur historischen und vergleichenden Erzählforschung, begr. von Kurt Ranke. Hrsg. von Rolf Wilhelm Brednich zusammen mit Hermann Bausinger, de Gruyter, Berlin [u. a.] 1977–, bisher 12 Bände
Helga Arend/André Barz (Hrsg.): Märchen - Kunst oder Pädagogik? Schneider Verlag Hohengehren, Baltmannsweiler 2009. ISBN 9783834005694.
Hanns Bächtold-Stäubli (Hrsg.): Handwörterbuch des deutschen Aberglaubens. Verlag de Gruyter, Berlin 1987.
Bruno Bettelheim: Kinder brauchen Märchen. dtv, Frankfurt/M. 1997.
Doris Mauthe-Schonig, Bruno Schonig und Mechthild Speichert: Mit Kindern lesen im ersten Schuljahr. Anfangsunterricht mit den Geschichten von der kleinen weißen Ente. Beltz, Weinheim und Basel 1993.
Doris Mauthe-Schonig: „Die kleine weiße Ente hat einen Traum…“ Psychoanalytische Anmerkungen zu einem Grundschulunterricht, in dem regelmäßig Geschichten erzählt werden. In: Jahrbuch für Psychoanalytische Pädagogik. Band 7, Mainz 1996.
Burkhard Meyer-Sickendiek: Die Angst im Märchen, in: Ders.: Affektpoetik. Eine Kulturgeschichte literarischer Emotionen, Würzburg 2005, S. 287-318. ISBN 3-8260-3065-6.