フォート・ヴィクトリア級補給艦(フォート・ヴィクトリアきゅうほきゅうかん 英語: Fort Victoria-class replenishment oiler)は、イギリス海軍補助艦隊が運用する補給艦の艦級である。2隻が建造された[1][2]。
来歴
当初の計画では同級艦6隻の建造が予定されていたが、計画は大幅に修正された[1]。結果4隻の建造計画が中止され、「フォート・ヴィクトリア」と「フォート・ジョージ」の2隻のみが建造された。
発注は1986年5月8日になされたが、「フォート・ヴィクトリア」は艤装中にIRA暫定派の爆弾テロ(英語版)にあって大破したために建造が遅延し、2番艦の「フォート・ジョージ」の方が先に就役することになったという経緯がある[2]。
設計
前部に艦橋、後部に機関部と航空艤装を置き、補給装備を中央に配した設計は、アメリカ海軍の高速戦闘支援艦(サクラメント級、サプライ級)とも類似している[1]。また艦の安定化のため、2組のフィンスタビライザーを備えている[2]。
- 洋上移送
- 艦中部に門型ポスト2基を備えて、スライディング・ステイに対応したドライカーゴ/液体貨物兼用のクラーク・チャップマン型補給ステーションを両舷に2ヶ所ずつ設定している。これらの補給ステーションは、艦中央の荷扱所から遠隔操作することができる。また給油は艦尾からも行うことができる[2]。
- この他、物資移送のため、力量25トンのもの1基、10トンのもの2基、5トンのもの2基の計5基の電動クレーンを有するほか、更に給油リグを支援するため力量10トンのクレーンを1基備えている[2]。
- 物資格納
- 標準的な搭載内容は下記の通りである[2]。
- ディーゼル油12,000トン
- 航空燃料1,000トン
- ドライ・カーゴ(糧食、弾薬、予備部品など)6,000トン(6,234 m3)
本級は、極めて強力な航空運用能力を備えている。ハンガーはシーキングやマーリンヘリコプター5機を収容可能な大きさを確保しており、補修設備も充実している。ただし平時の搭載数は3機である。これらのヘリコプターは基本的にはVERTREPなど補給用であったが、対潜戦も想定して兵器庫も設置されている。またヘリコプター甲板には2個の発着スポットが設定されており、緊急時にはBAe ハリアー IIの発着も可能であった[2]。
なお、個艦防空用として、当初は垂直発射型のシーウルフ個艦防空ミサイル・システムが予定されていたが、これはキャンセルされた[1]。その後、1999年の改修で、ファランクスCIWSやUAT電波探知装置が搭載された[2]。
同型艦
参考文献
関連項目
- 同時期の諸外国海軍の補給艦