パラキクロトサウルス

パラキクロトサウルス
ロンドン自然史博物館に展示された P. davidi
地質時代
前期 - 中期三畳紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
亜綱 : 迷歯亜綱 Labyrinthodontia
: 分椎目 Temnospondyli
上科 : マストドンサウルス上科
Mastodonsauroidea
: マストドンサウルス科
Mastodonsauridae
: パラキクロトサウルス属
Paracyclotosaurus
学名
Paracyclotosaurus Watson1958
  • P. davidi Watson1958(タイプ種)
  • P. crookshanki Damiani, 2001
  • P. morganorum Damiani and Hancox, 2003

パラキクロトサウルス学名Paracyclotosaurus)は、絶滅した分椎目。外見は現生の有尾目に類似するが、より大型であり、全長は約2.45メートル、体重は159 - 365キログラムと推定されている[1]前期三畳紀から中期三畳紀にかけて生息し、化石オーストラリアインド南アフリカ共和国から産出している[2]

発見と命名

Paracyclotosaurus davidi の復元

タイプ種 P. davidi はオーストラリアから回収された1体の完全な標本のみが知られている。本標本はニューサウスウェールズ州シドニー Inner West の郊外で採掘従事者により1910年に発見されており、ほぼ完全な骨格が Ashfield Shale の大型ノジュールに被覆されていた。復元が完了したのは1914年のことで、直ちにキクロトサウルスに近縁な生物として同定された[3]。模式標本の保存状態は悪かったが、基盤岩から骨格を取り除いた後の印象からキャストを複製し、そのキャストから多くの詳細が判明した。

Paracyclotosaurus davidii の種小名は、本標本がロンドン自然史博物館に入手されるよう手配したエッジワース・デイヴィッド英語版への献名である[3]

形態と生態

陸上で過ごすことも可能であったが、パラキクロトサウルスは多くの時間を水中で過ごしていた可能性が高い。体は扁平で、約60センチメートルにおよぶ頭部を持ち、その形態は現生のワニに類似する[4]。同じ分椎目であるアファネランマインドガビアルに類似する細長い吻部を持つ一方、パラキクロトサウルスの幅広で先端が丸みを帯びた吻部はアリゲーター上科を彷彿とさせるものである[2]

パラキクロトサウルスは、姿の類似するアリゲーターと同様に水辺における待ち伏せ型の捕食動物であり、やや閉じた水圏に生息していたとされる。ただし、は細かく、陸上の大型脊椎動物よりは魚類の捕食に適している[2]

ギャラリー

出典

  1. ^ Hart, L.J.; Campione, N.E.; McCurry, M.R. (2022). “On the estimation of body mass in temnospondyls: a case study using the large-bodied Eryops and Paracyclotosaurus”. Palaeontology 65 (6): e12629. doi:10.1111/pala.12629. 
  2. ^ a b c 土屋健『地球生命 水際の興亡史』技術評論社、2021年7月28日、70-71頁。ISBN 978-4-297-12232-4 
  3. ^ a b D. Watson (1958). “A New Labyrinthodont (Paracyclotosaurus) From Trias of New South Wales”. Bulletin of the British Museum (Natural History) 3. https://biodiversitylibrary.org/page/2290486. 
  4. ^ Palmer, D., ed (1999). The Marshall Illustrated Encyclopedia of Dinosaurs and Prehistoric Animals. London: Marshall Editions. p. 53. ISBN 1-84028-152-9