『バグ』(Bug)は、アメリカのオルタナティヴ・ロックバンド、ダイナソーJr.が1988年10月31日にSSTレコードからリリースした通算3枚目のアルバムである。ブラスト・ファースト(英語版)、オウ・ゴー・ゴー・レコード(英語版)が、それぞれイギリスとオーストラリアでリリースした。本作は、2007年のビヨンドまで、オリジナルのベーシストであるルー・バーロウが参加した最後のダイナソーJr.のアルバムとなった。
本作は、多くのダイナソーJr.のファンに愛される作品であるにもかかわらず、J・マスシスは自分の一番嫌いなアルバムであると語っている。
2005年版リイシューに収録された「キープ・ザ・グラブ」のヴァージョンは、シングル「フリーク・シーン」やコンピレーション・アルバム『フォッシル』に収録されたものとは異なっている。
評価
NMEの批評家ジャック・バロン氏は、1988年の同誌のレビューで『バグ』を「いま現在、今年で最も包括的なロックの声明」と評し、主にバンドの「無気力」なアプローチに着目して、「日常の現実を恐怖に陥れる」と記述しながら、アルバムに10点満点中「8.999999点」をつけた。[1]
AllMusicでの本作のレビューにおいて、スティーヴン・トマス・アールワイン氏は「フリーク・シーン」をアルバムのマスターピースだとし、また「アルバムの大部分は、ハードロックと前衛的ノイズが広大かつノイジーでメタリックに融合したものであるが、本作はJ・マスシスの持つフォークロックの才能も提示している。」と記した[2]。アールワイン氏は、本作の収録曲について「ばらつきがある」としながらも、依然このアルバムはマスシスにとって大きな前進である、と結論づけた[2]。
2005年のドラウンド・イン・サウンド(英語版)において、マイク・ダイヴァーは本作について「ソングライティングはユーアー・リビング・オール・オーバー・ミーから10倍進歩した。実際、もしグランジやインディー、パンクのような音楽が好きな人なら、何であれきっとこのアルバムを気に入るだろうってことだ。さあ、アルバムを買いに行くんだ!」と述べた[3]。
Mojo誌のキース・キャメロン氏は、「『バグ』はマスシスが機械的に作曲するようになったことを示している。しかし、「フリーク・シーン」のような突拍子もない名曲に関して見ると、彼の才能はまだ燃え上がっており、不仲による疎外感の中での定型的な習作としては、『バグ』は他の作品より優れている。」と記した[4]。
本作は、死ぬ前に聴くべき1001枚のアルバムに収録されている[5]。Beats Per Minuteは本作を1980年代のベストアルバムの41位とした[6]。
収録曲
特記の無い限り、作詞作曲はJ・マスシス。
- フリーク・シーン "Freak Scene" - 3:36
- ノー・ボーンズ "No Bones" - 3:43
- ゼイ・オールウェイズ・カム "They Always Come" - 4:37
- イェー・ウィ・ノウ "Yeah We Know" - 5:24
- レット・イット・ライド "Let It Ride" - 3:37
- ポンド・ソング "Pond Song" - 2:53
- バッジ "Budge" - 2:32
- ザ・ポスト "The Post" - 3:38
- ドント "Don't" - 5:41
- 2005年以降のリイシュー盤ボーナストラック
- キープ・ザ・グラブ "Keep The Glove" - 2:52
- インペリアル・レコード盤のみのボーナストラック
- チャンクス "Chunks" - 2:13
- 作詞・作曲:Tony Perez
- アメリカのハードコア・パンクバンド、Last Rightsのカバー。
- ショウ・ミー・ザ・ウェイ "Show Me The Way" - 3:52
- 作詞・作曲:ピーター・フランプトン
- ピーター・フランプトンのカバー。
エンハンスドCD版ボーナス・ビデオ
- フリーク・シーン "Freak Scene" - 3:35
- ノー・ボーンズ "No Bones" - 3:45
- 監督:Zeke Fidler
クレジット
- ダイナソー Jr.
- プロダクション
参考文献