ヤギの乳で作ったチーズ
シェーブルチーズ (英語 :goat milk cheese、フランス語 :fromage au lait de chèvre)は、ヤギ乳 で作ったチーズ で、基本的にソフトタイプの(柔らかい)チーズをさす総称[ 1] 。シェーブルは、フランス語でヤギを意味する。
牛乳 とヤギの乳は、全体的な脂肪 の組成は似ているが、カプロン酸 、カプリル酸 、カプリン酸 等の中くらいの長さの脂肪酸 はヤギの乳に多く含まれ、特徴的な酸っぱい風味の元になっている。これらの脂肪酸の名前は、ラテン語でヤギを意味するcapra という言葉に由来する[ 2] 。
温めて提供されるシェーブルチーズは、シェーブル・ショー として知られる。
ヤギ乳は、若い人、病気の人、牛乳に耐性のない人等に飲まれる。牛乳よりもヤギの乳の方が母乳 に近いが、生育環境によって大きく変わってくる。西洋では牛の方が一般的だが、その他の地域の多くではヤギ乳で作ったチーズの方が好まれる。シェーブルチーズは冷凍環境が限られている場所で作られることが多いため、古いチーズは腐敗を防止するために塩漬けにして保存される。結果として、シェーブルチーズ、特にフェタチーズ 等には濃い塩味が付くことになる。
シェーブルチーズは何千年も作られてきており、最古の乳製品 の1つと言えるかもしれない。最も簡単なものでは、生の乳を天然に凝固させ、脱水、成形してカード にする。乳を凝固させるために酢やレモン等の酸やレンネット が用いられることもある。シェーブルチーズは世界中の家庭で作られている。チーズクロスにカードを入れて数日間暖かい場所に吊るして脱水、保存した後、塩に漬けて皮を作り、数ヶ月間冷たい洞窟等で保存される。
シェーブルチーズは熱すると柔らかくなるが、牛のチーズのように溶けることはない。皮のついたシェーブルチーズは、パンに塗るためにオーブンで焼かれて調理されることもある。
国ごとのシェーブルチーズの一覧
フランス
フランスではロワール渓谷 やポワトゥー で多くのシェーブルチーズが作られているが、この地のヤギは8世紀にムーア人 によって持ち込まれたと言われている[ 3] 。フランスのシェーブルチーズとしては、ブシュロン(Bucheron)、シャビ(Chabis)、クロシェット(Clochette)、クーロンヌ・ロシュワーズ(Couronne Lochoise)、クロタン・ド・シャヴィニョル(Crottin de Chavignol)、ペラルドン(Pélardon)、ピコドン(Picodon)、 プーリニ=サン=ピエール (Pouligny-saint-pierre)、ロカマドゥール (Rocamadour)、サント=モール・ド・トゥレーヌ(Sainte-Maure de Touraine)、シャビシュー・デュ・ポワトゥ(Chabichou du Poitou)、ヴァランセ (Valençay)、ピラミッド(Pyramide)等がある。
チリ
チリでは、農村部では、このタイプのチーズは手作りの方法で生産されている。[要出典 ]
スペインとポルトガル
Matóは、牛かヤギの乳から作られるカタルーニャ州 のチーズである。
カステル・ブランコ (Castelo Branco) の仲間、ケイジョ・アマレロ・ダ・ベイラ・バイシャ (Queijo Amarelo da Beira Baixa ) およびケイジョ・ピカンテ・ダ・ベイラ・バイシャ (Queijo Picante da Beira Baixa ) にはヤギの乳で作るケースがある[ 4] 。『チーズ図鑑』ではシェーブルではなくセミハードタイプに分類されている[ 5] 。
イギリス
ギリシア
フェタチーズ の一種であるMizithraやAnthotyrosは、ヤギとヒツジ の乳を混ぜて作られる。ギリシアではヤギのチーズは長い歴史を持ち、ホメーロス の『オデュッセイア 』では、ワインの酸味を除くためにヤギのチーズが用いられる様子が描かれている。
ノルウェー
ブルノスト(Brunost)というチーズが作られ、アメリカ合衆国でもイェトスト (Gjetost)という名前でしばしば売られている。
イタリア
カプリーノ(Caprino)はヤギの乳を使ったイタリアのチーズである。
イタリアではヤギは貧者の家畜として見られていたため、他種の乳によるチーズほど発展しておらず種類は少なめである。2000年代に入りヤギ乳のチーズが見直され、徐々に増え始めている。
中国
オーストラリア
ブッシュ・ノワール(Buche Noir)はシドニー 等で作られるヤギのチーズである。
出典
外部リンク