エールステ・ディヴィジ(オランダ語: Eerste Divisie、オランダ語発音: [ˈeːrstə diˈvizi], 英語: First Division)は、オランダにおけるプロサッカーの2部リーグである[注釈 1]。
リーグの名称は、スポンサーであるオランダの台所製造企業のブランド名を冠して「ケウケン・カンピウーン・ディヴィジ」と呼称される。以前はベルギーのビール醸造会社がスポンサーで「ジュピラーリーグ」と、職業別電話帳の会社がスポンサーで「ハウデン・ヒッズ・ディヴィジ」[1] と称していた。なお、ベルギーのサッカーリーグは現在もジュピラーがスポンサーであり、こちらの呼び名はジュピラー・プロ・リーグである。
概要
エールステ・ディヴィジは基本的には20クラブで構成されており、2回総当りのホーム・アンド・アウェー方式で行われる。優勝クラブは自動的に翌シーズンのエールディヴィジに昇格し、代わりにエールディヴィジの18位(最下位)クラブが自動的に降格してくる。その他のエールステ・ディヴィジ8クラブとエールディヴィジ16位・17位のクラブが入れ替え戦(ジュピラーPO)に進出し、翌シーズンのエールディヴィジの枠を争う。
エールステ・ディヴィジからの降格・下部リーグであるフーフトクラッセからの昇格は、原則として認められていなかった。これはエールディヴィジとエールステ・ディヴィジのみがプロリーグであり、これより下のリーグはアマチュアリーグだったためである。しかし、2010-11シーズンからアマチュアクラブにもプロリーグ挑戦の門戸を開放することを目指し、トップクラッセを設立。初回のシーズンはエールステの最下位(19位[注釈 2])・FCオスがトップクラッセに降格した[注釈 3]。
2012-13シーズンの2クラブの財政破綻を受け、KNVBは2013年夏にリーグ改革に着手。トップクラッセからアヒレス'29、エールディヴィジのリザーブからヨング・アヤックス、ヨング・PSV、ヨング・トゥエンテを加えた20チームでのリーグ戦に変更[2]。2015-16シーズンはヨング・トゥエンテが財政難からジュピラー・リーグを撤退したため、一時的に19クラブでのリーグ戦となった。
KNVBは2016-17シーズンから、オランダ・フットボールの新たなヒエラルキーの構成として『フットボール・ピラミッド』を導入。新設されるプロリーグとアマチュアリーグを繋ぐプロ3部リーグのトゥヴェーデ・ディヴィジ(18クラブ)と、ジュピラー・リーグの間での入れ替えが義務化される[3]。
2019-20シーズンの4月24日、オランダ国内の新型コロナウイルス感染症の流行の影響により、2部史上初のリーグ打ち切りが発表された[4]。これにより、打ち切り時点で自動昇格順位にいた2部首位のSCカンブール・レーワルデンと2位デ・フラーフスハップはエールディヴィジ昇格が消滅し、翌2020-21シーズンもエールステ・ディヴィジで戦う事になった。
入れ替え戦
エールディヴィジ
オランダ独特の方式を採用している。入れ替え戦参加資格は以下のように決定する。
- エールディヴィジ 16位
- エールステ・ディヴィジのピリオド・チャンピオン[注釈 4]4クラブ
- ピリオド・チャンピオン以外でレギュラーシーズンの順位 上位2クラブ
- 上記項目で判断したが、ピリオド・チャンピオンが該当なしであった場合や、ピリオド・チャンピオンが既にシーズン順位で自動昇格を得ている場合など、参加資格に空きがあるときはレギュラーシーズンの順位が上位であるクラブ[注釈 5]に資格を与える。
- 決定したエールステ・ディヴィジからの6クラブにはシーズン順位を元に1~6位の順位付けがなされ、入れ替え戦の際にその順位が使用される。
エールディヴィジの1クラブを合わせた全7クラブがエールディヴィジ1枠を賭けて、3ラウンドで争う。全ラウンドともホーム・アンド・アウェー方式で行われ、1勝1敗、あるいは2分けに終わった場合そのまま延長戦・PK戦を行って決着をつける。
- 第1ラウンド
- A - エールステ・ディヴィジの1位 vs エールステ・ディヴィジの6位
- B - エールステ・ディヴィジの2位 vs エールステ・ディヴィジの5位
- C - エールステ・ディヴィジの3位 vs エールステ・ディヴィジの4位
- 第2ラウンド
- D - Aの勝者 vs Bの勝者
- E - Cの勝者 vs エールディヴィジの16位
- 第3ラウンド
Fの勝者が来季エールディヴィジへ。
トゥヴェーデ・ディヴィジ
オランダではプロとアマの棲み分けが完全になされた伝統から、2009-10シーズンまではエールステ・ディヴィジとアマチュア1部(実質3部)のフーフトクラッセとの入れ替えは認められていなかったが、アマチュアクラブにも将来的なプロリーグ参入を目指せる環境づくりを提供することを念頭に、トップクラッセという新ディビジョンを発足。2009-10シーズンはエールステ・ディヴィジ最下位(19位)のFCオスが降格したのみだったが、2010-11シーズンからはエールステ・ディヴィジの最下位チームとトップクラッセの総合優勝チーム[注釈 6]とが自動的に入れ替わる。ただしトップクラッセの優勝チームには昇格の拒否権があり、その場合はプレーオフで敗退したクラブが昇格する。そのクラブも拒否した場合、入れ替えは行われない。
2016‐17シーズンからは3部リーグの「トゥヴェーデ・ディヴィジ」が発足したのに伴い、エールステ・ディヴィジの下位数クラブと、トゥヴェーデ・ディヴィジの上位数クラブが自動入れ替え、または入れ替え戦を行う。4部に格下げとなるトップクラッセとの入れ替えは、トゥヴェーデ・ディヴィジとの間が対象となる。
リザーブチーム
2013-14シーズンから試験的に2年間、リザーブリーグからアヤックス、PSV、トゥエンテの各リザーブチーム(ヨング)がエールステ・ディヴィジに参加。2015-16シーズンからはトゥエンテが撤退し、アヤックスとPSVの両ヨングチームが参加している。リザーブチームはあくまで経験を積む場としての参加であり、昇格は争わないため、入れ替えプレーオフ参加資格もない[注釈 7]。
現在の規定ではこれまでのリザーブチームのルールとは違い、同じ週にエールディヴィジとエールステ・ディヴィジの両方でプレーできる選手の数は、禁止規定が2015年夏に緩和されて2人まで。23歳以上でトップチームで10回以上スタメンまたは10回以上45分間以上プレーした選手は、それ以降ジュピラー・リーグでの出場資格を失う。また、リザーブチームはこれまで同様にKNVBカップの出場資格は持たない[3]。
所属クラブ
- 2022-23シーズン
クラブ名 |
ホームタウン |
ホームスタジアム |
収容人数 |
前年度順位
|
FCエメン
|
エメン
|
デ・アウデ・メールダイク
|
8,309
|
エールディヴィジ16位
|
SCカンブール
|
レーワルデン
|
カンブール・スタディオン
|
10,500
|
エールディヴィジ17位
|
FCフローニンゲン
|
フローニンゲン
|
エウロボルグ
|
22,550
|
エールディヴィジ18位
|
ヴィレムII
|
ティルブルフ
|
コニング・ヴィレムII・スタディオン
|
14,500
|
4位
|
MVVマーストリヒト
|
マーストリヒト
|
デ・ヘウセルト
|
10,000
|
5位
|
NACブレダ
|
ブレダ
|
ラット・フェルレフ・スタディオン
|
19,000
|
6位
|
VVVフェンロー
|
フェンロー
|
コフェボ=スタディオン
|
8,000
|
7位
|
アイントホーフェン
|
アイントホーフェン
|
ヤン・ルーヴェルス・スタディオン
|
4,600
|
8位
|
テルスター
|
フェルセン
|
BUKOスタディオン
|
3,060
|
9位
|
デ・フラーフスハップ
|
ドゥーティンヘム
|
デ・ファイフェルベルフ
|
12,600
|
10位
|
ヨングAZ
|
アルクマール
|
AFASトレーニング・コンプレックス
|
200
|
11位
|
ADOデン・ハーグ
|
デン・ハーグ
|
ビンゴール・スタディオン
|
15,000
|
12位
|
ヨング・アヤックス
|
アムステルダム
|
スポルトパルク・デ・トゥーコムスト
|
2,050
|
13位
|
ヨングPSV
|
アイントホーフェン
|
PSVキャンパス・デ・ヘルトガング
|
2,500
|
14位
|
ローダJC
|
ケルクラーデ
|
パルクスタット・リンブルフ・スタディオン
|
19,979
|
15位
|
ヘルモント・スポルト
|
ヘルモント
|
GSスタールヴェルケン・スタディオン
|
4,100
|
16位
|
TOPオス
|
オス
|
フランス・ヘーセン・スタディオン
|
4,560
|
17位
|
ドルトレヒト
|
ドルトレヒト
|
スタディオン・クロメダイク
|
4,235
|
18位
|
デン・ボス
|
スヘルトーヘンボス
|
デ・フリールト
|
8,713
|
19位
|
ヨング・ユトレヒト
|
ユトレヒト
|
スポルトコンプレックス・ズーデンバルヒ
|
550
|
20位
|
歴代優勝クラブ
脚注
注釈
- ^ 「エールステ (Eerste)」とはオランダ語で1番という意味であるが、2部リーグである。
- ^ 当初20チームだったがハールレムがシーズン途中で経営破綻し、参加を辞退。それとの試合も無効扱いとなったため、19チームでの開催となった。
- ^ 2010年10月放映「FIFAフットボール・ムンディアル」より。
- ^ ピリオド・チャンピオンとはレギュラーシーズンの9~10節ごとにチャンピオンを決めるものである。既に前のピリオドでチャンピオンになっているクラブが、同シーズンに再びピリオド1位になった場合は、そのピリオド2位のクラブがピリオド・チャンピオンとなる。2位のクラブも既にピリオド・チャンピオンになっている場合は該当なしとなる。
- ^ 上記3で資格を得たクラブに続く順位のクラブ。
- ^ 土曜日組・日曜日組の予選リーグそれぞれの優勝クラブでのプレーオフの勝利チーム。
- ^ 日本のJ3リーグとほぼ同じモデルである。
出典
関連項目
外部リンク
オランダのサッカー |
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オランダサッカー協会 |
オランダ代表チーム |
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国内リーグ |
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国内カップ |
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賞 |
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廃止 | |
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