『EREMENTAR GERAD』(エレメンタル ジェレイド)および『EREMENTAR GERAD -蒼空の戦旗-』(エレメンタル ジェレイド あおのせんき、-FLAG OF BLUESKY-)は、東まゆみによる日本の漫画作品。
本稿では、この二作品を原作とするアニメ「エレメンタル ジェレイド」と、コンピュータゲーム、書籍などの関連作品についても説明する。
本作は中世を思わせる世界を舞台に魔法に似た特殊な能力を操る少年少女が迫り来るさまざまな敵と戦いながら旅を続ける、といういわゆるRPG風の冒険ファンタジー作品。ただし、魔法や神話といったファンタジー要素だけではなく、銃や飛空艇などの近代科学的要素も登場する。
本作は2002年2月28日に株式会社マッグガーデン刊行の漫画雑誌『月刊コミックブレイド』4月号(創刊号)にて連載が開始された『EREMENTAR GERAD』と、2003年6月にコミックブレイド増刊『コミックブレイドMASAMUNE』夏季号にて連載が開始された『EREMENTAR GERAD-蒼空の戦旗-』の2作品が存在する。単行本のカバーの色から、前者は「紅」(あか)、後者は「蒼」(あお)と呼んで区別される。2007年10月時点でシリーズ累計部数は400万部を記録している[1]。
2つの作品は同じ世界を舞台としており、「蒼」は「紅」の2年後の時代の物語である。「紅」がヨーロッパ風の地域を舞台としているのに対し、「蒼」は中東・アラブ風の地域を舞台としており、それぞれ別の主人公による別の物語が展開されている。従って、どちらか一方のみでも物語を理解し、読み進めることが可能である。本記事においては、「蒼」のあらすじ、及び登場人物については#蒼空の戦旗にてまとめて記載する。
「紅」はアニメ化、ゲーム化などメディアミックス展開されている。また、「蒼」もショートアニメ化作品がDVD『デジタルコミックブレイド』に収録されている。イメージソングはMarieの「背中」。また、ドラマCD化もされている(雑誌上の応募による期間限定の通信販売)。
2009年9月25日よりウェブコミック誌『ブレイドコミックアーカイブ』にて「紅」の無料配信が開始。2010年9月17日まで行なわれていた。
「紅」は『月刊コミックブレイド』2010年2月号をもって連載が終了した。「蒼」は掲載誌の『コミックブレイドMASAMUNE』が2007年6月15日発売の初夏号をもって刊行を終了したため[2]『月刊コミックブレイドアヴァルス』へ移籍し2007年10月号から2014年8月号まで連載された(2010年10月号より誌名が『月刊コミックアヴァルス』に変更されている)。その後はウェブコミック配信サイト『コミックアヴァルス』に移籍し2014年8月15日より連載[3]。
「蒼」は現在、作者の緑内障治療のため2014年11月17日の第64話掲載を最後に休載中となっている[4][5]。なお『コミックアヴァルス』は休載中の2015年12月に開設した『MAGCOMI』に他のウェブコミック配信サイトともに統合されたが『MAGCOMI』には「蒼」の情報は掲載されていない。「蒼」の第58話から第64話は単行本未収録となっている。
この作品のタイトル表記は原作漫画ではアルファベットで『EREMENTAR GERAD』だが、アニメ版・ゲーム版は専らカタカナで『エレメンタル ジェレイド』(または『エレメンタルジェレイド』『エレメンタル・ジェレイド』)と書かれる。以下の記述では原作漫画およびその関連商品に関する事項のみが『EREMENTAR GERAD』で表記されている。なお、北米版の漫画およびアニメーションでは"Elemental Gelade"と英語風の表記である。
略称は「EG」「エレメ」「エレジェ」など。なお、紅の第一巻初版の背表紙だけ『EREMENT「E」R GERAD』と誤表記になっている。
特定の人間(もしくはエディルレイド)との「同契」により、己の肉体を武器へと変える種族。武器化したエディルレイドの形態、特殊能力は多種多様だが、一般的に銃火器などでは武器化したエディルレイドには対抗できないとされる。武器化などにより一旦消費したエディルレイドの力は単純に睡眠や食事、休息をとるだけでは回復せず、特定の行動をとって回復する必要がある(ただし、睡眠や食事が力の回復方法であるエディルレイドもいる)。近代兵器を凌ぐその力や、元々エディルレイド自体の個体数が少ない(作中では頻繁に登場するが)ことから、裏の世界では高値で売買されることも珍しくない。一方、ある地方では都市国家の王族に仕え、その不思議な力によって儀式を執り行うなど国を支える源ともなっている。
武器化していないエディルレイドの外見は人間と同じだが、肉体のどこかに「核石」と呼ばれる宝石が埋め込まれるようにして存在しており、これが人間との外見上の唯一の相違点と言える。また、内部構造も人間と異なるため、エディルレイドの疾患や外傷等を診るためには専門知識が必要で、エディルレイド専門医は世界に10人(内アークエイルに3人)しかいないと言われている。非常に寿命が長く老化してからもなお数百年間生き続けるが、老年のエディルレイドは外傷の治癒能力が衰えているため多少の傷でも致命傷に至る。
エディルレイドには女性しかおらず、誕生の方法は次の2つ。1つはエディルレイド単体から誕生するもので、エディルレイドの寿命が近付くと核石だけが身体から遊離し、その核石を元に長い年月をかけて新たな身体が形成されていく。もう1つは人間の男性との間に子供を産むことであるが、その場合子供は人間との混血となるため、エディルレイドとしての力は薄れてしまう。この誕生原理はオフィシャルガイドブックで作者が自らそう語っている。
「核石(かくいし / エレメンタルジェレイド)」は、エディルレイドたちの体のどこかに埋め込まれるようにして存在している宝石。エディルレイドの力の源であり、能力を発揮するときにまばゆい光を放つ。また見る者によっては色合いなどでエディルレイドの能力の高さがわかるらしい。破壊、剥されるなどして核石を失ったエディルレイドはエディルレイドとしての力を失い、寿命が極端に短くなってしまう。さらにオルガナイト達と契約している強化改造を受けたエディルレイド達は、改造の副作用によるものなのか、核石を失うだけで死んでしまう。
エディルレイドの核石にはある1つの属性が宿っており、武器化したエディルレイドがどのような技を使えるかは核石の属性に依存する。現在確認されているのは21の属性で、その内の18属性は図式として表した時に円環状になる「煌環(グリタリング)」と呼ばれる3種類の優劣関係が判明している。理論的にはあと3つの属性が存在するとされ、劇中でもエディルレイドマニアを自称するロンブルが全24種類であると明言しているが、現段階では委細不明である。煌環が判明していない3つと合わせて計6つの優劣関係は「第四煌環」と呼ばれているが、環ではない可能性もあるという。なお、同じ属性でも武器化時の形状や能力が全く異なる場合もある。
以下は属性の優劣関係とその特徴。それぞれ、直下に記されている属性に対して強く、直上に記されている属性に対して弱い(第四煌環を除く)。地属性は風属性に強く智属性に弱い。虚属性は美属性に強く愛属性に弱い。各々の属性は自らが優位に立つ属性に対し効果的にダメージを与え、その攻撃を容易に防ぐことができる。
天空に浮かぶ島々を巡り、空賊と呼ばれる空の盗賊達が飛び交う世界・ガーディア。
風の空賊団「紅山猫」(レッドリンクス)に身を置くお調子者の少年クーはある日盗んだ財宝の中から古びた大きな柩を見つける。彼が柩を開けると中には一人の少女が横たわっていた。彼は偶然少女を封印からとき、目覚めさせた。ちょうどその頃、「エディルレイド完全保護協会・アークエイル」を名乗る、シスカ、ローウェン、キーアという3人がクーの前に現れた。聞けば、クーが目覚めさせた少女を引き渡してほしいのだという。少女の名はレン。彼女は人間ではなく、人の姿をした生きた武器「エディルレイド」であり、その中で最強の力を持つ七煌宝樹の一人だった。人間に利用されることを恐れるレンを守り、また、彼女が行きたいと望む場所へ連れて行くことを決意したクーはレンと共に、そしてなぜか同行することとなったアークエイルの3人とも一緒にエディルガーデンの地を目指す。
担当声優はフロンティアワークスドラマCD版 / テレビアニメ版・単行本付属ドラマCD版の順に記載。1人の場合はテレビアニメ版・単行本付属ドラマCD版の声優を表す。
ガーディアの一地方、広大な砂漠地帯に幾つもの都市国家が点在するエルバス大陸が舞台。
砂漠に栄える太陽の王国・フアジャールの上空に突如現れたいくつもの巨大飛行艇。それはフアジャール王家に代々伝わる七煌宝樹を奪うべく来襲した帝国エディルガーデンの艦隊だった。王女アシェアは国王である父を殺され、大臣の策略によって自らも国を追われてしまう。
エディルガーデンの攻撃により、太陽の照りつける恵み豊かな国から雪の降り積もる極寒の地へと変えられてしまった祖国を復興させるため、幼き姫アシェアとその仲間たちの苦難の旅が幕を開けた。
担当声優はドラマCDでのもの。
同名のタイトルで、ドイツ語版も出版されている。英語版もTOKYOPOPから2006年7月11日に1巻が発売された。
「紅」のアニメ版がテレビ東京系にて2005年4月5日から9月27日に放送。ナレーションは土師孝也が担当。
5作目のマッグガーデン発アニメとなる。先の4作品は全て原作漫画(の前作)がかつて旧エニックス発行の漫画雑誌で連載されていたもので、コミックブレイドにて連載開始された作品のアニメ化は本作が初である。
『魔探偵ロキRAGNAROK』『tactics』のアニメはドラマCD(コミックブレイドドラマCDシリーズ)と同一のキャスト(声優)で制作されたが本作では一新された。さらにタイトルロゴや一部の衣服・武器のデザインも原作と異なっている(放送する時間帯による配慮でキーアの衣装のきわどい部分が変更されるなど)。
北米では、当初A.D.Vision(ADV)が権利取得と資金協力を行うとアナウンスされていたが、最終的にはGeneon Entertainment(US)が権利を取得し、DVDを発売している。
台湾では、2008年1月21日より「武器種族傳説」のタイトルで、緯来綜合台(VIDEOLAND ONTV)において放送。
この他、2006年10月よりインターネット放送局GyaOでもストリーミング配信が行われていた。
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