『エピタフ -1969年の追憶-』(英語: Epitaph Official Bootleg : Live in 1969)は、1997年に発表されたキング・クリムゾンのライブ・アルバム。オリジナル・メンバーによる1969年のライブ演奏が収録されている。
解説
結成以来在籍する唯一のメンバーであるロバート・フリップが企画したアルバム。プロデューサーのデヴィッド・シングルトン[3]がミキシング・コンソールによる録音、ラジオ放送、海賊盤から選んだライブ演奏の音源を集め、4ヶ月かけて音質を向上させて編集した。1997年3月に、フリップとシングルトンが共同で設立したディシプリン・グローバル・モービルから2枚組のCDボックスとして発表された。
BBCセッションズ
キング・クリムゾンはBBCのラジオ音楽番組『トップ・ギア』の為に、1969年の5月と8月にBBC Radio 1のMaida Vale Studiosで録音作業を行なった[注釈 1]。冒頭の4曲はBBCに残存していたマスターテープとイタリアに出回っていた海賊盤から編集された。「ゲット・ザイ・ベアリングス」はドノヴァンの「しっかりおしよ」(1968年)のカヴァーである。
アメリカ・ツアー
彼等は同年10月にデビュー・アルバム『クリムゾン・キングの宮殿』を発表した後、同年12月まで初のアメリカ・ツアーを行なった。本作には11月下旬にニューヨークのフィルモア・イーストで開かれたコンサートと、12月中旬に最終公演地であるサンフランシスコのフィルモア・ウェストで開かれたコンサートの録音が収録された。
フィルモア・イースト
11月21日のコンサート[注釈 2]から3曲が収録された。このコンサートは8トラックで録音されたがオリジナルは行方不明になったので、本作ではメンバーのマイケル・ジャイルズが所有していたカセット・テープレコーダーによるコピーが使用された。「ア・マン・ア・シティ」は、セカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』(1970年)に収録された「冷たい街の情景」の原曲である。
フィルモア・ウェスト
12月14日の録音はカセット・テープレコーダーによる。「マントラ」と「トラヴェル・ウィアリー・カプリコーン」は続けて演奏されているが、本来は別々の曲だった。「マーズ」の原曲はグスターヴ・ホルストの組曲『惑星』の第1曲「火星、戦争をもたらす者」である。
12月15日の録音はこの顔ぶれによる最後の演奏を捉えている。ロード・マネージャーのリチャード・ヴィッカーズ(Richard Vickers)[5]はこのコンサートを録音して、この日を最後に脱退したイアン・マクドナルド[注釈 3]にテープを手渡した。本作にはこの録音が使用されている。「ドロップ・イン」はアルバム『アイランズ』(1971年)の収録曲「レターズ」の原曲である。
収録曲
(曲名表記は発売当時のものによる。)
Disc 1
- 21世紀の精神異常者 - 21st Century Schizoid Man
- クリムゾン・キングの宮殿 - In The Court Of The Crimson King
- ゲット・ザイ・ベアリングス - Get Thy Bearings
- エピタフ(墓碑銘) - Epitaph
- ア・マン・ア・シティ - A Man A City
- エピタフ(墓碑銘) - Epitaph
- 21世紀の精神異常者 - 21st Century Schizoid Man
- マントラ - Mantra
- トラヴェル・ウィアリー・カプリコーン - Travel Weary Capricorn
- インプロヴィゼイション-トラヴェル・ブリアリー・カプリコーン - Improv - Travel Bleary Capricorn
- マーズ - Mars
- 1-4 BBC Radio Sessions at Maida Vale Studios
- 1,2 May 1969
- 3,4 August 1969
- 5-7 Filmore East, New York, 21 November 1969
- 8-11 Filmore West, San Fransicso, 14 December 1969
Disc 2
- クリムゾン・キングの宮殿 - In The Court Of The Crimson King
- ドロップ・イン - Drop In
- ア・マン・ア・シティ - A Man A City
- エピタフ(墓碑銘) - Epitaph
- 21世紀の精神異常者 - 21st Century Schizoid Man
- マーズ - Mars
- 1-6 Filmore West, San Fransicso, 15 December 1969
メンバー
引用文献
- Smith, Sid (2019). In the Court of King Crimson: An Observation over Fifty Years. Panegyric. ISBN 978-1916153004
脚注
注釈
- ^ 放送日は同年5月11日と9月7日だった。
- ^ シングルトンは「おそらく」と推測している。
- ^ マクドナルドとジャイルズはツアーが終了次第脱退する決意を12月10日にマネージメントに表明していた。
出典
外部リンク