エスエス製薬株式会社(エスエスせいやく、英語:SSP Co., Ltd.)は、OTC(市販向け)医薬品の製造販売を専門とする、日本の医薬品メーカーである。
かつては泰道グループの一員であると同時に三和グループ所属企業で設立されたみどり会のメンバーであった。2001年頃よりドイツの医薬品メーカーであるベーリンガーインゲルハイムの傘下に入り、2010年より同社の完全子会社(日本法人5社のうちの1社)となったが、2017年にベーリンガーインゲルハイムとフランスの医薬品メーカーであるサノフィとの間で実施された事業交換に伴い、サノフィ・グループの一員となった。
2015年に、前身である漢薬本舗「美濃屋薬房」から数えて、創業250周年を迎えた老舗企業である[4]。
会社概要
- 現在はOTC(市販向け)医薬品の製造販売に特化した企業である。
- かつて行っていた医療用医薬品事業は、2005年4月1日に撤退(久光製薬に譲渡)した。
- 社名のエスエスとはS & Sであり、Science & Society pharmaceuticalの略で、創業者である白井正助のイニシャル(Shosuke Shirai)の意味もある。
- 1952年以来、現在までウサギのマーク(1998年1月1日にリニューアル)で広く知られる。
- マスコットキャラクターはウサギの「ピョンちゃん」で因幡の白兎がモデルである[5]。かつては薬局の店頭に、電動遊具なども設置されていた。
- 香港では、「白兔牌」として知られている。
- 工場は千葉県成田市にある。
歴史
- エスエス製薬の前身は、明和2年(1765年)美濃国(現在の岐阜県)より出府した白井正助(初代)が興した漢薬本舗「美濃屋薬房」である[6]。
- 店舗を江戸城辺河岸に創設したことから本格的な商いがはじまり、白井家に代々妙薬として伝わる「人参梅花香」「神功丸」「順喜消毒散」「保寿丹」などを販売していた[6]。
沿革
- 1765年 - 白井正助が現在の東京八重洲南口に漢薬本舗「美濃屋薬房」を創業。後に「瓢箪屋薬房」となる。
- 1927年 - 株式会社に改組し、株式会社瓢箪屋薬房を設立[7]。
- 当時の主要商品のうち、神経系鎮痛薬「アネロン」、1934年に発売された胃腸薬「ユースゲン」・咳専用水薬「ブロン」は商品業態を変えながら現在も発売されているロングセラーブランドとなっている(現在、「アネロン」は乗り物酔い防止薬、「ユースゲン」は滋養強壮剤、「ブロン」は鎮咳去痰薬として発売)。
- 1929年 - ボランタリーチェーン「瓢箪屋薬房エスエス」を設立。当時の「エスエス」とは、社会奉仕を意味する"Social Service"の略だった。
- 1940年 - エスエス製薬株式会社に商号変更[7]。
- 1945年 - 空襲により、荏原工場が焼失。
- 1951年 - 本社を銀座に移転[7]。
- 1952年 - 製品アイ・キャッチャーとしてウサギのマークを採用[7](ただし、社章は菱形に"SS"の字を配し、背後に長方形をあしらったものを1997年12月31日まで使用していた)。
- 1958年
- 1963年 - 日本橋水天宮に本社を移転[7]。栄養ドリンク剤「エスカップ (栄養ドリンク剤)」を発売、シンボルマークのうさぎの名前を一般公募し、「ピョンちゃん」となる。
- 1964年 - 成田工場が操業開始[4]。
- 1965年 - 風邪薬「エスタック」を発売、アンプル入りかぜ薬事件のため風邪薬「エスピレチン」が販売停止となる。
- 1967年 - ビタミン剤「エスファイト」を発売。
- 1969年 - 東京証券取引所第二部(現・スタンダード)に株式上場[7]。日本橋浜町に本社を新築・移転[7]。医薬品部を新設し、医療用医薬品事業に進出。
- 1971年 - 東京証券取引所第一部(現・プライム)に株式上場[7]。
- 1972年5月 - L-システイン製剤「ハイチオールC」発売。
- 1982年7月 - ベーリンガーインゲルハイムとの業務提携により、薬用ハミガキ「ラカルト・ニュー5」を発売。
- 1985年
- 6月 - 当社初のスイッチOTC薬として、水虫薬「ソルジャー」を発売。
- 12月 - 日本初の一般用イブプロフェン製剤「イブ」発売[7]。
- ゴキブリコロリ発売
- 1988年 - ベーリンガーインゲルハイムからの導入品として、日本初のいびき改善薬「アンスノール」を発売。
- 1991年-薬用トリザ発売(トリザ、トリザ、ペンタゴンパワー)
- 1992年 - 日本初の一般用イブプロフェン配合かぜ薬「エスタックイブ」発売[7]。
- 1995年 - 当社の筆頭株主で、泰道グループの泰道三八が理事長を務めていたコスモ信用組合が経営難(経営破綻)になり、以前から取引関係にあったベーリンガーインゲルハイムと資本提携を進め、1996年に筆頭株主となる。
- 1996年 - 一般用胃腸薬「ガストール細粒」[7]。胃腸鎮痛鎮痙剤「ブスコパンMカプセル」を発売。
- 1998年 - 新VIの導入[7]。ブランドマーク・社名ロゴ・社章・英語名表記を一新[7]。
- 1999年 - 薬事法の改正に伴い、「エスカップ」が医薬部外品(2009年6月より指定医薬部外品)に移行となり、コンビニエンスストアやスーパーなどへ販路を拡大。
- 2001年 - 日本BIの当社持株比率が50%を超え、ベーリンガーインゲルハイムグループに入る。
- 2003年 - 日本初、一般用睡眠改善薬「ドリエル」発売[7]。並びにインドメタシン3.75%含有鎮痛消炎剤「インサイドテープ」発売。
- 2005年
- 4月1日 - 医療用医薬品事業を久光製薬へ譲渡。一般用医薬品専門メーカーとなる。
- 12月1日 - 社屋建て替えのため、本社を港区赤坂に仮移転(2008年4月4日まで)。
- 2006年9月1日 - 富山工場を休眠会社であった子会社のエスエスプロモーションアンドコンサルタント・カンパニーへ吸収分割によって継承させ、シミック・エスエス・CMOに改称。同時に発行済株式の90%をシミック(現:シミックホールディングス)へ譲渡(その後、2010年4月1日に当社が保有していた残りの10%もシミックへ譲渡し、シミックの完全子会社となる。同年10月1日にシミックCMO富山への改称を経て、2013年10月1日にシミックCMOへ統合)。
- 2007年
- 2008年4月7日 - 新社屋が完成し、本社を元の日本橋浜町に移転。
- 2010年
- 2011年
- 4月1日 - 組織再編に伴い、ベーリンガーインゲルハイムジャパン株式会社の子会社となる。
- 10月25日 - 日本で初めてエピナスチン塩酸塩をスイッチOTC化したアレルギー専用鼻炎薬「アレジオン10」を発売。
- 2013年
- 6月3日 - 日本初となる西洋ハーブを配合した足の浮腫を改善する内服薬「アンチスタックス」を発売。
- 9月24日 - ダイドードリンコ及び、「エスカップ」シリーズの一部製品の製造委託先である大同薬品工業とのコラボレーションにより、当社で初となるダイドードリンコの自動販売機チャネル専売製品「エスカップ・V」を発売。
- 2015年12月1日 - 日本で初めて、エピナスチン塩酸塩を医療用と同量の20mgを配合したアレルギー専用鼻炎薬「アレジオン20」を発売。
- 2017年
- 1月1日 - ベーリンガーインゲルハイムの一般用医薬品事業とサノフィの動物用医薬品事業との事業交換に伴い、サノフィグループ入りする(これにより、サノフィの日本法人で、医療用医薬品を主事業とするサノフィ株式会社とはグループ会社の関係となる)。
- 12月11日 - 本社を日本橋浜町(現在はトヨタモビリティサービスが取得)からサノフィ株式会社の本社がある新宿区西新宿三丁目の「東京オペラシティビル」内へ移転。
- 2023年10月31日 - ドリンク剤「エスカップ」と歯磨き粉「ラカルト」の関連資産等の一部を久光製薬へ譲渡[11]。2024年3月より製造販売元(大同薬品工業へ製造を委託している「エスカップNEXT」と「エスカップV」は発売元)が久光製薬へ順次切り替わる予定。
テレビCM出演者
現在
過去
工場
提供番組
- 現在
- 過去
関連項目
脚注
注釈
出典
外部リンク