アンドロメダ座γ星は、アンドロメダ座の恒星で2等星。
概要
地球からはα星β星とほぼ同じ明るさに見える。肉眼では分離することができないが、天体望遠鏡を使えば、美しい二重星として見ることができる。2等星の主星γ1星から10.0秒離れたところに5等星のγ2星が輝いている。ウィリアム・ヘンリー・スミスはこの二重星を「オレンジとエメラルドグリーン」と評している[8]。γ2星は5等星と6等星の連星で、平均距離33au、近点距離13au、遠点距離52auの長楕円軌道を63.7年の周期で公転しているとされる[8]。さらにこの5等星も2.7日周期で周回する分光連星で、γ2星全体として三重連星となっている[8]。
名称
学名はγ Andromedae(略称はγ And)。固有名アルマク(Almach)の語源は、本来、アラビア語でヤマネコの一種である「カラカル」を意味する「アナーク・アル=アルド」( عَناق الأرض ‘Anāq al-Arḍ)と呼ばれていたものが縮んだ、「アル=アナーク」( العناق al-‘Anāq)に由来するものと考えられている[4][9]。ルネサンス時代にラテン語へ翻訳された際に、alamac と転写された[4]。アラビア語で「靴、編み上げブーツ」を意味する「アル=マーク」(al-māq:意味として厳密にはal-mūqが正しい)から転写されたものだが、これはラテン語に翻訳された際に、恒星をアンドロメダの靴に見立てて、誤って「アル=アナーク」よりも位置的に(アンドロメダ座の左足に当たるため)「靴」を意味する「アル=マーク」のほうが適切だろうと解釈された結果と考えられる[4]。このため、ラテン語文献以降、Almaak や Alamak から後には Almach へ変化したと思われる[4]。
2016年7月20日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Almach をアンドロメダ座γ1星の固有名として正式に承認した[5]。
10世紀の天文学者アブドゥッラフマーン・アッ=スーフィーの『星座の書』によると、一部のアラブの言い伝えでは上記の「カラカル」(アナーク・アル=アルド)以外に、「グールの頭」(Ra's al-ghūl)とも呼ばれていたと述べている。
脚注
注釈
- ^ a b c d パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^ a b 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
出典
関連項目