アリス・クーパー (Alice Cooper 、1948年 2月4日 - )は、アメリカ合衆国 出身のミュージシャン 、シンガーソングライター 、俳優 。
ロック音楽と演劇的ショーの融合を実践し、1970年代前半にはアメリカのグラムロック の代表格だった。その幻想的かつ創造的なパフォーマンスは「ショック・ロック 」とも形容された。代表曲には「ポイズン」(Poison)「スクールズ・アウト」(School’s out)「アリスは大統領」(Elected)「ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ 」(No More Mr. Nice Guy)などがある。
1973年にはシュルレアリスム 画家のサルバドール・ダリ が自ら希望して彼のショウに出演した。
2011年 、『ロックの殿堂 』入り[ 5] 。
人物
若き日の素顔 (1976年)
ミシガン州 デトロイト 出身、出生名はヴィンセント・デイモン・ファーニア(Vincent Damon Furnier)。アリス・クーパーの名は、若い頃に見た夢に出てきた魔女の名前からとったというエピソードが有名だが、真相は、可愛らしい女の子の名前を付けて実際の音楽とのギャップを狙ったものであると、本人が『プライム・カッツ』のなかで証言している[ 注釈 1] 。
1960年代 後半にデビュー[ 注釈 2] 。1970年代初頭にはグラム・ロック のスターだった。「ショック・ロック」を打ち出したことで一部のロッカーに慕われている。「オジー・オズボーン 」「エアロスミス 」「トーキング・ヘッズ 」「ガンズ・アンド・ローゼズ 」をはじめ、特にグラムロック、ハードロックのミュージシャンが、アリス・クーパーのファンであることを告白し、アリスのベスト盤特別収録曲ではバッキング・メンバーとして参加している。
来歴
トレードマークの顔ペイント開始の頃 (1972年)
近年の素顔 (2012年)
1969年 、バンド『アリス・クーパー 』のデビュー・アルバム『プリティーズ・フォー・ユー』をフランク・ザッパ のストレイト・レコード から発表。同年9月13日のトロント・ロックンロール・リバイバル に出演し、翌日の全国紙でニワトリを噛みちぎってその血を聴衆に吹きかけたと報道された。しかし本人は、ニワトリを聴衆に向かって投げたところ車椅子の観客に踏み潰されただけだ、と語っている[ 6] 。ストレイト・レコードからは1970年 に『イージー・アクション』、1971年 に『エイティーン』を発表。後者の共同プロデューサーの一人にボブ・エズリン を迎えた。
同年、ワーナー・ブラザーズに移籍して『キラー 』を発表。翌1972年 に発表したアルバム『スクールズ・アウト 』がティーンエイジャーを中心に支持され大ヒットし、一躍人気ロッカーとなった。『スクールズ・アウト』のオリジナル・アナログ盤は、紙製のパンティー に包まれていたことも話題となった。またアルバムのプロモーションのために、実際にアメリカ大統領選挙に出馬している。アリスの回想によれば、「アリスは大統領」を気に入ったジョン・レノン は、三日間続けて彼のもとへ通ってきたという[ 7] 。若い頃からパンダのようなメイクをしており、ダミ声ともいえる唱法で一世を風靡した。『ビリオン・ダラー・ベイビーズ 』(1973年)の「ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ 」もヒットした。アルバム『マッスル・オブ・ラヴ』(1973年)を最後にバンド『アリス・クーパー』は解散。
1974年、映画『007 黄金銃を持つ男 』の主題歌候補として「黄金銃を持つ男」[ 注釈 3] を歌うが、最終選考でルル に敗れた[ 8] 。
1980年代 初頭には勢いを失うが、1980年代中期から再び脚光を浴び、1989年 には豪華ゲストを迎えた『トラッシュ 』が大ヒットを記録した。その後も幾度となく浮沈を繰返したが、現在においてもなお精力的に活動を行っており、「キッス 」や「エアロスミス 」と並ぶ、アメリカン・ハードロック 界の重鎮ともいえる存在である。
また、アリスのバンドからは、後に「ウィンガー 」を結成するキップ・ウィンガー や、後に「メガデス 」等で活躍するアル・ピトレリ 等、多くのプレイヤーを輩出した。
米国『TEC Awards』にて俳優仲間と (2017年1月)
俳優としても活躍し、TVシリーズ『名探偵モンク』シーズン5第2話「悪夢のゴミ戦争」に本人役で出演、映画『エルム街の悪夢 』シリーズの『ザ・ファイナルナイトメア 』にも出演[ 9] 。映画『ダーク・シャドウ 』にも本人役で出演した[ 10] 。
ハリウッド・ヴァンパイアーズ - ロシア公演 (2018年5月)
近年は、そのジョニー・デップらと意気投合したスーパーグループ ・プロジェクト「ハリウッド・ヴァンパイアーズ 」を発足させ、ボーカリストとして名を連ねている[ 11] 。
マスメディアはアリスを政治的な保守派だと決めつけるが、2016年の大統領選挙で出馬を検討したり、トム・ハンクス に投票すると語るなど、一筋縄ではいかない人物である[ 7] 。時にその実際の姿が、世間でイメージされているクーパー像との乖離を生じ、パーティー・クラッシャーと誤解されがちな一面も持つ。当人の実像は、パーティーも好む気さくな人物である。
ギャラリー
1972年
1975年
2008年
2011年
2012年
2015年
アリス・クーパー・バンド
現ラインナップ
アリス・クーパー (Alice Cooper) - ボーカル 、ハーモニカ (1963年- )
ライアン・ロキシー (Ryan Roxie) - リードギター (1996年-2006年、2012年- )
トミー・ヘンリクセン (Tommy Henriksen) - リズムギター (2011年- )
ニタ・ストラウス (Nita Strauss) - リズムギター (2014年- )
チャック・ガーリック (Chuck Garric) - ベース (2002年- )
グレン・ソーベル (Glen Sobel) - ドラムス (2011年- )
アリス・クーパー (Vo) 2017年
ライアン・ロキシー (G) 2017年
トミー・ヘンリクセン (G) 2017年
ニタ・ストラウス (G) 2017年
チャック・ガーリック (B) 2017年
グレン・ソーベル (Ds) 2017年
日本公演
8月18日 大宮ソニックシティ 、20日-23日 NHKホール 、27日,28日 大阪厚生年金会館 、30日 瀬戸市文化センター
3月25日 新木場STUDIO COAST 、27日 大阪IMPホール
10月14日「LOUD PARK 17」さいたまスーパーアリーナ
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
『プリティーズ・フォー・ユー』 - Pretties For You (1969年)
『イージー・アクション』 - Easy Action (1970年)
『エイティーン』 - Love It To Death (1971年)
『キラー 』 - Killer (1971年)
『スクールズ・アウト 』 - School's Out (1972年)
『ビリオン・ダラー・ベイビーズ 』 - Billion Dollar Babies (1973年)
『マッスル・オブ・ラヴ』 - Muscle of Love (1973年)
『悪夢へようこそ』 - Welcome To My Nightmare (1975年)
『アリス・クーパー地獄へ行く』 - Goes to Hell (1976年)
『レースとウイスキー』 - Lace & Whiskey (1977年)
『閉ざされた世界』 - From the Inside (1978年)
『フラッシュ・ザ・ファッション』 - Flush The Fasion (1980年)
『スペシャル・フォーセス』 - Special Forces (1981年)
『ジッパー・キャッチズ・スキン』 - Zipper Catches Skin (1982年)
『DADA』 - DaDa (1983年)
『コンストリクター』 - Constrictor (1986年)
『レイズ・ユア・フィスト・アンド・イェル 』 - Raise Your Fist and Yell (1987年)
『トラッシュ 』 - Trash (1989年)
『ヘイ・ストゥーピッド 』 - Hey Stoopid (1991年)
『ザ・ラスト・テンプテーション』 - The Last Temptation (1994年)
『ブルータル・プラネット』 - Brutal Planet (2000年)
『ドラゴンタウン』 - Dragontown (2001年)
『ジ・アイズ・オブ・アリス・クーパー』 - The Eyes of Alice Cooper (2003年)
Dirty Diamonds (2005年)
He's Back (2006年)
Along Came a Spider (2008年)
『悪夢へようこそ 第2章』 - Welcome 2 My Nightmare (2011年)
Paranormal (2017年)[ 12]
Detroit Stories (2021年)
Road (2023年)
ライブ・アルバム
『ライヴ!!アリス・クーパー・ショー』 - The Alice Cooper Show (1977年)
Live at the Whiskey a Go-Go, 1969 (1992年)
『フィストフル・オブ・アリス』 - A Fistful of Alice (1997年)
ほか
コンピレーション・アルバム
『アリス・クーパーの人生と罪状の箱』 - The Life & Crimes of Alice Cooper (1999年)
ほか
ビデオ作品
Good to See You Again, Alice Cooper (1974年)
Welcome to My Nightmare (1976年)
Alice Cooper and Friends (1978年)
Alice Cooper: The Nightmare (1983年)
The Nightmare Returns (1987年)
Video Trash (1989年)
Alice Cooper Trashes The World (1990年)
Prime Cuts: The Alice Cooper Story (1991年)
British Rock Symphony (2000年)
Brutally Live (2000年)
Live at Montreux 2005 (2006年)
Theatre Of Death: Live At Hammersmith 2009 (2010年)
The Strange Case of Alice Cooper (2012年)
Raise the Dead: Live from Wacken (2013年)
脚注
注釈
^ 現在は戸籍上の実名もアリス・クーパーに変えている。
^ デビューから1973年までは『アリス・クーパー』はグループ名でもあった。
^ 詞も曲も異なる。
出典
関連項目
外部リンク