WASP-44 とは、地球 からくじら座 の方向に約1,180光年 (360パーセク ) 離れた場所に位置するスペクトル分類 がG型の恒星 で、木星 サイズの太陽系外惑星 であるWASP-44b が周囲を公転 していることが知られている。WASP-44は太陽 と比較してわずかに質量 が小さく、大きさも小さく、またわずかに低温であるが、金属量 は太陽より多い。WASP-44は太陽系外惑星を探索するプロジェクトであるスーパーWASP によって2009年から観測され、WASP-44のスペクトル の測定とドップラー分光法 を用いたフォローアップ観測により、太陽系外惑星WASP-44bが発見された。恒星WASP-44と惑星WASP-44bは、WASP-45 ・WASP-45b およびWASP-46 ・WASP-46b とともに、ホット・ジュピター は円軌道 をとる傾向があるという考えを検証する科学者チームによって2011年5月17日に発表された。この仮説は、このような惑星の軌道離心率 が十分に制約されていない場合に立てられるものである[ 5] 。
観測の歴史
WASP-44は、南アフリカ天文台 (英語版 ) (SAAO)を拠点とするスーパーWASPのWASP-Southによって2009年7月から11月までの間に観測された。この観測により、この恒星の明るさが周期的に減少していることが明らかになった。WASP-Southは、カナリア諸島 のロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台 のWASP-Northとともに、15,755の測光 による観測データを収集し、科学者がより正確な光度曲線を作成できるようにした[ 5] 。別の一連の観測では、6,000点の測光データセットが得られたが、光度曲線の作成が遅れたため、発見論文では考慮されなかった[ 5] 。
WASP-44が初めて観測されたWASP-Southの拠点である南アフリカ天文台
2010年、ヨーロッパの科学チームがCORALIE分光器 を用いてWASP-44を観測し、WASP-44のスペクトルを17個収集した。収集された観測データの分析により、ドップラー分光法により検出された信号が分光連星 の混合スペクトルによって生じた可能性は排除され、WASP-44の周囲を公転しているとされる天体は実際にはWASP-44bと命名された惑星であると裏付けられた[ 5] 。
チリ のラ・シヤ天文台 のレオンハルト・オイラー望遠鏡 は、WASP-44の周囲を公転する惑星のフォローアップ観測を行い、惑星が主星の前を通過 する箇所を探すために用いられた。その結果、1回の通過が検出された[ 5] 。
WASP-44、WASP-45 とWASP-46 の周囲を公転している惑星、そして主星のすぐ近くを公転しているホット・ジュピターは別の証拠がない限り、非常に円形に近い軌道を持つという科学者の間での一般的な仮定の妥当性を探る議論は、2011年5月17日に王立天文学会 によって発表された発見論文で報告された[ 5] 。この論文は、2011年5月16日に王立天文学会月報 に提出されていた[ 5] 。
特徴
大きさの比較
太陽
WASP-44
WASP-44は、くじら座にあるG型の恒星(太陽 と同じタイプの恒星)である。WASP-44の質量 は太陽の0.951倍、半径 は太陽の0.927倍である。WASP-44の有効温度 は 5410 K (太陽よりも低い)である。ただし、WASP-44は太陽と比較して重元素 の割合が高い。測定された金属量 は [Fe/H] = 0.06 で、太陽に含まれる鉄 の量の1.148倍である[ 6] 。WASP-44の彩層 (最外層)はあまり活動していない。また、自転 速度は高速ではない[ 5] 。
WASP-44の見かけの等級 は12.9であり、地球から肉眼 で観測することは不可能である[ 6] 。
惑星系
WASP-44は、WASP-44b という名称の1つの太陽系外惑星を持っていることが知られている。WASP-44bはホット・ジュピターであり[ 5] 、質量は木星の0.889倍で、半径は太陽の1.14倍である。WASP-44bは地球と太陽の間の平均距離の約3.47%にあたる0.03473 au 主星から離れており、2.4238039日ごとに軌道を一周する[ 6] 。軌道傾斜角 は86.02ºである[ 6] 。軌道離心率 は0.036で、これはWASP-44bの軌道がほぼ円軌道であることを示している[ 5] 。発見されていない未知の惑星を探索するためのトランジットタイミング変化法 による観測では特に成果を得られなかった[ 7] 。
脚注
注釈
出典
^ a b c d e f g h i "WASP-44" . SIMBAD . Centre de données astronomiques de Strasbourg . 2024年12月2日閲覧 。
^ Vallenari, A. et al. (2022). “Gaia Data Release 3. Summary of the content and survey properties”. Astronomy & Astrophysics . arXiv :2208.00211 . doi :10.1051/0004-6361/202243940 Gaia DR3 record for this source at VizieR .
^ a b c d e f g h Addison, Brett; Wright, Duncan J. (2019年11月). “Minerva-Australis. I. Design, Commissioning, and First Photometric Results”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 131 (1005): 115003. arXiv :1901.11231 . Bibcode : 2019PASP..131k5003A . doi :10.1088/1538-3873/ab03aa .
^ a b c Bonomo, A. S.; Desidera, S. (2017年6月). “The GAPS Programme with HARPS-N at TNG. XIV. Investigating giant planet migration history via improved eccentricity and mass determination for 231 transiting planets”. Astronomy & Astrophysics 602 : A107. arXiv :1704.00373 . Bibcode : 2017A&A...602A.107B . doi :10.1051/0004-6361/201629882 .
^ a b c d e f g h i j k Anderson, D. R. et al. (2012). “WASP-44b, WASP-45b and WASP-46b: three short-period, transiting extrasolar planets”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 422 (3): 1988–1998. arXiv :1105.3179 . Bibcode : 2012MNRAS.422.1988A . doi :10.1111/j.1365-2966.2012.20635.x .
^ a b c d Schneider, J. (2011). "Notes for star WASP-44" . Extrasolar Planets Encyclopaedia . 2011年6月1日時点のオリジナル よりアーカイブ。2011年5月30日閲覧 。
^ Moyano, M. et al. (2017). “Multi-band characterization of the hot Jupiters: WASP-5b, WASP-44b and WASP-46b”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 471 (1): 650–657. arXiv :1708.05700 . Bibcode : 2017MNRAS.471..650M . doi :10.1093/mnras/stx1612 .
関連項目
座標 : 00h 15m 37s , −11° 56′ 17″