『Still a long way to go 』(スティル・ア・ロング・ウェイ・トゥ・ゴー)は、1988年6月9日に発売されたオフコース 通算14作目にして最後のオリジナルアルバム 。
解説
前作『as close as possible 』[ 注釈 1] から外部スタッフの参加が頻繁になったほか、打ち込みによるシーケンサー を多用した音作りへと移ったことで、4人という限られた要素の中ですべてを手がける「バンド」としての必然性は薄れた。また、“The Best Year of My Life”というコンセプトを掲げた4人でのオフコースも'84年のスタートから既に3年を経過し、「それぞれが力をつけていくため3年間だけ続ける」という当初の計画も半ば形骸化していた。「結局、自分達が3年後に個人個人でやっていくという確固としたイメージが持てなかったから、それよりもわかりやすい“続けていくこと”を選んだため」と、その理由について小田はこの当時のことを語っている。
今作のレコーディングは前作同様、外部スタッフも含めて行われたが、それが結果としてメンバー間のコミュニケーション不足に繋がった。そのひとつに、B-2「逢いたい」の作詞を吉田拓郎 に依頼したことが当初、小田には知らされていないということがあった。清水が吉田拓郎との打ち合わせ後、事務所に戻ると、小田は「何で拓郎なんだ!」と怒りを露わにしたという。この行き違いについて当人たちは後年、「悪気はないだろうけど、一生懸命というのが“バンドがまとまる”ということと違う方に出てしまった」(小田談)、「小田さんに言わなかったのかなぁ...(中略)あんなに怒った小田さんを見たのは後にも先にも初めてでね。その時は何で怒ってんの?ってわからなかったですけどね。今はよくわかりますよね。今はわかります」(清水談)[ 1] と語っている。
アルバムタイトルの意味について、小田は「アインシュタイン の“光の速度は、それを発する物体の速度に関係なく一定である”という理論じゃないけど、俺達の場合もどんなに歩いても歩いても、これからまだ歩いていかなきゃならない距離って、いつも変わらないって感じがするんだよね。何年活動してこようと関係なく、先はまだ長いと思っている。だからそういう意味では、このタイトルは、アルバム・タイトルっていうよりも、いわば現在のオフコースのテーマみたいなものだね」と、リリース当時のインタビューで答えている。
A-4「陽射しの中で」とB-4「僕らしい夏」に参加している平田謙吾 は、元一風堂 のベーシストで、当時清水が松尾と結成していたバンド“ONE”のメンバー。約半数の曲に参加している園山光博(Sax )は前年のコンサート・ツアーからサポート・メンバーとして参加し(他に神本宗幸(Key )と富樫要(Tp ))、後に小田がソロになった時に結成されたバンドFar East Club Band のバンド・マスターになる。
A-1「君住む街へ」では小田のほか、清水と松尾がボーカルをとっている。小田はこの曲について「出来た時、やっとこういう曲が書けたという達成感でいっぱいだった」と当時のインタビューで答えていた。
B-5「昨日見た夢」は後に小田がシングル「so long my love 」[ 注釈 2] のカップリングとして、歌詞を一部省略したアレンジでセルフ・カヴァーし、アルバム『LOOKING BACK 』[ 注釈 3] にも収録された。
アルバム中、メンバー4人が同時に音を出して録音したのは「君住む街へ」と「逢いたい」のベーシック・トラックのみで、その他は基本的に作曲者が作ったデータにオーバー・ダビング を施したものになった。サウンドの統一感について、小田は「今回は前回と違って、皆で同じ場所でレコーディングしたせいだと思うね。つまり、同じ場所でやれば、誰か他のメンバーがやっているときは皆でそれを待っているわけじゃない。すると『あっ、あの音良いね』とか『あのリズム良いね』なんて事が出てくるわけで、じゃあ俺もやってみようってなことになる。そんなことが結果としてサウンド部分の統一感に結びついたのかもしれないね」と答えている。
このアルバム・リリースにあわせたツアー中の1988年11月、今ツアー終了をもってバンドが活動を終了することがファンクラブのメンバーに向けて発表され、その後スタッフの強い要望で実現したスペシャル・ライブ“The Night with Us”[ 注釈 4] を最後に、オフコースは解散した。
収録曲
SIDE B 全編曲: オフコース。 # タイトル 作詞 作曲 時間 1. 「多分 その哀しみは 」 小田和正 小田和正 4'44" 2. 「逢いたい 」 吉田拓郎 清水仁 5'05" 3. 「悲しい愛を終わらせて 」 小田和正 小田和正 5'04" 4. 「僕らしい夏 」 松本一起 松尾一彦 5'23" 5. 「昨日見た夢 」 小田和正 小田和正 4'49"
クレジット
スタッフ
PRODUCED BY OFF COURSE ALL SONGS ARRANGED BY OFF COURSE
KENGO HIRATA - BASS (A-4,B-4) MITSUHIRO SONOYAMA - SAX HIDEKI MOCHIZUKI - ALL INSTRUMENTS PROGRAMMING
ENGINEERED BY KAZUHIKO YANAGISAWA ADDITIONAL ENGEERING BY MASATAKE OHSATO SHIRO KIMURA
MIXED BY KOJI SUGIMORI
ASSISTANT ENGINEERING BY
YOSHIHIDE MIKAMI MASUMI NAKANISHI TAKASHI ITO YUJI KURAISHI MOTONARI MATSUMOTO YASUHIRO ITO HIDEAKI NOJIMA
RECORDED AT OFF COURSE STUDIO SEDIC STUDIO KANNON-ZAKI MARINE STUDIO
MIXED AT STUDIO JIVE
PRODUCTION MANAGEMENT : AKIRA KIKUCHI MASAMICHI YOSHIDA TOMOAKI KINOSHITA KAZUYUKI YOSHIMURA
ASSISTANT MANAGER : TAIZO ENDO TATSUYA FUNAKOSHI YOSHIHIKO SHIMIZU
ART DIRECTION & DESIGN BY NOBUYOSHI MINEGISHI
ASSISTANT DESIGN : MIYOKO KONNO M.HIDEYUKI (Room・m Inc.)
ILLUSTLATION BY YUKARI ANDO
32FD-7007
解説
CDはアナログ盤、およびカセット と同時発売。ディスク表面はモノクロ印刷だが、アルバム・タイトル・ロゴとバンド名はゴールド印刷。また、本作は同年末にピュアゴールドCD仕様での再リリース以降、2022年のリマスター盤リリースまで品番および価格改定によるCDの再発は行われなかった。なお、CD表面での6曲目のタイトルが誤って“Still a long wah to go way”となっている。
収録曲
君住む街へ
she's so wonderful
I can't stand this
陽射しの中で
夏の別れ
Still a long way to go –また会う日まで–
多分 その哀しみは
逢いたい
悲しい愛を終わらせて
僕らしい夏
昨日見た夢
リリース履歴
#
発売日
リリース
規格
品番
備考
1
1988年6月9日 (1988-06-09 )
ファンハウス
LP
28FB-7007
帯の代わりにステッカーが貼られる。レーベルはアルバム・オリジナルのデザインを採用。
28FC-7007
カセット同時発売。
CD
32FD-7007
CD同時発売。
2
1988年12月10日 (1988-12-10 )
CD
40FD-7050
ピュアゴールドCDでの再発。
3
1988年12月10日 (1988-12-10 )
CD
00FD-7054
ファンハウス在籍時のオリジナル・アルバム4枚組CD-BOX 『SPECIAL CD SET OFF COURSE 1984-1988』の中の1枚。
4
2022年6月15日 (2022-06-15 )
Ariola Japan / Sony Music Labels Inc.
CD
FHCL-3014
リマスタリング を施されたうえで再発。
脚注
注釈
出典
外部リンク
SonyMusic
シングル
エキスプレス ⁄ 東芝EMI (1969年 (1969 ) – 1982年 (1982 ) ) エキスプレス ⁄ ファンハウス (1984年 (1984 ) ) ファンハウス(1985年 (1985 ) – 1989年 (1989 ) )
アルバム
オリジナル
エキスプレス ⁄ 東芝EMI エキスプレス ⁄ ファンハウス ファンハウス
ベスト
ライブ ボックス・セット
関連人物 関連項目
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