PEZY Computing(日: ペジーコンピューティング)は、主に独自のコンピューターアーキテクチャーのCPUの研究開発および設計を事業とするコンピューターメーカーである。社名の“PEZY”は、接頭辞の“Peta”、“Exa”、“Zetta”、“Yotta”の、各頭文字を集めて冠したものである[1]。単に「ペジー社」と略されることもある[2]。当社の元代表である齊藤元章が、この会社での活動を元にして著書「エクサスケールの衝撃」を執筆した。
詳細
PEZY ComputingはPEZY-SC等のMIMD型マルチコアプロセッサーを開発する企業である。2012年に第一世代の512コアのメニーコアプロセッサ「PEZY-1」の開発に成功。2014年9月には第二世代の1,024コアのメニーコアプロセッサ「PEZY-SC」の開発に成功している。
また、同社は、液浸冷却装置を開発するExaScalerと共同でスーパコンピュータの開発を行っている。
スーパーコンピュータの絶対演算性能を競う世界ランキングTOP500にエントリーされたスーパーコンピュータの中から1W当たりの演算性能を競う省エネランキングGreen500において、Suiren(高エネルギー加速器研究機構)が2014年11月に世界第2位を獲得。2015年6月のランキングでは、Shoubu(理化学研究所)、Suiren Blue(高エネルギー加速器研究機構)、Suirenが、世界第1位から第3位を独占した[3][4][5][6][7]。Shoubuはまた、2015年6月から2016年6月にかけてのランキングで、3期連続の世界第1位を獲得した。
2016年には、齊藤元章が日本イノベーター大賞を受賞した。
2017年には、同じく齊藤元章が日本クリエイション大賞2016対象を受賞した。
2017年12月5日、当時社長であった斉藤元章と元取締役の2人が、2014年2月に新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) に対して事業費用を水増し計上した実績報告書を提出し助成金約4億3100万円をだまし取ったとして、東京地方検察庁特別捜査部から詐欺容疑で逮捕された[8][9][10]。
2018年3月30日付で代表取締役が高橋一夫に交代した[11]。
沿革
- 2010年1月27日 ‐ 東京都港区芝で設立される
- 2010年7月 ‐ 512コアプロセッサーの開発プロジェクトが新エネルギー·産業技術総合開発機構 (NEDO) のイノベーション実用化事業に提案が採択
- 2012年4月 ‐ NEDOの助成でPEZY初のプロセッサPEZY-1を開発
- 2012年7月 ‐ 1024コアプロセッサーの開発プロジェクトがNEDO戦略的省エネルギー技術革新事業に提案が採択
- 2012年10月 ‐ 千代田区神田淡路町に移転
- 2014年9月 ‐ NEDOの助成でPEZY-SCを開発する
- 2014年11月1日 ‐ PEZY-SCとExaScalerの液体冷却システムESLC-8を採用したExaScaler-1を用いたSuirenがKEKで稼働を開始する
- 2014年11月 ‐ KEKに設置したSuirenが、TOP500で369位に、Green500では2位に、それぞれランクインする[12]。
- 2015年6月 ‐ Suiren BlueをKEKに設置する[13]
- 2015年6月 ‐ Shoubuを理化学研究所に設置する[14]
- 2015年7月 ‐ ShoubuとSuirenおよびSuiren Blueが、Green500において、トップ3を独占する[3][4][5][6][7]。
- 2015年8月 ‐ 千代田区神田小川町に移転
- 2017年2月 - 科学技術振興機構 (JST) から、産学共同実用化開発事業 (NexTEP) 未来創造ベンチャータイプの平成28年度緊急募集の新規課題にPEZY Computingの「磁界結合DRAM・インタフェースを用いた大規模省電力スーパーコンピュータ」が採択されたと発表があり、JSTの課題開発に1億円~最大50億円が貸付される。開発期間は2017年1月から12月までとなっている[15]。
- 2017年10月26日 - 株式会社ExaScalerおよび株式会社PEZY Computingは、海洋研究開発機構横浜研究所に本年5月に設置した同社の大規模液浸型スーパーコンピュータ「暁光 (Gyoukou)」がLINPACK性能で14.13ペタフロップスを達成し、本年6月のTOP500リストに照らし合わした場合、国内1位の性能を達成したと発表した。また、消費電力効率についても14.69 GFLOPS/Wを達成し、6月のGreen500に照らし合わせた場合には世界一となると発表した[16][17]。
- 2017年11月14日 - PEZY Computingが開発した「Gyoukou(暁光)」が2017年11月13日のTOP500ランキングに於いて19.14ペタフロップスで4位に浮上した。チップの歩留まりや電力系の問題からフル稼働には至らなかった[18]。
- 2017年12月13日 - スーパーコンピュータシステム「Gyoukou(暁光)」がスパコンランキングTOP500で世界3位相当・Green500で世界4位相当を達成[19]。
- 2018年9月20日 - 東京地裁にて法人としてのPEZY Computingに対し法人税法違反、消費税法違反および地方税法違反により罰金6,000万円の判決[20]。
- 2018年11月13日 - スーパーコンピュータ「Shoubu(菖蒲)system B」がスパコン省エネランキングGreen500で3期連続世界第1位と認定[21]。
- 2019年11月25日 - スーパーコンピュータ「NA-1」がスパコン省エネランキングGreen500で世界第2位と認定。その後、消費電力性能世界記録を更新[22]。
- 2020年6月23日 - スーパーコンピュータ「NA-1」がスパコン省エネランキングGreen500で世界第3位[23]。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク