『Lab. 』(ラブ[ 8] )は、日本 のロックバンド ・go!go!vanillas が2024年 11月6日 にIRORI Records から発売した、メジャーでは7枚目、通算で8枚目のフルアルバム である。
概要
前作『DREAMS 』から約1年振り、フルアルバム としては『FLOWERS 』から約1年11か月振りとなるアルバムで、事務所独立後、またIRORI Records 移籍後初となるフィジカルリリースである[ 9] 。メジャーデビュー10周年を迎えた翌日にリリースされた[ 注 1] 。
CD のみからなる通常盤と、CDとBlu-ray からなる初回限定盤の2形態でリリースされた。CDには配信シングル「SHAKE」「平安」「来来来」「Persona」を含む全10曲が収録されている[ 注 2] 。初回限定盤付属Blu-rayには、"Lab. STUDIO LIVE"として、アルバムより3曲のスタジオライブ映像が収録されている[ 11] 。
ジャケット写真は、白い背景にアルバムタイトルである「Lab.」の文字と、黒いハートが浮き上がったデザインとなっている[ 12] 。アートワークは「来来来」「Persona」に引き続き花房真也が担当した[ 13] 。
タイトルは“Laboratory”の略称でありながらも、“LOVE”という意味も込められているとのこと[ 14] 。
初週約3770枚を売り上げ[ 5] 、オリコン 、Billboard Japan Top Albums Sales にて共に17位にランクインした[ 4] [ 5] 。
今作を引っ提げたライブとして、「東京 Lab. ストーリー 」「Lab. TOUR 2024-2025 」が開催された[ 8] [ 11] 。
リリースまで
2024年8月11日開催のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 のステージ上で今作のリリースと今作を引っ提げたツアー「Lab. TOUR 2024-2025 」の開催が発表された[ 14] 。
9月8日には、アルバムの発売日が11月6日に決定したことと商品形態と一部の収録内容が発表された[ 15] [ 注 3] 。また、同日に両国国技館 にて開催されていた大相撲九月場所 の土俵 上の懸賞旗 にて、11月10日に両国国技館にてアルバム発売を記念したフリーライブ「東京 Lab. ストーリー 」を開催することを発表した[ 17] 。
9月11日にアルバムのアートワーク が発表され、予約が開始された。また、各CDショップ 特典や予約特典も発表された。内容は以下の通り[ 18] 。
店舗
特典内容
セブンネットショッピング
オリジナルランチトート
タワーレコード
オリジナル懸賞旗ステッカー
HMV
オリジナルポストカード
楽天ブックス
オリジナルアクリルキーホルダー
Amazon
メガジャケ (STUDIO LIVE Ver.)
その他CDショップ
オリジナルステッカーシート
公式ファンクラブ (go!go!CLUB)
デスクカレンダー
9月28日には、アルバム収録の新曲「Persona」がテレビ東京 系ドラマプレミア23 『Qrosの女 』のオープニングテーマに決定したことと、「Persona」を10月9日に先行配信することが発表された[ 19] 。
10月3日には、初回限定盤収録の「Lab. STUDIO LIVE」のティザー映像がYouTube上で公開された[ 20] 。
10月4日には、アルバム収録曲のタイトルと曲順、初回限定盤収録映像の詳細情報が公開された[ 21] 。また、前述のCDショップ別予約特典の絵柄も同時に公開された[ 21] 。
リリース1週間前の10月30日には、Apple Music とSpotify にてアルバムの配信予約が開始された[ 22] 。
11月3日には、FM802 「Grace Place」にて、本作の収録曲「クロスロオオオード」のオンエアが初解禁された[ 23] 。
11月5日にはアルバム収録曲のトレイラー映像と、リード曲「Leyline」のMV のティザー映像が公開された[ 24] 。
11月6日、リリース。「Leyline」のMVが公開された[ 25] 。公開から2週間後の11月20日には、MVのメイキング映像が公開された[ 26] 。
批評
音楽ライター の小川智宏は、本作に関して、楽曲自体にバラエティ性があることや5人のミックスエンジニアが参加していることに言及した上で、「このアルバムから浮かび上がるバニラズは、これまで以上にひと言では言い表せないさまざまな顔を見せてくれる。しかし、牧達弥(Vo・G)の描く明確なビジョンと、それを的確に具現化するメンバー3人の手腕が、その一見バラバラな楽曲たちをガッチリと結びつける。」と述べている[ 27] 。
また、同じく音楽ライターの石角友香は、本作に関して「モダナイズ されたジャズファンク やインディポップ 、The Beatles へのオマージュ など多彩な側面を持ち込みつつ、各々の楽曲に複数のジャンル感が混交し、2024年に日本語のロックが果たしうる可能性も突き詰めた成果が鳴っている。」と述べている[ 28] 。
収録内容
CD
全作詞・作曲: 牧達弥、全編曲: go!go!vanillas、井上惇志。 # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 1. 「Lab.」 牧達弥 牧達弥 01:26 2. 「HIBITANTAN」 牧達弥 牧達弥 03:20 3. 「クロスロオオオード」 牧達弥 牧達弥 02:53 4. 「来来来 」 牧達弥 牧達弥 03:33 5. 「SHAKE 」 牧達弥 牧達弥 04:03 6. 「Leyline」 牧達弥 牧達弥 04:49 7. 「Super Star Child」 牧達弥 牧達弥 03:53 8. 「Persona 」 牧達弥 牧達弥 03:06 9. 「平安 」 牧達弥 牧達弥 03:12 10. 「Moonshine」 牧達弥 牧達弥 04:27 合計時間:
34:48
初回限定盤付属Blu-ray
Lab. STUDIO LIVE # タイトル 作詞 作曲・編曲 1. 「SHAKE」 2. 「平安」 3. 「来来来」
Lab. SOLO INTERVIEW # タイトル 作詞 作曲・編曲 4. 「Lab. SOLO INTERVIEW」
Lab. STUDIO LIVE - AFTERTALK # タイトル 作詞 作曲・編曲 5. 「Lab. STUDIO LIVE - AFTERTALK」
楽曲解説
本作は、メジャー1stアルバム『Magic Number 』ぶりに全ての楽曲が牧により作詞作曲された[ 27] 。また、本アルバムはバンド史上初めて全ての収録曲に外部のミュージシャンが参加している。ミックス は小森雅仁 、浦本雅史 、渡辺省二郎、飯場大志、illicit tsuboiの5人のエンジニアが担当した[ 29] 。また、マスタリング はMetropolis Studios のマット・コルトンが担当した[ 29] 。
Lab.
本作のタイトル曲で、インスト 楽曲[ 29] 。牧曰く、移籍第1弾のアルバムということで、バンドとしての新たな始まりを感じられるような曲をアルバムの1曲目に据えたとのこと[ 29] 。
HIBITANTAN
イギリスでのレコーディング時からワンコーラスのみ存在していた[ 29] 。
本作で唯一、歌詞は牧自身に向けたもの[ 29] 。セイヤは本楽曲の歌詞について、「牧と二人で飲んでる時の感覚に近い」と評している[ 29] 。
創作における人間的な感情と、AIなどの新たな技術との戦いについて歌った楽曲[ 29] 。
クロスロオオオード
英題は「Crossroad」[ 30] 。
アメリカ のブルース・ギタリストであるロバート・ジョンソン にまつわる「クロスロード伝説」がモチーフとなった楽曲[ 27] 。クロスロード伝説の舞台とされている、ミシシッピ州クラークスデール に位置する国道61号線と49号線が交わる十字路 。 「クロスロード伝説」とは、ジョンソンがブルースのテクニックのために悪魔 に魂 を売り渡したとする逸話[ 31] 。歌詞は、その伝説に登場する悪魔と青年(ジョンソン)の掛け合いで構成されているが、本作の歌詞では青年は悪魔と取引をしないことを選ぶという点でアンチテーゼ となっている[ 27] 。プリティは本楽曲の歌詞について、「最初に《耳をかっぽじってよく聞け。》って悪魔が言うんですけど、最後に青年のほうがその同じ言葉を返すっていうのが僕はすごく好きで」と語る[ 27] 。
IRORI Recordsへの移籍後最初に製作された楽曲[ 32] 。牧は「この曲が最初にできたのはすごく納得というか。レーベルも移籍して事務所も独立してっていう過渡期の中での自分たちが、すごく描かれてるのかなって思う」と述べている[ 27] 。
プリティは「グルーヴを出すためにどこまでドラムと仲良く弾けるかを意識した。」「Vulfpeck を聴いてて"Joe Dartになろう"みたいな挑戦をした。」と発言している。
来来来
SHAKE
Leyline
今作のリード曲[ 24] 。
タイトルの「レイライン 」とは、古代の遺跡には直線的に並ぶよう建造されたものがあるという仮説のこと[ 33] 。
アルバム製作の序盤に製作された楽曲で、テーマは「光と闇」といった二元性[ 32] 。
ザ・ヴァーヴ を意識したストリングス が入っている楽曲[ 32] 。
「SHAKE」「平安」に引き続きロンドンにてレコーディングが敢行された、「ロンドン三部作」の集大成と位置付けられる楽曲[ 24] 。ストリングスのレコーディングは、演奏者が一本のマイクを囲うような形で行われた[ 32] 。
「SHAKE」「平安」に引き続き今原電気が監督を担当したMV が製作されている。モノクロ の映像にメンバーの演奏シーンと、直線が重なったようなオブジェクトが映し出される映像となっている[ 24] 。
音楽ライター の石角友香は、本楽曲に関して「荘厳なチェロ の旋律から始まるこの曲は曲調やバンドアレンジにどこかThe Beatles を想起させる。特にジェットセイヤのドラムパターンやスネアのサウンドにそれは顕著だ。牧が書くメロディも広く英国的と呼ばれるラインを持っている。」と評した[ 33] 。
Super Star Child
製作の終盤に完成した楽曲[ 27] 。
アルバムタイトルの「Lab.」(=実験室)にもあるように、実験的に様々なテイストの楽曲を製作していく中で、牧が一度原点に戻りたいという感情になったときに出来上がった楽曲[ 34] 。そのため、当初の曲調は牧のルーツでもあるフォーク 調でバラード のようなものであった[ 32] 。しかし、前曲「Leyline」がバラードに仕上がったことで本楽曲の曲調はアッパーなロックチューンとなった[ 32] 。
プリティやセイヤは本楽曲の歌詞をアルバムでもっとも好きな歌詞として挙げている[ 32] 。
Persona
平安
Moonshine
収録映像解説
「Lab.」をコンセプトに撮り下ろした、数曲のスタジオライブ映像が収録された[ 36] 。また、メンバーのソロインタビューに加え、ライブのアフタートークも収録されている。スタジオライブには、井上惇志 from showmore (Keyboards , MPC )、Takumadrops(Keyboards)、曽我部泰紀(Tenor Saxophone )の3人のゲストミュージシャンが撮影に参加している[ 21] 。映像のディレクションは、「SHAKE」「平安」のMV監督を務めた今原電気 が担当した。
Lab. STUDIO LIVE
SHAKE
平安
来来来
参加ミュージシャン
Lab. (CD)
Tatsuya Maki: Programming , Vocal (except M1), Electric Guitar (M1,3,4,7,8), Acoustic Guitar (M2,6,10)
Shintaro Yanagisawa: Electric Guitar, Backing Vocals (M3,5,6,7,10), Vocals(M4)
Keisuke "pretty" Hasegawa: Electric Bass , Backing Vocals(M3,4,5,6,10)
JETT SEIYA: Drums , Backing Vocals(M3,4,5,6,7,10)
Atsushi Inoue: Piano (M1,2,4,5,6,7,10), Programming(M1,2,3,4,9), Synthesizer (M2,3,4,8,9), Organ(M5,6,7,8), Clavinet (M1,8), Keyboards (M4,9), Ace Tone (M7,8), Contrabass (M1), Wurlitzer (M3), Rhodes (M8), Synth Bass (M9)
Takezo Yamada: Trumpet (M3,6)
Gemma Moore: Saxophone (M5)
Eloisa - Fleur Thom: 1st Violin (M6)
Amy Tress: 2nd Violin (M6)
Stephen Upshaw: Viola (M6)
Brian O'Kane: Cello (M6)
Manami Nezu (showmore): Backing Vocals(M9)
Jack McCartney: Horn Arrangement(M5), Strings Arrangement(M6)
Lab. STUDIO LIVE (Blu-ray)
go!go!vanillas
Tatsuya Maki
Shintaro Yanagisawa
Keisuke "pretty" Hasegawa
JETT SEIYA
ADDITIONAL MUSICIANS
タイアップ
関連ライブ
東京 Lab. ストーリー
「東京 Lab. ストーリー 」(とうきょうラブストーリー)は、今作の発売を記念して2024年11月10日に両国国技館 にて開催されたフリーライブ[ 17] 。
両国国技館
9月8日に両国国技館にて開催されていた大相撲九月場所 の土俵 上の懸賞旗 にて、本ライブの開催が発表された[ 17] 。
ライブは360度解放のセンターステージで開催された[ 11] 。アルバムの初回限定盤にはライブのチケットの申し込みに必要なシリアルコードが付属しており、2024年9月11日から10月13日までの間にアルバムを予約購入することでチケットを手に入れることができた[ 18] [ 37] 。アルバムを購入する店舗によって座席が異なり、セブンネットショッピングでのアルバム購入者はステージの最接近エリア[ 注 4] 、それ以外の対象店舗でのアルバム購入者は1Fアリーナ後方/2F席の前方に入場できる[ 39] 。また、抽選でアルバム購入者以外も対象にチケットの一般販売も行われた。
ライブの模様はFM802 「Grace Place」にて生配信が行われた[ 40] 。また、バンドの公式YouTubeチャンネルでも全編の生配信が行われた[ 41] 。
セットリスト
Lab. TOUR 2024-2025
「Lab. TOUR 2024-2025 」(ラブ ツアー 2024-2025)は、今作を引っ提げて開催される、バンド史上最大規模の全国ツアーで、「LIVE HOUSE & HALL編」と「ARENA編」から構成される[ 42] 。
Lab. TOUR 2024-2025
「ARENA編」として2DAYS公演が行われる日本武道館 go!go!vanillas の ワンマン・ツアー関連アルバム
Lab. 初日
2024年11月27日 (2024-11-27 ) 最終日
2025年4月20日 (2025-4-20 ) 行程
16会場 公演数
21公演 ウェブサイト
特設サイト go!go!vanillas ツアー 年表
ARENA編では2度目となる大阪城ホール 公演と前回の日本武道館公演 のステージ上で目標として宣言した、自身初となる日本武道館2DAYS公演が開催される予定[ 43] [ 42] 。静岡、石川、新潟、長崎、大分、広島、香川でのホール公演の会場は全て初めて訪れる会場[ 44] 。柳沢の地元である秋田CLUB SWINDLEでのライブは柳沢の希望によりツアー行程に追加された[ 44] 。
2024年5月5日に開催されたライブ「Ready Steady go!go! vol.09」のアンコールのMCにて「go!go!vanillas Arena Tour 2025」の開催が発表された[ 45] 。
8月11日にROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024 のステージ上で本ツアーの開催と「go!go!vanillas Arena Tour 2025」をタイトル改め本ツアーのARENA編とすること、新たにLIVE HOUSE & HALL編を開催することが発表された[ 8] 。
日本武道館公演のチケットは一般販売開始から2日で両日ともに完売した[ 46] [ 47] 。大阪城ホール公演のチケットも2か月足らずで完売した[ 48] 。
日程・会場
ライブ映像作品
シングル曲については各作品の項目を参照
インスト版
本作のインストゥルメンタル 版の音源が2024年12月25日に配信限定でリリースされた[ 49] 。
ジャケットは、本作のジャケットから“Lab.”の文字を取ったデザインとなっている[ 49] 。
バンドがインストゥルメンタル音源をリリースするのは本作が初である[ 49] [ 注 5] 。
脚注
注釈
^ アルバム『Magic Number 』で2014年11月5日にメジャーデビュー[ 10] 。
^ バンド史上初めてフィジカルリリースされたシングルが収録されていないアルバムとなった。
^ 2024年8月11日に公開されたReal Sound によるインタビュー記事ではアルバム発売は10月とされていた[ 16] 。
^ セブンイレブン限定シートはアルバムの予約開始から約3分で完売した[ 38] 。
^ 過去には、アルバム『FLOWERS 』の予約特典としてインストアルバム『FLOWERS(Instrumental)』が配布されていたが、公式にリリースされるのは今回が初めて[ 50] 。
出典
外部リンク