CryEngine (クライエンジン)は、Crytek 開発のゲームエンジン である。
特徴
バージョン
この図はゲームエンジンCryENGINEの系譜を表している。
CryENGINE 1
CryENGINEはファーストパーソンシューター のコンピューターゲーム Far Cry で使用されたゲームエンジン である。元々はNvidia の技術デモンストレーション のためにCrytekが作っていたものだが、同社がそれのポテンシャルを見抜き、ゲーム開発へと相成った。
バーテックスシェーダ とピクセルシェーダ の3.0に対応したビデオカード が発売され、Crytekは描画改善機能の一部を使用したエンジンのバージョン1.2をリリースした。
その後同社はCryENGINEバージョン1.3を開発した。これにはハイダイナミックレンジイメージ (HDR)ライティングへの対応が追加されている。
このエンジンは MMORPG タワー オブ アイオン 用にNCsoft へとライセンスされている。[ 13]
2006年3月30日にUbisoft はFar Cryシリーズに関するすべての知的財産権とCryENGINEのFar Cry版の永久使用ライセンスを取得した。[ 14]
CryENGINE 2
CryENGINE 2 は Crytek が開発したゲームエンジン であり、「Far Cry 」で使われた CryENGINE の後継である。
CryENGINE 2 は Crytek のゲーム「Crysis 」で使われ、アップデート版のエンジンが Crysis の外伝にあたる「Crysis Warhead 」で使われた。
また、MMORPG の「Entropia Universe (英語版 ) 」は最近、そのグラフィック機能を CryENGINE 2 にアップデートした[ 15] 。
2009年3月の Game Developers Conference で、CryENGINE 2 の後継である CryENGINE 3 が Xbox 360 と PLAYSTATION 3 上で披露された。
CryENGINE 2 が最初に外部ライセンスされたのは、建築・都市計画のコンサルタントを行なうフランスの IMAGTP 社だった。ライセンスの使用目的は、このエンジンを使うことで実際に施工する前にビルやその他の建築物がどのように見えるか(IMAGTP 社の)顧客へ正確に提示することが可能となるからだった。
2011年3月7日現在、新興の開発会社である Simpson Studios は CryENGINE 2の外部ライセンスを受けた。同社はテラフォーミング された火星 を舞台とするメタバース での使用に関してライセンスを得た[ 16] 。このメタバースは後に「Blue Mars 」と名付けられた
2007年3月11日、Crytek はこの新規IP に基づいたゲームを制作するためにエンジンを使用していると発表した。それは Crysis の一部ではなく、実際はファーストパーソンシューティングゲームですらないかもしれないと確認された。
2007年9月17日、フロリダ の美術大学 Ringling College of Art & Design は教育目的で CryENGINE 2 のライセンスを受けた世界初の高等教育機関になった[ 17] 。
CryENGINE 3
2009年3月11日、Crytekは 2009年の3月25日から同27日まで開催されるGame Developers Conference にてCryENGINE 3を披露すると発表した。新しいエンジンはMicrosoft Windows とPlayStation 3 、Xbox 360 、Wii U での使用を想定され作られていた。PCプラットフォームについていえば、このエンジンはDirectX9および10、11での開発に対応しているようだ。[ 18] [ 19] 2009年6月1日の時点で、Crytekが自分たちのブランドの新しいエンジンでCrysis 2 を制作中であると発表された。[ 20] CryENGINE 3は2009年10月14日にリリースされた。[ 21]
2010年3月1日、2010年のi3Dシンポジウム用に、このエンジンの新しいテックデモ がリリースされた。これは「リアルタイムなグローバルイルミネーションを実現するためのカスケードライトプロパゲーションボリューム」という技術をデモンストレーションするためのものである。[ 22] 2011年6月11日、オーストラリア国防軍 はオーストラリア海軍 の隊員をCryENGINE 3ソフトウェアを使って作られた仮想のキャンベラ級強襲揚陸艦 上で訓練させることを公開した。[ 23] 2011年7月1日現在、特にCrysis 2用のカスタムマップやMOD やコンテンツを作るためのCryENGINE 3のMod SDKバージョンがCrytekのウェブサイト上で利用可能になった。また、Crytekは非商用のゲーム制作用のCryENGINEの無償利用版もリリースした。これは2011年8月17日のことであり、CryENGINE 3 SDKと名付けられた。[ 24] [ 25]
Crytekは2011年9月9日、CryENGINE 3を利用し、コンソールにオリジナルのCrysisを移植していると発表した。[ 26] 2011年10月4日にXbox LiveとPlayStation Networkでリリースされた。[ 27]
CryEngine (第4世代)
2013年8月21日に、Crytekは次世代のCryEngineにはバージョンナンバーが持ち越されないと発表した。この決定の理由は、この新エンジンには過去のCryEngineのバージョンと類似点をほとんど持たないという事実だった。新しいCryEngineはPlayStation 4やXbox One、Wii Uなどの次世代プラットフォームをサポートする。そのため、他と混同しないように、概してCryEngine(第4世代)と呼ばれるだろう[ 28] 。
CryEngine V
開発
元々サンドボックスエディターと呼ばれていたCryENGINE 3 Free SDK はCrytek作成のゲームエンジンCryENGINEの流れの中で、レベル作成に使われるレベルエディタの最新バージョンである。ツールにはスクリプト やアニメーション、オブジェクトの作成を補助するソフトウェアも含まれている。それはたくさんのCrytekのゲーム(Crysis やFar Cry も含むがそれだけに限らず)に組み込まれてきていて、MOD 作成のために広く使われている。編集スタイルはサンドボックス のコンセプトに基づいていて、広大な地形やミッションプログラミングの自由度に特に力を入れている。エディターは屋内環境も作成できる。
いっぱいになった世界のスペースからエリアを引いていくといったような「引き算の」編集スタイルを使うUnrealEd (英語版 ) のようなエディターとは逆に、このサンドボックスは(Quake II のような)「足し算」スタイルである。オブジェクトは全体的に空っぽなスペースに追加される。
非常に広大な(理論的には、数百平方キロメートル)の地形を作るうえでこのサンドボックスが特に特出していることは風景の中にテクスチャを塗ったりオブジェクトを配置するということにアルゴリズム的なことを使っていることである。テクスチャの分布や植物のタイプを決めるために多くのパラメータを使っている。これには時間の節約やそんな広大な地形のエディトを実現可能にするということが意図されており、同時に「現実の世界」全体で自由に行動できるスタイルも維持していた。これは広大な地形の幻影を見せるために「フェイクバッドロップ(偽の背景)」をしばしば使っている一部のエディトシステムとは異にしている。
あるやり方で、ゲームデザインに使われる3DレンダラーのBlender と多少比較してみると、このサンドボックスエディターには一つのキーを打てば現在のデザインをぱっと表示できる機能(WYSIWYP、「見たままがプレイできる(What You See Is What You Play)」の意)を備えている。これにはゲームエンジンがエディタ内で事前に動作しているためゲームをローディングする必要がない。「プレイヤー」の視点がエディターの3D部分に表示される。
またエディターは乗り物や物理、スクリプト、ハイクオリティなライティング(リアルタイムで動く影を含む)などのCryENGINEの特徴をすべてサポートしている。具体的にはPolybump技術やシェーダー、3Dオーディオ、キャラクターの逆運動学 、そして混合アニメーションや動的ミュージック、リアルタイムソフトパーティクルシステム、そして統一されたFXエディターや遅延ライティング、法線マッピング とパララックスオクルージョンマップ、そして高度なモジュール型AIシステムなどがあげられる。
CryENGINEを使用しているゲーム一覧
CryENGINE 1
CryENGINE 2
CryENGINE 3
作品名
発売日
開発元
発売元
プラットフォーム
ASTA: The War of Tears and Winds
未定
Polygon Games
NHN
Microsoft Windows
ArcheAge [ 32]
2013年1月15日 2013年7月23日 2014年2月22日 2014年9月16日 2014年9月16日 2015年9月8日 2017年11月27日
XL Games
XL Games
Microsoft Windows
CABAL 2 [ 33]
2012年11月12日オープンベータ
ESTsoft Corp.
ESTsoft Corp. ESTsoft Inc.
Microsoft Windows
Civilization Online
未定
XL Games
2k Games
Microsoft Windows
Project: Theralon
未定
Infernum Productions
Microsoft Windows
Lethal Enterprise
未定
New World Interactive
Microsoft Windows
Dragon's Prophet
2013年6月
Runewaker Entertainment
Microsoft Windows
Icalus Online
未定
Wemade Entertainment
Microsoft Windows
Project OG
未定
Golfzon
Microsoft Windows
State of Decay [ 34]
2013年6月3日
Undead Labs
マイクロソフト
Microsoft Windows , Xbox 360
Crysis (PS3, X360) [ 35]
2011年10月4日 2011年10月4日 2011年10月4日
Crytek GmbH
Electronic Arts
PlayStation 3 , Xbox 360
Crysis 2
2011年3月22日 2011年3月24日 2011年4月1日
Crytek GmbH
Electronic Arts
Microsoft Windows , PlayStation 3 , Xbox 360
Crysis 3
2013年2月
Crytek GmbH
Electronic Arts
Microsoft Windows , PlayStation 3 , Xbox 360
Enemy Front
2014年6月10日
City Interactive
City Interactive
Microsoft Windows , PlayStation 3 , Xbox 360
Forged by Chaos [ 36]
未定
Panzar Studio
Panzar Studio Panzar Studio
Microsoft Windows
God Slayer [ 37]
未定
ChangYou
ChangYou
Microsoft Windows
Lichdom [ 38]
未定
Xaviant
Microsoft Windows , PlayStation 3 , Xbox 360
Nexuiz (2012年) [ 39]
Xbox 360 2012年2月15日Microsoft Windows 2012年3月3日
IllFonic
THQ
PlayStation 3 , Xbox 360 , Microsoft Windows
Sniper: Ghost Warrior 2 [ 40]
2013年1月15日 2013年1月18日
City Interactive
City Interactive
PlayStation 3 , Xbox 360 , Microsoft Windows
Tour Golf Online
未定
OnNet , OnNet USA
Onnet
Microsoft Windows
Warface [ 41]
2012年
Crytek Kiev
Tencent Games Mail.ru Trion Trion
Microsoft Windows , Xbox 360
MechWarrior Online [ 42]
2012年
Piranha Games
Infinite Game Publishing
Microsoft Windows
D.R.I.V.E
未定
Input Games
Microsoft Windows
Fibble [ 43]
2012年3月29日
Crytek GmbH
Crytek GmbH
iOS , Android
CryEngine (第4世代)
CryEngine V
その他ライセンスされたもの
脚注
外部リンク