34丁目の奇跡〜Here's Love〜(34ちょうめのきせき ヒアーズ ラブ)は、メレディス・ウィルソン脚本、作詞、作曲によるミュージカル。原語での題名は Here's Love。
アメリカ映画『三十四丁目の奇蹟』を原作とする、サンタクロースの存在を疑う少女の物語である。この少女の母親は、夫とは離婚した、人への不信感の強い女性で、メイシーズ・デパートでスペシャル・イベントのディレクターを務めている。メイシーズの感謝祭パレード[1]で陽気な聖ニコラス役に雇われたのは、偶然にも本物のクリス・クリングルだった。クリス・クリングルは少女とその母親に、自分が本物だと認めさせることになる。
上演
ブロードウェイにおいて、スチュアート・オストロウ演出、マイケル・キッド振付により、2回のプレビュー公演後、シューバート・シアターにて1963年10月3日より1964年7月25日まで、本公演334回が上演された。主なキャストには、ローレンス・ネイスミス、ジャニス・ペイジ, クレイグ・スティーヴンズ、リサ・カーク、フレッド・グイン, マイケル・ベネット、バーヨーク・リーがいる。当初の演出はノーマン・ジュイソンだったが、リハーサル中に、プロデューサーであったオストロウに交代した[2]。
MTI Shows によると、このミュージカルは『It's Beginning to Look a Lot Like Christmas』とタイトルを変更されている[3]。『It's Beginning to Look a Lot Like Christmas』という歌は1951年にメレディス・ウィルソンが作曲したものであり、このミュージカルで使用されている(ただし、オリジナルのブロードウェイ上演リストには含まれていない)[4][5]。
あらすじ
スーザン・ウォーカーとその母ドリスは、1960年代のニューヨークで、2人っきりで暮らしている。ドリスはメイシーズの重役であり、このミュージカルのはじめでは、メイシーズの感謝祭パレードの準備に追われている。スーザンはフレッド・ゲイリーという名前の元海軍兵に会う。フレッドは、スーザンが人生を「現実主義的」に見ている様子を知り、それを変えさせようとメイシーズにいるサンタクロースに会わせるためスーザンを連れていく。クリス(サンタ)はスーザンの心をつかみ、一方ではフレッドとドリスの間に愛がはぐくまれていく。第2幕では、クリスがニューヨーク最高裁判所に呼びだされる。フレッドはクリスが正気であると弁護する。最後にフレッドは郵便局を引き合いに出して、裁判所(そして世界)に対してサンタクロースの存在を証明する。クリス・クリングルこそがサンタクロースだと。
オリジナル・ブロードウェイ版
キャスト
ソング・リスト
- 第1幕
- The Big Clown Balloons - パレード参加者
- Arm in Arm - ドリス・ウォーカーとスーザン・ウォーカー
- You Don't Know - ドリス・ウォーカー
- The Plastic Alligator - マーヴィン・シェルハマーと店員
- The Bugle - クリス・クリングル氏とヘンリカ
- Here's Love - クリス・クリングル氏、フレッド・ゲイリー、お客様、店員、従業員、子供たち
- My Wish - フレッド・ゲイリーとスーザン・ウォーカー
- Pinecones and Holly Berries - クリス・クリングル氏、ドリス・ウォーカー、マーヴィン・シェルハマー
- Look, Little Girl - フレッド・ゲイリー
- Look, Little Girl(リプライズ) - ドリス・ウォーカー
- Expect Things to Happen - クリス・クリングル氏
- 第2幕
- Pinecones and Holly Berries(リプライズ) - クリス・クリングル氏とスーザン・ウォーカー
- She Hadda Go Back - フレッド・ゲイリーと海兵隊
- That Man Over There - R. H. メイシー
- My State - ドリス・ウォーカー、R. H. メイシー、マーヴィン・シェルハマー、タマニー・オハローラン、マーティン・グループ判事
- Nothing in Common - ドリス・ウォーカー
- That Man Over There(リプライズ) - 裁判官たちと傍聴人
1998年日本初演版
1998年11月から12月にかけて、吉川徹の演出によりシアターアプル、中日劇場ほかで上演された。
スタッフ
キャスト
1999年版
1999年12月に、1998年日本初演とほぼ同じキャストで、前年と同じシアターアプルなどで再演された。
スタッフ
キャスト
- スーザン・ウォーカー:(ダブルキャスト)石神瑠鈴、佐藤悠
- ドリス・ウォーカー:土居裕子
- クリス・クリングル:細川俊之
- フレッド・ゲイリー:加納竜
- マービン・シェルハマー:武岡淳一
- メイシー社長:佐山陽規
- マーチン・グループ判事:佐藤輝
- ミスター・ソーヤー:中村方隆
- トミー:(ダブルキャスト)伊藤雅城、金澤匠
- オランダ人の少女:(ダブルキャスト)遠藤舞、小宮美穂
- 他の出演者:川北良介、岩渕憲昭、一倉千夏、内藤聖夜、藤浦功一、照井悠也、初音ひかり、花井利佳子、松下美穂
2004年版
2004年11月から12月にかけて、1998年日本初演と同じ吉川徹の演出により、キャストを一新して上演された。
キャスト
バンドメンバー
スタッフ
2005年版
2005年11月から12月にかけて上演された。ドリス、クリングル、フレッドなど大人の主要キャストや、バンド、スタッフの多くが2004年版と同じメンバーである。一方、子役キャストは全員交代した。
キャスト
- スーザン・ウォーカー:(ダブルキャスト)橋本愛奈、ストューカス・ロビン
- ドリス・ウォーカー:愛華みれ
- クリス・クリングル:宝田明
- フレッド・ゲイリー:別所哲也
- マービン・シェルハマー:六角慎司
- R.H.メイシー:佐山陽規
- マーチン・グループ判事:市川勇
- ミスター・ソーヤー:藤森徹
- トミー・マーラ:(ダブルキャスト)横田剛基、坂本隆宏
- ヘンリカ:(ダブルキャスト)小川紗季、福田花音
- タマニー・オハロラン:海津義孝
- トーマス・マーラ地方検事:春海四方
- クルックシャンク:佐藤夕美子
- ジュディ:一倉千夏
- マリー:作間草
バンドメンバー
- バンドメンバーは2004年版と同じ。
スタッフ
- 翻訳・訳詞:常田景子
- 演出・訳詞:吉川徹
- 音楽監督:八幡茂
- 振付:青木美保
- 美術:松井るみ
- 照明:高見和義
- 音響:山本浩一
- 衣装:宇野善子
- ヘアメイク:川端富生
- 声楽監督:矢部玲司
- 演出助手:小川美也子
- 舞台監督:北條孝
脚注