2024 PT5 は、地球近傍小惑星 (NEO) に分類される小惑星 の一つである。2024年 9月29日 から11月25日 (共に協定世界時 )にかけて地球周回軌道 上を公転 することになり、一時的に月以外の地球の衛星 となった観測史上5例目の天体である。大きさは 10 m 程度と推定されている[ 4] [ 6] 。
特徴
2024 PT5 は、2024年 8月7日 に南アフリカ共和国 の南アフリカ天文台 (英語版 ) で行われている掃天観測 プロジェクトである小惑星地球衝突最終警報システム (ATLAS) によって初めて観測された[ 2] [ 3] 。発見時に与えられた仮称は A119q0V [ 1] 。同年8月14日 に小惑星センター より発行された小惑星電子回報 (Minor Planet Electronic Circular, MPEC) において、仮符号 2024 PT5 が与えられた[ 3] 。
軌道
太陽 からの軌道長半径 が 1.012 au (約1億1600万 km )で、離心率 が 0.021 の真円に近い軌道を約372日の公転周期 で公転しており[ 2] 、地球に類似した軌道要素 を持っている。地球軌道との最小交差距離 は約 0.006 au(約90万 km)しかなく、地球近傍小惑星 (NEO) に分類されている[ 2] 。太陽からの距離による分類に基づくとアポロ群 に属するが[ 2] 、2024 PT5 の研究を行ったマドリード・コンプルテンセ大学 の Carlos de la Fuente Marcos は、地球に類似した軌道要素を持ち、地球と緩やかな軌道共鳴 関係にある小規模な地球近傍小惑星の小惑星族 であるアルジュナ群 に分類されると考えられる小惑星と 2024 PT5 の軌道要素がよく一致しているとの見解を示している[ 4] [ 5] 。地球に類似した軌道となっていることから、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のジェット推進研究所 (JPL) 内に設置されている地球近傍天体研究センター (英語版 ) (CNEOS) の科学者は、2024 PT5 が遥か以前に小惑星が月へ衝突した際に月の表面から飛散した破片である可能性を示唆している[ 6] 。
発見直後の2024年8月8日 に、2024 PT5 は月 までの距離の約1.48倍に相当する、地球から約 567,000 km にまで接近した[ 2] 。発見後しばらくは、CNEOS による地球への落下リスク評価が行われていたが、同年8月18日 に 2024 PT5 が地球へ落下する潜在的な危険性は無いと判断され、落下リスク評価を終了した[ 7] 。2025年 1月9日 には再び地球へ約180万 km の距離にまで接近すると予測されており[ 2] 、NASA はこの機会にカリフォルニア州 のゴールドストーン深宇宙通信施設 からレーダーによる追跡観測を行う予定を発表している[ 6] 。
地球周回軌道への進入
地球に対する 2024 PT5 の軌跡 2024 PT5 · 地球 · 月
発見後に行われた軌道計算により、2024 PT5 は2024年9月29日19時54分から同年11月25日16時43分(共に協定世界時)までの2ヶ月弱に渡って、地球のヒル球 のすぐ外側を 0.002 km/s から 0.439 km/s という低い相対速度で移動することで一時的に地球の重力 に捕えられ、地球周回軌道 を公転する衛星 となる[ 8] [ 4] [ 5] [ 6] [ 9] 。このとき、地球中心を基準とした際の一時的な軌道要素における離心率は1を超える双曲線軌道 となっており[ 9] 、地球中心に対する軌道エネルギー の値は負の符号をとる[ 4] 。地球へ接近した小惑星が地球の重力に捕らえられて一時的な衛星となるのは、2022年 6月11日 から7月3日 までの22日間に渡って地球周回軌道を公転した 2022 NX1 以来5例目の事例となる。月とは異なり、2024 PT5 は地球の周囲を1周することはなく、11月25日16時43分の後は再び地球の重力圏内から脱出して太陽周回軌道 を公転することになる[ 4] [ 5] 。
出典
関連項目
外部リンク
通常の衛星 一時的な衛星(自然) 一時的な衛星(人工) 準衛星 その他
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