『銀行狐』(ぎんこうぎつね)は、池井戸潤の経済小説。ミステリー短編集。『小説現代』(講談社)1998年10月号から2001年7月号にかけ掲載された表題作を含む4篇と、『小説トリッパー』(朝日新聞出版)1999年夏号に掲載された1篇を収録し2001年9月20日に講談社より単行本が刊行された[1]。
2004年8月10日に講談社文庫で文庫化され、2020年2月14日には講談社文庫新装版が刊行された[2][3]。
銀行を舞台に繰り広げられる5篇からなるミステリー。
2002年にテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」で、2015年に日本テレビ系水曜ドラマ『花咲舞が黙ってない』(第2シリーズ)で収録作がテレビドラマ化された。
あらすじ
- 金庫室の死体
- 破綻した城南相和銀行の金庫室で、バラバラに損壊された老婆の死体が発見される。
- 現金その場限り
- 銀行窓口でマイナス収支となるトラブルが連続発生し、係長の灰原は行員による横領を疑う。
- 口座相違
- 東都銀行渋谷支店で振込口座を取り違える「口座相違」が発生する。課長の萬田は送金先に連絡するが連絡が取れない。
- 銀行狐
- 狐と署名された脅迫状が帝都銀行頭取宛に届き、顧客情報漏洩や系列生保社員の襲撃事件が発生する。
- ローンカウンター
- 連続婦女暴行殺人事件を捜査する刑事・山北は二都銀行でローンを組むことになり、融資課長代理の伊木と出会う。
登場人物
金庫室の死体
- 小松与一
- バラバラ殺人を捜査する刑事。
- 花山寛
- 刑事。小松の相棒。
- 安永登志子
- バラバラ死体となった老婆。
現金その場限り
- 灰原
- 係長。
- 吉川恭子
- 窓口係。
- 神田隆
- 営業課長。
- 馬場浩一
- ブティックの社長
口座相違
- 萬田武彦
- 東都銀行渋谷支店の課長。
- 山崎紗絵
- 東都銀行渋谷支店の女子行員。
- 橋本浩二
- 誤送金先である橋本商会の社長。
銀行狐
- 指宿修平
- 帝都銀行総務部企画グループ特命担当。池井戸の別作品『銀行総務特命』の主人公としても登場。
- 鏑木和馬
- 帝都銀行総務部企画グループ。指宿の補佐。『銀行総務特命』にも登場。
- 戸崎宣之
- 帝都銀行総務部長。『銀行総務特命』にも登場。
- 門倉澄男
- 警視庁捜査一課特殊犯捜査係の刑事。『銀行総務特命』にも登場。
- 斎藤一志
- 帝都銀行 副頭取。『銀行総務特命』にも登場。
ローンカウンター
- 山北史朗
- 連続婦女暴行殺人事件を捜査する警視庁渋谷署の刑事。
- 伊木遥
- 二都銀行渋谷支店 融資課長代理。池井戸の小説デビュー作『果つる底なき』の主人公。
書籍情報
タイトル |
初出
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金庫室の死体 |
『小説現代』1999年10月号
|
現金その場限り |
『小説トリッパー』1999年夏号
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口座相違 |
『小説現代』2001年3月号
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銀行狐 |
『小説現代』2001年7月号
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ローンカウンター |
『小説現代』1998年10月号
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テレビドラマ
テレビドラマ(2002年)
2002年8月24日にテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」にて、収録作の「ローンカウンター」が『覗く女 実況中継された連続殺人!』(のぞくおんな じっきょうちゅうけいされたれんぞくさつじん)のタイトルでドラマ化された。
テレビドラマ(2015年)
2015年7月期に、日本テレビ系「水曜ドラマ」枠で放送された『花咲舞が黙ってない』(はなさきまいがだまってない)の第2シリーズの原作として「現金その場かぎり」が第3話で、「銀行狐」が第10話でドラマ化された。
漫画
2014年7月号から2015年9月号まで『花咲舞が黙ってない』のタイトルで、『Kiss』(講談社)六多いくみ作画で漫画化され、本作収録の「現金その場かぎり」を原作とするエピソードが掲載され、2015年に書籍化された。
脚注
外部リンク
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小説 |
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映像化作品 |
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連載中 | |
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関連項目 | |
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