秋夜長物語(あきのよながものがたり)は、僧侶と稚児との男色を主題とする稚児物語の代表作。男色物の初めとも言う。1巻。著者は不詳。詞章に『太平記』(1370年代成立)の影響がみられること、最古写本が永和三年(1377年)であることから、14世紀中頃の成立か。
あらすじは、後堀河天皇の時代、瞻西上人(せんさい・せんせい、? - 1127年)がまだ叡山で桂海律師であったころ、花園左大臣の子で、三井寺聖護院の稚児、梅若とちぎりをむすぶが、これが原因で延暦寺と三井寺の抗争が起こる。生家・三井寺を焼かれた梅若は入水自殺し、これを知った桂海は悲しむが、梅若が実は石山観音の化身で、逆縁により桂海を発心に導くことが目的であったと知り、菩提心を深め、雲居寺を開く。瞻西上人は実在の人物で、雲居寺大仏を造立したことで知られる。
14世紀以降の写本が複数伝わっているほか、15世紀以降には絵巻や絵本も複数作成された。現在伝わる絵巻には以下がある。
更に江戸時代には刊本としても流布した。
天正以前(16世紀後半)の写本を持っていた柳亭種彦は、『群書類従』が拠った寛永本は誤りが多いのに対し、正徳本は古態を残していると評している。活字本も『群書類従』をはじめ、複数刊行されている。
参考文献
脚注
外部リンク
関連項目