矢野 峰人(やの ほうじん、1893年3月11日 - 1988年5月21日)は、日本の詩人、英文学者。
経歴
岡山県生まれ。本名・禾積(かづみ)。久米北条郡大倭村(現・津山市西部)出身。幼時に父母と死別。母方の祖母、叔父に育てられた[1]。津山中学校(現・岡山県立津山中学校・高等学校)在学中、文学雑誌「文章世界」「秀才文壇」などに盛んに投稿。同級生に片岡鉄兵、中山巍、上級生に出隆らがいて親交があった[2]。第三高等学校を経て京都帝国大学文学部卒業。上田敏[3]、厨川白村の教えを受ける。第三高等学校教授、台北帝国大学教授を務めた。後者で同僚だった島田謹二(英米文学、戦後は比較文学研究で著名)とは終生交流した。
戦後、旧・東京都立大学総長、東洋大学学長にも就いた。
業績
英詩を専門とし、訳詩、評注を多く著し、自身も詩を書いた。詩集『幻塵集』、訳詩集『しるえつと』、自伝『去年の雪』などがある。近年、選集(全3巻、単行本未収録作品が多数入れた)が刊行された。
著書
- 『黙禱 詩集』 水甕社 1919
- 『詩學雑考』 第一書房 1926
- 『近代英文學史』 第一書房 1926
- 『片影』 研究社 1931
- 『半面像』 大木書房 1934
- 『近代英詩評釈』 三省堂 1935
- 『アイルランド文藝復興』 弘文堂 1940
- 『幻塵集』 日孝山房 1940
- 『英文學主潮史』「英米文学語学講座3」研究社 1941
- 『近英文藝批評史』 全国書房 1943
- 『影 第三詩集』 日孝山房 1943/大雅洞 1970。非売品
- 『アーノルド論攷』 全国書房 1947
- 『曲中人物』 靖文社 1948
- 『蒲原有明研究』 国立書院 1948/日本図書センター(復刻)1984
- 『途上 詩集』 国立書院 1948
- 『思旧帖 随筆集』 関書院 1948
- 『詩學入門』 堀書店 教養叢書 1949
- 『文學界と西洋文学』 門書房 1951/新訂版・学友社 1970
- 『ヴイクトリア朝詩歌論』 研究社出版 1954、新訂版1971
- 『去年の雪 文学的自叙伝』 大雅書店 1955。新書判
- 『英文学夜話』 研究社出版 1955
- 『ポープ』 研究社出版 1955
- 『比較文學 考察と資料』 南雲堂(新書判)1956、増訂版1978
- 『英文学の特性』 松柏社 1956、新版1969
- 『文学史の研究』 松柏社 1958
- 『新・文学概論』 大明堂 1961、増補版1976
- 『日本英文学の学統 逍遥 八雲 敏 禿木』 研究社出版 1961、新版1966
- 『鉄幹・晶子とその時代』 彌生書房 1973、新版1988
- 『世紀末英文學史-補訂近代英文學史』(上下) 牧神社 1978-79
- 『決定版 世紀末英文學史』(全1巻) 沖積舎 2007
- 『飛花落葉集 古今東西文苑散歩』 北沢書店 1988
- 『猟書今昔物語』 展望社 2001
- 『矢野峰人選集』 全3巻 国書刊行会 2007
- エッセイ・詩・訳詩。高遠弘美解説
- 比較文学・日本文学。井村君江解説
- 英文学 ほか。富士川義之解説
翻訳
- シモンズ選集 アルス 1921
- 志るえっと 學藝社 1933。訳詩集(限定本)
- 墳墓 ロオデンバッハ 媽祖書房 1936/沖積舎 1985。新装版
- 四行詩集 古代波斯 奥瑪開儼(オマル・カイヤーム)日孝山房 1938
- 黒き猟人 矢野峰人譯詩集 大木書房 1943/大雅堂 1965
- 世界名詩選 毎日新聞社 1961
- 今やわれ心やさしきシナラの下に在りし日のわれにはあらず アアネスト・ダウスン 人間の星社 1977
脚注
外部リンク
東京都立大学学長(東京都立大学総長:1957年 - 1961年) |
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