どの2つも同心円でない3つの円 A, B, C があるとする。根軸定理とは、3組の円の根軸が1点で交わるかすべて平行であるという定理である[2]。
簡単な証明は以下のとおりである[3]。A と B の根軸上の点から2円に引いた接線の長さは等しい a=b。B と C の根軸上の点においても同様の関係が成り立つ。よってこの2直線の交点では a=b=c が成り立つ。この交点を r とすると a=c が成り立つので A と C の根軸も r を通る。r を根心(radical center)と呼ぶ。
2つの円 A, B の根軸を作図するためには根軸上の2点がわかればよい。2つの円に交わる円 C を描けば、 A と C の根軸と B と C の根軸は容易に作図できる。この交点を J とすれば上の節の結果より J は根心であり A, B の根軸上にある。同様に2つの円に交わる円 D を描き根心 K を求めれば、J と K を通る直線が求める根軸となる。
この作図の特殊な例として図3がある。外部にある2つの円の相似の中心 E をとる。E から2つの円に交わる直線を引き、内側の2つを P, Q とし、同様に S, T をとる。この4点は同一円周上にある[5]ため、P と S を通る直線と Q と T を通る直線の交点は根軸上にある[6]。また、P と Q を通るそれぞれの円の接線を引くと、その交点と P と Q は二等辺三角形となるためこれも根軸上にある[7]。これによって根軸が作図できる。
代数的な作図
図4によれば、根軸(赤い線)は2つの円の中心 B と V を通る直線(青い線)に垂直である。2つの線の交点 K は B と V の間にある。x1 と x2 は K から B と V への距離なので x1+x2=D と置くと D は B と V の距離となる。
根軸上に J を取り B と V への距離を d1, d2 とすると、方べきの定理より以下が成り立つ。
ここで r1 と r2 は2つの円の半径である。ピタゴラスの定理を利用して d1 と d2 を x1, x2 および J と K の距離 L 置き換えると以下のようになる。
両辺にある L2 を消して整理する。
両辺を D = x1+x2 で割る。
両辺に x1+x2 = D を足すと x1 を求める式ができる。
同様に x2 の式も作ることができる。
行列による計算
円の式を三線座標で表すと根心の位置を行列式で表すことができる。三角形 ABC 上の点 X を X = x : y : z とし、三辺の長さを a = |BC|, b = |CA|, c = |AB| とする。3つの円は以下の形で表される。
(dx + ey + fz)(ax + by + cz) + g(ayz + bzx + cxy) = 0
R. A. Johnson (1960). Advanced Euclidean Geometry: An Elementary Treatise on the Geometry of the Triangle and the Circle (reprint of 1929 edition by Houghton Miflin ed.). New York: Dover Publications. pp. 31–43. ISBN978-0-486-46237-0