平林寺(へいりんじ)は、埼玉県新座市野火止にある臨済宗妙心寺派の寺院で、野火止台地に約40ヘクタールの広大な境内を有する[6]。
山号は「金鳳山」である。この山号は、開山である石室善玖(1294年 - 1389年)が元で修行した金陵(現在の南京)の鳳台山保寧寺から「金」と「鳳」をとったといわれる。[7]境内林は、武蔵野の面影を残す雑木林として、1968年(昭和43年)に国の天然記念物に指定されている。
歴史
南北朝時代の1375年(永和元年)、武蔵国騎西郡渋江郷金重村[8]、現在のさいたま市岩槻区平林寺に創建[9]。開山は石室善玖、開基は大田備州沙弥・蘊沢(うんたく)。当初は臨済宗建長寺派。大徳寺派を経て妙心寺派の寺院となった。なお、蘊沢は、岩槻城主・太田道真(道灌の父)と同一視されることがあるが、道真は平林寺創建の時点ではまだ生まれていない。
1663年(寛文3年) 川越藩主・松平信綱の遺志をうけて、子の輝綱が菩提寺として野火止に移転。
1718年(享保3年)、高玄岱が戴渓堂を建立し、独立性易の持仏を祀り、独立の碑文を書した。1903年(明治36年)に修行道場として僧堂が開単されている。
2009年(平成21年)11月26日、第125代天皇明仁・皇后美智子夫妻が訪問した[10]。皇太子時代の1977年(昭和52年)以来の再訪である[11]。
境内の文化財など
- 茅葺造りで、正保5年(1648年)に京都詩仙堂の石川丈山によって揮毫された『金鳳山』の山号額を掲げている[8]。
- 木造、茅葺、1664年(寛文4年)建立。正面には京都詩仙堂石川丈山の揮毫による『凌霄閣』の扁額を掲げる。凌霄(霄は空の意)は、空を凌ぐこと、志の高いことのたとうである。楼上桟戸の両側には花頭窓が施してあり、内部には松平信綱によって寄進された釈迦・文殊・普賢の三尊仏と十六羅漢像を安置している[8]。
- 山門と同じく岩槻から移築されたもので、禅宗様式をよく伝える唐様の建物で、間口六間、奥行五間半、茅葺きの単層入り母屋造りである。本尊は釈迦如来坐像で、阿難尊者と迦葉尊者が両脇侍として安置されている[8]。
- 茅葺きの切妻造りの四脚門で、総門を小振りした感じの建物である[8]。
- 茅葺き宝形造り。字を独立、諱を性易と言い、別に天外一閑人と称した明の僧、独立性易の坐像と独立の念持仏であった観音像を安置している。独立は黄檗派の僧である[8]。
- 信綱夫妻墓のほか、大河内松平家歴代の墓もある、
- 野火止用水開削の功労者
交通アクセス
詳細は公式ウェブサイトの「拝観・交通」[1]を参照。 所要時間はおよその時間。
- 徒歩
野火止用水沿いに遊歩道が整備されている。
- バス
各社鉄道駅から平林寺停留所まで15〜20分程度(道路混雑状況により変動あり)。
- 東武東上線:(ひばり73系統)志木駅南口 - 東一丁目 - 平林寺 - 西武池袋線:ひばりヶ丘駅北口
- 東武東上線:志木駅南口 - 新座駅南口 - 平林寺 - 西武池袋線:ひばりヶ丘駅北口
- 東武東上線:志木駅南口 - 東一丁目 - 平林寺 - 新座営業所
- 東武東上線:朝霞台駅 - 平林寺 - 東久留米団地 - 西武池袋線:東久留米駅東口
- JR武蔵野線:新座駅南口 - 平林寺 - 西武池袋線:東久留米駅東口
- JR武蔵野線:新座駅南口 - 平林寺 - 西武池袋線:大泉学園駅(北口)
- にて、「平林寺」下車。(全て西武バスが運行)
- ※ JR新座駅発着系統は、運行本数が少ないので注意。
- 車
平林寺に拝観者用の駐車場はない。平林寺周辺に民間駐車場はあるが、収容台数が少ないので、公共交通機関の利用が推奨されている。
脚注
注釈
- ^ 『江戸名所図会』は雪堂(元和9年寂)を中興とする。雪堂は鉄山宗鈍の門弟。
- ^ 『江戸名所図会』に記述/挿絵がある。
出典
参考文献
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
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