岩永 直子(いわなが なおこ、1973年 - )は、日本のジャーナリスト[3][4]。HPVワクチンや新型コロナウィルスなど、主に医療に関連した記事を発信する[3]。読売新聞社とBuzzFeedを経て、2023年にフリーランス記者となる[4]。退社後に出版された初の単著『言葉はいのちを救えるか?生と死、ケアの現場から』では、医療記者として長年追ってきた「障害者への偏見」「安楽死」などのテーマを扱った[4]。
2022年からイタリア料理店で接客のアルバイトを始め、日々を綴ったnoteが、エッセー集『今日もレストランの灯りに』として出版[4][5]。
2024年、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の依存症専門メディア「Addiction Report」の編集長に就任[6][7]。
経歴
1973年、山口県生まれ[1]。1998年、東京大学文学部卒[3]。東京大学在学時に、父のがんをきっかけにホスピスでボランティアをし、医療報道を志す[8][4]。卒業論文は、ホスピスにおける「死の恐怖へのケア」をテーマとした[8][9]。
1998年4月読売新聞社入社[3][10]。中部支社、津支局、東京社会部(警視庁、厚生労働省など担当)、医療部を経て2015年に医療サイト「yomiDr.(ヨミドクター)」編集長となる[3]。しかし、HPVワクチンに関する記事の扱いで上司と対立し、2017年に5月8日にBuzzFeed Japanに転職[3][4][10]。2017年9月7日、医療部門「BuzzFeed JapanMedical」を創設し、根拠に基づいた医療・健康記事の発信を行った[10][11][12][13]。2016年度より東京大学非常勤講師(科学論文の表現技術)を務めている[3]。2018年には、厚生労働省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」で委員を務めた[14]。
2023年5月1日付でBuzzFeed JapanのNews部門がハフポストと統合し[15]、BuzzFeedの芸能を扱うエンタメ部門に異動辞令が下りる[16]。同年7月、医療記事を禁じられたことを理由に、フリーランス記者となった[16]。同時期に、株式会社OutNowが提供するニュースレターメディアプラットフォーム「theLetter」で『医療記者、岩永直子のニュースレター』の配信を開始した[17]。
2023年6月、今までの医療記事をまとめた初の単著『言葉はいのちを救えるか?生と死、ケアの現場から』を出版[4]。2022年からイタリア料理店で副業として接客のアルバイトを始め、日々を綴ったnoteが話題となり、2023年8月にエッセー集『今日もレストランの灯りに』を出版した[4][5][18]。
2024年2月、国内初の依存症専門オンラインメディア「Addiction Report」を創刊し、編集長に就任した[19][7]。アルコール、薬物、ギャンブルなどの依存症について、科学的根拠に基づいた情報を発信し、偏見や差別を払拭することを目的に掲げる[7]。スポンサーは入れず、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を抱える会」が寄付で運営する[7]。
人物
医療記者として
HPVワクチン報道
読売新聞の医療サイト「yomiDr.(ヨミドクター)」の編集長だった当時、2016年8月にHPVワクチンの効果や安全性を発信する特集を組んだところ、ワクチン反対派からクレームが殺到し、読売新聞は森内浩幸医師の寄稿を削除した[23][24][16]。また、岩永は医療取材から外されて地方異動を命じられ、これをきっかけに読売新聞を退社した[23][16][3]。
記事はワクチン接種の必要性を訴え、HPVワクチンで救える命を救わない状況を放置することは、大量殺戮に「不作為」という形で加担していると指摘するものだった[23]。当時、学会の重鎮たちはHPVワクチン問題に関わって攻撃されることを避けていたため、取材は難航し、記事掲載後も寄稿医師が学内外から攻撃に遭い、所属大学病院内からも記事を撤回すべきとの意見があった[24]。
2021年3月、岩永は一連のHPVワクチンに関する報道で、「Internet Media Awards選考委員特別賞」を受賞した[3][25]。選考理由として、「HPVワクチンについて正確かつ、様々な立場のひとたちに寄り添った情報発信」が評価された[3]。
2023年、国際パピローマウイルス学会・日本産科婦人科学会合同メディアカンファレンスにおいて、このワクチンに関する取材を行うことで、殺害予告を受けたことを語っている[26][27]。
終末期医療報道
読売新聞の医療サイト「yomiDr.」の編集長だった当時、終末期の医療やケアに現場で向き合う人々が寄稿し、それに対し読者が意見を投稿できる連載、「さよならを言う前に~終末期の医療とケアを語りあう~」を担当した[28][9]。
不妊治療報道
BUZZFEED時代に、コロナ禍での不妊治療延期に関する記事、不妊治療で起こる「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」についての記事を掲載した[29][30]。自身も治療経験があることに言及している[31]。
薬物問題報道
2023年8月の日本大学アメリカンフットボール部の違法薬物逮捕事件について、薬物問題は被害者なき犯罪であるとして、未来ある若者の初犯行為への糾弾報道について検討を投げかける立場を取っている[32]。
レストラン従業員として
発表の場が狭まる医療記事の記者を続けていけるのか不安を感じていたことから、好きな飲食業界の接客業を希望してた際に、2022年7月、コロナ禍で従業員を募集していた東京都の東池袋にあるイタリアンレストランのオーナーに声をかけられたことを契機に接客アルバイトを開始する[33][34]。
著書
単著
共著
脚注
出典
外部リンク