山田 文彦(やまだ ふみひこ 1978年8月7日‐)は、日本の雅楽師、演出家、宮内庁式部職楽部楽師。雅楽御遊乃會主宰。重要無形文化財「雅楽」保持者(総合認定)[1][2]。
経歴
1978年東京に生まれる。1994年宮内庁式部職楽部に入庁。 2000年内閣府技官楽師に任官。 2001年東京楽所に入団[3]。2010年より東京楽所首席篳篥奏者、宮内庁楽部篳篥頭取、東京藝術大学非常勤講師、宮内庁楽部篳篥教授を歴任し、2016年東京藝術大学卒業生を中心とした若手奏者に新たな舞台を創出すべく演出家としての活動を開始[4]。2017年11月に来日した イヴァンカ・トランプ アメリカ合衆国大統領補佐官と安倍晋三内閣総理大臣の夕食会で、雅楽を用いた総合演出を担当[5]。2018年フジロックフェスティバルへ若手雅楽奏者達を「千年前のロック」としてプロデュース、監修を担当。2019年令和の即位礼正殿の儀、祝賀御列の儀、大嘗祭に出演、大嘗宮悠紀殿供饌の儀で篳篥演奏を担当。2021年宮中御神楽人長に就任[6][7]。2022年瀬戸内国際芸術祭に出演、杉本博司作品「杉本雅楽 直島御神楽」の演出を担当[8][9][10][11]。2023年第38回国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」開会式に出演[12]。
人物
軽妙洒脱な人柄といわれ、ユーモア溢れる独特な雅楽解説に定評がある[13]。父親の教育方針により幼少期から伝統芸能に触れて育つ。雅楽師になったきっかけは、父親がファンであった野村萬斎を通して自身も伝統芸能に強い憧れを抱いており、早逝した父親の遺言で雅楽を志すことによって、野村萬斎のようになりたいと思っていたと述懐している[14][15][16]。代々続く楽家の出身ではなく、雅楽界に有力な後ろ盾を持っていなかった為、宮内庁楽部入庁〜修行時代には多くの苦労をしたとされているが、高い演奏技術を修得し徐々に頭角を現し、現在では雅楽師として抜きん出た存在であると評価をうけている[17][18][19]。特に篳篥演奏に関しては、超絶技巧曲残楽三返において、遊んでいるかのような慣習に囚われない演奏スタイルを、婆娑羅と称されトリックスター的な評価を受けることもあるが、イヴァンカ・トランプやウォーレン・バフェットなどのVIP来日時や、大嘗宮悠紀殿での演奏実績から、現時点で当代の相伝棟梁とされている[20][21][22][23]。
活動
- 管絃大曲 萬秋楽一具(2000年 国立劇場)
- 舞楽(2001年 国立劇場)
- 日韓宮中交流演奏会(2002年 国立劇場、大阪国立文楽劇場、ソウル国立国学院礼楽堂、プサン文化会館)
- 管絃‐平安貴族が聴いた音(2002年 国立劇場)
- 管絃 渡物‐季節の音を聴く(2003年 国立劇場)
- 舞楽 還城楽物語(2004年 みなとみらい大ホール)
- 第31回 NHK古典芸能鑑賞会(2004年 NHKホール)
- 日 EU交流年事業雅楽公演(2005年 ベルリン大学)
- 舞楽(2005年 国立劇場)
- 日本国際博覧会 政府出展催事 愛・地球博 特別公演 宮内庁雅楽と歌合わせ〜王朝の美、歌と舞い〜(2005年 愛・地球博 長久手会場 EXPOドーム)
- 音輪会第6回雅楽演奏会(2005年 京都芸術劇場春秋座)
- 日 EU交流年事業雅楽公演(2005年 ロンドン大学)
- 國風歌舞(2005年 国立劇場)
- 舞楽法会(2006年 国立劇場)
- 舞楽‐名曲と稀曲をたのしむ(2007年 国立劇場)
- 管絃(2007年 国立劇場)
- 管絃‐幻の名曲 皇帝破陣楽を聴く(2008年 国立劇場)
- 舞楽(2009年 国立劇場)
- 椿座公演「花」(2009年 久良岐能舞台)
- 第36回 NHK古典芸能鑑賞会(2009年 NHKホール)
- 神楽歌(2010年 国立劇場)
- 雅楽‐散吟打毬楽(2010年 国立劇場)
- 雅楽の未来 奇跡の聲明(2011年 東京オペラシティ)
- 音楽堂で聴く雅楽(2011年 神奈川県立音楽堂)
- 舞楽(2011年 国立劇場)
- 日本の音でお正月!(2012年 神奈川県立音楽堂)
- 宮中雅楽の夕べ(2012年 浅草公会堂)
- 舞楽(2012年 国立劇場)
- 七夕の雅楽(2012年 東京オペラシティ)
- エディンバラ国際フェスティバル(2012年 スコットランド フェスティバルシアター)[1]
- オランダ アムステルダム雅楽公演(2012年 アムステルダム コンセルトヘボウ)
- 東京藝術大学 藝大定期邦楽第79回(2012年 東京藝術大学奏楽堂)
- 舞楽 春鶯囀一具(2013年 東京オペラシティ)
- 管絃(2013年 国立劇場)
- 七夕の雅楽(2013年 東京オペラシティ)
- 音楽堂で聴く雅楽(2013年 神奈川県立音楽堂)
- 音輪会第14回雅楽演奏会(2013年 京都芸術劇場春秋座)
- 正倉院の響きⅥ 聲のシルクロード(2013年 三重県文化会館)
- 新春の雅楽 喜春楽一具 〜源氏物語の世界〜(2014年 東京オペラシティ)
- 舞楽(2014年 国立劇場)
- 七夕の雅楽 舞楽 番舞(2014年 東京オペラシティ)
- サントリー芸術財団サマーフェスティバル2014(2014年 サントリーホール)
- 源氏物語 〜悠久の饗宴〜(2014年 名古屋しらかわホール)
- 新春の雅楽(2015年 東京オペラシティ)
- 管絃(2015年 国立劇場)
- 雅楽 源氏物語(2015年 三重県文化会館)
- 七夕の雅楽(2015年 東京オペラシティ)
- 日本の音でお正月!(2016年 神奈川県立音楽堂)
- 新春の雅楽(2016年 東京オペラシティ)
- 宮中雅楽の夕べ(2016年 浅草公会堂)
- 舞楽(2016年 国立劇場)
- 七夕の雅楽(2016年 東京オペラシティ)
- ひびき、あたらし‐雅楽(2016年 神奈川県立音楽堂)
- 管絃(2016年 国立劇場)
- 第43回 NHK古典芸能鑑賞会(2016年 NHKホール)
- 還城楽物語(2017年 東京オペラシティ)
- 悠久からの伝統と革新(2017年 石川県立音楽堂)
- 舞楽(2017年 国立劇場)
- rooms34(2017年 代々木体育館)
- 第20回 国際音楽学会東京大会オープニングコンサート(2017年 東京芸術大学奏楽堂)
- 管絃 青海波を聴く(2017年 国立劇場)
- 源氏物語 女楽 六條院の薫物合せ(2017年 紀尾井ホール)
- 新春の雅楽 舞楽法会(2018年 サントリーホール)
- 國風歌舞(2018年 国立劇場)
- 喜びも哀しみも女楽(2018年 銕仙会能楽堂)
- ジャポニスム2018(2018年 フィルハーモニー・ド・パリ)
- 新元号 令和 雅楽特別公演( 2019年 HAKUBA MOUTAIN HARBOR )[36]
- 宮中雅楽の夕べ(2020年 浅草公会堂)
- 国際交流基金主催 ミャンマー雅楽公演(2020年 ヤンゴン)
- Born Creative Festival 2020(2020年 東京芸術劇場)
- 新阿蘇大橋開通記念 SUPER VIEW LIVE(2021年 新阿蘇大橋)
- 国立劇場第90回雅楽公演 舞楽(2022年 国立劇場)
- 甘橘山 春日社 御鎮座一年祭奉祝 歌舞音曲奉納(2023年 江之浦測候所)
- 初代国立劇場さよなら特別公演 第92回雅楽公演 舞楽(2023年 国立劇場)
- 第38回国民文化祭 第23回全国障害者芸術文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」開会式(2023年 いしかわ総合スポーツセンター)
- 重要無形文化財「雅楽」特別公演「宮中雅楽の夕べ」(2024年 浅草公会堂)
- 甘橘山 春日社 御鎮座二年祭奉祝 歌舞音曲奉納(2024年 小田原文化財団 江之浦測候所)
- 野村萬斎『狂言ござる乃座 60th Anniversary』プログラム執筆(2019年)
- 日本郵便 特殊切手『楽器シリーズ第3集』楽琵琶奏者モデル(2020年)
- 浜松市楽器博物館『琵琶〜こころとかたちの物語〜』館内映像出演(2021年)
- 国際交流基金『 STAGE BEYOND BORDERS –Selection of Japanese Performances– 』映像出演(2022年)
ディスコグラフィー
- 『雅音成就(がおんじょうじゅ)』 (2018年 日本伝統舞台芸術)
参加作品
作曲・作舞
作曲
作舞
著書
論文
脚注
外部リンク