『対比列伝 』(たいひれつでん、ラテン語 : Vitae Parallelae 、ギリシア語 : Βίοι Παράλληλοι )は、ローマ帝国 のギリシャ人の著述家プルタルコス が著した古代ギリシア ・ローマ の著名な人物の伝記 である。日本語訳名は『英雄伝 』、『プルターク英雄伝 』(プルタークはプルタルコスの英語名)で多く呼ばれる。
概要
・・・ひとつには私は歴史を書くのでなく伝記を書くのであり、・・・画家が肖像画を描く場合、性格が示される顔や目の表情などをとらえ、他の部分はほとんど考慮しないように、私も大事業や戦闘は他人にまかせて、心の特徴に立ち入り、それによってそれぞれの伝記を記述しようと思う。
—プルタルコス、『対比列伝』アレクサンドロス、1(井上一訳)
『対比列伝』は、人となりや言動の似た二人の人物を古代ギリシアとローマから一人ずつ選び、対比させてゆく伝記22編と、セットだが対比でない単独伝記4編からなる。
一例で、アリステイデス とマルクス・ポルキウス・カト は、ともに名家の出ではないのに実力で名声を得た点[ 2] 、アギス とティベリウス・グラックス 、クレオメネス とガイウス・グラックス はともに志半ばで倒れた悲劇の改革者という共通点・類似点をあげている。[ 3]
著作は文学・文化的価値のみならず史料 としても評価が高く、古代ギリシア・ローマ史研究の第一級の史料として扱われている [要出典 ] (ただし、プルタルコス自身は歴史書として書いたのではなく、伝記として書いたと明記している)。だが完全な形で残っているというわけではなく、最初に書かれたと言われるエパメイノンダス とスキピオ・アフリカヌス の伝記は全て散佚している。[ 3]
イギリス・ルネサンス演劇 (16-17世紀イングランド )を担ったシェイクスピア は、主に本書によりローマ史劇たる『ジュリアス・シーザー 』、『アントニーとクレオパトラ 』、『コリオレイナス 』などを執筆した。
収録人物
この並び順で各ギリシア人とローマ人は対応し、それにしたがって対比が付されている。なお、名前の後ろに※が付いている人物は対比がない。なお、人物名の音韻 は古代ギリシア語 および古代ラテン語 に沿って、河野与一 翻訳の「プルターク英雄伝」のタイトルに準じたものとしている。
日本語訳
1470年 に出版された対比列伝
ギリシャ語で書かれているが、古代から様々な言語に翻訳されている。下記の「戦前期の重訳」も含め多くの出版がある。
戦前期の重訳・抄訳版
脚注
^ 『対比列伝』アリステイデスとカトの対比、1
^ a b プルタルコス『プルタルコス英雄伝 (上)』 の巻末解説。ちくま学芸文庫、1996年
^ 前半3巻は柳沼訳、後半3巻は城江訳