本形式は、全長8,880 mm、全幅2,777 mm、全高3,702 mm、自重11.4 t で、冷蔵車を本来の用途として設計された二軸車としては、初めて荷重が15 t に達した。車内容積も通常の有蓋車と同等になり、有蓋車の代用として使用した場合の利便性も確保されていた。15 t 積であっても軸重は13.2 t に抑えられており、丙線入線も可能である。氷槽は従来ほとんど使用されていなかったので設置されなかった。断熱材はガラス綿を使用している。
「レム」という形式記号が割り当てられた車両には、それまでレム1形とレム400形という2形式の軽保冷車があり、その低い保冷性能から荷主から不評を受けていたため、当初は本形式もその「レム」という称号ゆえに保冷性には、荷主から不審の目が向けられていた。そのため、国鉄は性能比較試験結果を公表するなどして不審の打ち消しに努めた。また、在来の「レム」と異なる保冷性の高さをアピールするために車体に青帯(青15号)が30 cm 幅で巻かれ、イメージ改善措置がとられた。
貨物列車の高速化の流れに対応するために、二軸貨車はヨンサントオ(昭和43年10月ダイヤ改正)でそれまでの最高速度が65 km/h から75 km/h に引き上げられ、レム5000形もこれに対応していた。しかしさらに高速化を進めるために二軸車の85 km/h対応化が計画され、その試作車としてレム9000形が1968年(昭和43年)に2両(レム9000, レム9001)、三菱重工業と日本車輌製造で製造された。車体はレム5000形2次型と全く同一であり、走り装置に一軸台車を使用している点が異なっていた。
落成後は、塩釜港駅常備となり、走行試験に供された。走行試験では85 km/h 走行に一応成功したが、結局85 km/h の貨物列車は本格的に運行されることはなく、本形式も量産されなかった。そのまま逆に65 km/h 指定の「ロ」標記がなされ、重保冷を示す青帯と65 km/h 制限を示す黄帯を両方巻いた特異な外観の状態で長らく放置され、1978年(昭和53年)に廃車された。