唐音(とうおん・とういん[1])は、日本漢字音(音読み)において平安時代中期以降、江戸時代末期までに中国から入ってきた字音にもとづくものをいう[2]。宋以降の字音である。唐音の唐は、漢音・呉音と同様に、王朝名を表す(唐朝)のではなく、中国を表す語(唐土)である。
室町時代には宋音とも呼ばれた。唐音と宋音をあわせて唐宋音(とうそうおん)とも呼ばれる。唐音は呉音・漢音のようにすべての字にわたる体系的なものではなく、断片的で特定の語と同時に入ってきた音である。遣唐使の中止で途絶えた日中間の交流が、平安末、鎌倉初から再開し、室町、江戸を通じてさかんになって、禅宗の留学僧や民間貿易の商人たちによってもたらされた。したがって唐音のもとになった中国音は時代も土地も多様である。
学術的には中世唐音(これを宋音と呼ぶ人もいる)と近世唐音に分けられる[3]。
『言海』の「採収語」中、漢語は13546語あるのに対し、唐音語とされるものは96語しかなく、日本語にはいった語彙数はきわめて小さい[4]。現代人になじみのある唐音語はおおむね中世唐音による。しかし、日常語においてどれが唐音であるかの判定には困難な点が多く、漢字表記が複数あったり、単なる当て字や、呉音・漢音系字音との混種語である可能性のあるものなど、しばしば不確かである[5]。
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