冠(かんむり)とは、地位や階級などを示すために頭にかぶる装飾品。
世界的に、君主や宗教指導者の地位を示すのに使われる。それ以外でどれだけの地位や階級の者まで冠を戴くかは、文化圏によって異なる。
月桂冠のように、戦争やスポーツでの勝者に与えられる冠もある。
もっぱら装身具としての用途しかない冠もある。
東洋では儒教によって冠をかぶることが文明化した風俗とされた。
往古中国では髪を切らず、髷を結い、そこに冠をかぶる習慣があった。前漢には儒教が国教となると冠をかぶることが規定され、以来漢民族の習俗となった。元や清などの非漢民族では冠の習慣はなく、ことに清は辮髪の習慣を漢民族に強制し、大きな抵抗を招いた。
中国文明が他国に伝播するとともに冠をかぶる習俗は各地に広まった。
皇帝がかぶる冠は冕冠(べんかん)と呼ばれ、前と後ろに硝子や玉で作った管やビーズを通した飾り紐からなる簾があるのが特徴である。皇帝の冠には12本、前後で24本の簾がつくことになっていた。
唐、宋、明では冠は髷にあったものとなり、装飾として纓がつくようになった。この習俗は日本、朝鮮に律令制などとともに伝来することになる。
また、皇帝が着用した冠の一つに皮弁冠(ひべんかん)があったが、清になって廃止された。ただし、明から冊封を受けた沖縄県の琉球国では、19世紀まで王冠として用いられた。
項目礼冠もある程度参考になる。
ヨーロッパでは冠は王権や教皇権を誇示するための象徴であった。
西方教会と異なる文化伝統を有する東方教会の広がる地域(東欧・東地中海)では、冠の形状・用いられ方にも西欧との差が生じた。
正教会の主教の冠はミトラ (宝冠)と呼ばれる。
ユーラシア大陸では、樹木状立て飾り[1]、鳥頭冠、鳥翼冠などが伝わっている[2]。
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