住田町(すみたちょう)は、岩手県東南部に位置する気仙郡の町。
豊富な森林資源と木材加工施設が整備されていることから「森林・林業日本一の町」を目指している。
地理
位置
住田町は、岩手県の東南部、北上高地の南部にあり、盛岡市から約90 kmの位置にある。
海には接しておらず、東に釜石市、南東に大船渡市、南に陸前高田市、南西に一関市、西に奥州市、北に遠野市が隣接する[1]。
地質
古生代の堆積岩と、中生代の火成岩からなっており、約80%が堆積岩で占められている。
地形
四方を山に囲まれ、平坦地は極めて少ない。町北東部から大きく西部に蛇行して南下する気仙川及びその支流沿いに集落及び農耕地が集中している。
山岳
四方を標高600~1300 mの山に囲まれている。森林面積は、30,289 haと総面積の約90%となっている。民有林の割合は73.7%であり、そのうちの人工林率は53.8%となっている。
河川
町内を流れる清流、気仙川ではヤマメ・イワナ(3月解禁)、アユ(7月解禁)を釣ることができる。なお、支流の大股川にダム建設を行っていた(津付ダム)が2014年7月に建設中止が決定した。
気候
寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。降雪量が多く、周辺の自治体と同様に豪雪地帯に指定されている。
住田(1991年 - 2020年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
15.2 (59.4)
|
17.7 (63.9)
|
22.6 (72.7)
|
29.5 (85.1)
|
33.8 (92.8)
|
34.5 (94.1)
|
36.3 (97.3)
|
36.7 (98.1)
|
35.7 (96.3)
|
29.3 (84.7)
|
23.3 (73.9)
|
20.0 (68)
|
36.7 (98.1)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
3.5 (38.3)
|
4.5 (40.1)
|
8.6 (47.5)
|
14.7 (58.5)
|
20.0 (68)
|
23.2 (73.8)
|
26.6 (79.9)
|
28.1 (82.6)
|
24.4 (75.9)
|
18.8 (65.8)
|
12.5 (54.5)
|
6.1 (43)
|
15.9 (60.6)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−0.6 (30.9)
|
−0.2 (31.6)
|
3.1 (37.6)
|
8.6 (47.5)
|
14.1 (57.4)
|
18.0 (64.4)
|
21.8 (71.2)
|
23.0 (73.4)
|
19.3 (66.7)
|
13.0 (55.4)
|
6.7 (44.1)
|
1.6 (34.9)
|
10.7 (51.3)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−4.5 (23.9)
|
−4.4 (24.1)
|
−1.7 (28.9)
|
2.8 (37)
|
8.7 (47.7)
|
13.8 (56.8)
|
18.3 (64.9)
|
19.4 (66.9)
|
15.4 (59.7)
|
8.3 (46.9)
|
1.9 (35.4)
|
−2.1 (28.2)
|
6.3 (43.3)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−15.2 (4.6)
|
−15.4 (4.3)
|
−13.4 (7.9)
|
−5.4 (22.3)
|
−1.3 (29.7)
|
3.0 (37.4)
|
8.0 (46.4)
|
9.9 (49.8)
|
4.8 (40.6)
|
−1.4 (29.5)
|
−5.4 (22.3)
|
−12.7 (9.1)
|
−15.4 (4.3)
|
降水量 mm (inch)
|
43.1 (1.697)
|
37.4 (1.472)
|
90.6 (3.567)
|
104.3 (4.106)
|
125.0 (4.921)
|
143.0 (5.63)
|
184.2 (7.252)
|
171.3 (6.744)
|
187.2 (7.37)
|
137.5 (5.413)
|
81.3 (3.201)
|
57.1 (2.248)
|
1,365 (53.74)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
8.1
|
7.4
|
9.7
|
9.5
|
10.7
|
10.5
|
13.0
|
11.4
|
12.0
|
10.7
|
9.5
|
9.2
|
122.4
|
平均月間日照時間
|
132.5
|
130.0
|
164.4
|
184.1
|
187.8
|
153.6
|
136.8
|
152.1
|
131.6
|
142.6
|
138.3
|
114.4
|
1,769.2
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[2]
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歴史
地名の由来
住田は、合併した上有住村・下有住村と世田米町からそれぞれ一文字ずつとった合成地名である。合併協議の際は地域を流れる気仙川(成瀬川)に由来した成瀬町にする予定だったが、反対により現在の地名となった。
行政
「当面合併せず自立、持続」を掲げ、独自の林業施策などを推進している。
行政区域の変遷(市町村制施行以後)
歴代町長
代 |
氏名 |
就任年月日 |
退任年月日 |
備考
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― |
菊池伊蔵 |
1955年(昭和30年)4月1日 |
1955年(昭和30年)4月30日 |
町長職務執行者
|
1 |
泉田増治郎 |
1955年(昭和30年)5月1日 |
1959年(昭和34年)4月30日 |
|
2 |
櫻井弘 |
1959年(昭和34年)5月1日 |
1961年(昭和36年)7月24日 |
|
3 |
泉田豊 |
1961年(昭和36年)8月5日 |
1965年(昭和40年)8月4日 |
|
4 |
水野吉郎 |
1965年(昭和40年)8月5日 |
1969年(昭和44年)8月4日 |
|
5-7 |
泉田豊 |
1969年(昭和44年)8月5日 |
1981年(昭和56年)8月4日 |
|
8 |
佐熊博 |
1981年(昭和56年)8月5日 |
1985年(昭和60年)8月4日 |
|
9 |
泉田豊 |
1985年(昭和60年)8月5日 |
1989年(平成元年)8月4日 |
|
10-12 |
菅野剛 |
1989年(平成元年)8月5日 |
2001年(平成13年)8月4日 |
|
13-16 |
多田欣一 |
2001年(平成13年)8月5日 |
2017年(平成29年)8月4日 |
|
17 |
神田謙一 |
2017年(平成29年)8月5日 |
現職 |
|
行政機構
- 町長
- 副町長
- 総務課
- 企画財政課
- 町民生活課
- 税務課
- 保健福祉課
- 農政課
- 林政課
- 建設課
- 会計管理者
- 教育長
財政
2007年度の当初予算規模は次のようになっている。
広域行政
- 気仙広域連合
- 大船渡地区環境衛生組合
- 大船渡地区消防組合
- 岩手沿岸南部広域環境組合
行政機関
警察
消防
医療
2007年(平成19年)10月時点で町内には有床診療所が1か所、無床診療所が2か所、歯科診療所が3か所存在する。
国・県の行政機関
前出のものを除く。
国の機関
県の機関
- 岩手県住田整備事務所(旧 津付ダム建設事務所[注 1])。
産業
郵便局
- 住田郵便局(集配局)
- 上有住郵便局(集配局)
- 下有住郵便局
- 大股郵便局
立法
国政
| この節は更新が必要とされています。
この節には古い情報が掲載されています。編集の際に新しい情報を記事に 反映させてください。反映後、このタグは除去してください。 (2023年9月) |
衆議院小選挙区は岩手県第2区に属し、参議院選挙区は岩手県全体で1区を占める。現在選出の衆議院議員は以下のとおり。
県政
| この節は更新が必要とされています。
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岩手県議会は陸前高田市とともに陸前高田選挙区に属す。定数は1人である。
住田町議会
町議会の定数
定数12人である(2023年現在)。1995年(平成7年)までは定数20であり、その後は改選ごとに2議席ずつ定数を減らし、2011年(平成23年)に現在の12議席となった[6]。
町議会の構成
2023年(令和5年)9月の町議会議員選挙で初の女性議員が誕生した[6][7]。
歴代議長
町議会の組織
議会運営委員会の他、3つの常任委員会を設置している。
- 議会運営委員会
- 常任委員会
- 総務教民常任委員会
- 産業経済常任委員会
- 議会広報編集常任委員会
自治体交流
地域
人口
|
住田町と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
住田町の年齢・男女別人口分布(2005年)
|
■紫色 ― 住田町 ■緑色 ― 日本全国
|
■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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住田町(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
10,397人
|
|
1975年(昭和50年)
|
9,585人
|
|
1980年(昭和55年)
|
9,036人
|
|
1985年(昭和60年)
|
8,702人
|
|
1990年(平成2年)
|
8,228人
|
|
1995年(平成7年)
|
7,783人
|
|
2000年(平成12年)
|
7,305人
|
|
2005年(平成17年)
|
6,848人
|
|
2010年(平成22年)
|
6,190人
|
|
2015年(平成27年)
|
5,720人
|
|
2020年(令和2年)
|
5,045人
|
|
|
総務省統計局 国勢調査より
|
平成27年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、7.59%減の5,720人であり、増減率は県下33市町村中19位。
メディア
テレビ・ラジオ
住田テレビ(住田町地域情報通信基盤施設)が町内をカバーしている。
- 町中心部では陸前島部テレビ中継局経由で在盛民放テレビを直接受信可能だが、当町内に在盛民放の中継局がないため、一部地域でワンセグを視聴出来ない。
- 上有住地区の場合、アナログ放送時代は釜石テレビ・FM中継局(箱根峠)を受信していたが、2012年3月31日を以て廃局。デジタル放送の釜石中継局は箱根峠ではなく釜石鈴子テレビ・FM中継局に設置され、上有住地区で受信出来なくなることから、遠野テレビが地デジを光ファイバーで各世帯へ再送信する方式が採用された。これがのちの住田テレビとなる。
- かつて住田町内に置かれていたテレビ中継局
教育
高等学校
中学校
※以下は廃校
- 住田町立大股中学校姥石分校(1971年・大股中へ統合)
- 住田町立下有住中学校(1971年・統合により有住中へ)[10]
- 住田町立上有住中学校(同上)[10]
- 住田町立五葉中学校(同上)[10]
- 住田町立大股中学校(1984年・世田米中へ統合)[10]
- 住田町立世田米中学校(2024年・統合により住田町立住田中学校へ)[注 2]
- 住田町立有住中学校(同上)[注 3]
小学校
※以下は廃校
- 住田町立上有住小学校根岸分校(1961年・上有住小へ統合)
- 住田町立川口小学校(1964年・世田米小へ統合)
- 住田町立上有住小学校新田山分校(1969年・上有住小へ統合)
- 住田町立下有住小学校火の上分校(1969年・下有住小へ統合)
- 住田町立下有住小学校親切分校(同上)
- 住田町立大股小学校姥石分校(1971年・大股小へ統合)
- 住田町立上有住小学校鳴木分校(1975年・上有住小へ統合)
- 住田町立大股小学校(2002年・世田米小へ統合)
- 住田町立五葉小学校(2002年・上有住小へ統合)
- 住田町立上有住小学校(2008年・統合により有住小へ)
- 住田町立下有住小学校(2008年・同上)
交通
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 釜石線
- 上有住駅
- 住田町唯一の鉄道駅だが、町の中心部(町役場のある世田米地区)から大きく離れた北東外れに位置しており、国道340号と県道167号経由で住田町コミュニティバス「川口上有住線」が連絡している。
バス路線
※住田町市街地(世田米地区)へは岩手県交通(急行盛岡大船渡線・陸前高田住田線)を利用。
過去に存在したバス路線
道路
高速自動車国道に並行する一般国道の自動車専用道路
- 隣接する遠野市に遠野住田ICがある。
一般国道
県道
一般県道
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
火縄銃鉄砲隊
気仙地域は以前は伊達領であり、当時、伊達藩の火縄銃に使われる火縄が、現在の住田町と大船渡市、釜石市にまたがる五葉山で生産されていたことから、五葉山火縄銃鉄砲隊が結成され、さまざまなイベントでその様子を見ることができる。
滝観洞
五葉山近く、JR上有住駅のすぐそばには洞窟内の滝としては日本最大級の落差を持つ天の岩戸の滝(高さ29 m)を見ることのできる滝観洞があり、1977年の映画「八つ墓村」(野村芳太郎監督)のロケ地としても使用されている。また、滝観洞のすぐ近くに白蓮洞もある。
すたーうぉっちんぐ
宮沢賢治にゆかりの深い種山ヶ原があることで知られ、かつては毎年8月上旬に全国から約1000人が集まってキャンプをしながら星空を眺めるイベントすたーうぉっちんぐ種山ヶ原が、地元青年が起こした無限会社天地人主催で開催されていた。このイベントでは、天体望遠鏡を搭載した自動車「アストロカー」を使って天体観測をすることができた。無限会社天地人の解散により、2005年(平成17年)を最後に開催は打ち切られた。
KESEN ROCK FESTIVAL
すたーうぉっちんぐに代わる音楽イベントとして、「KESEN ROCK FESTIVAL」が2009年より毎年7月に種山高原で行われている。
葉山めがね橋
1931年(昭和6年)に気仙川にかけられた農地かんがい専用水路橋。右岸に導水するコンクリート製のアーチ橋であり、その形状から「めがね橋」と呼ばれる。
松日橋
気仙川に架けられた木製の橋。川の増水時に橋材が流されることを前提とした流れ橋であり、たびたび流されているが、その都度復元されている。
著名な出身者
脚注
注釈
- ^ 2015年(平成27年)3月31日までは、県沿岸広域振興局土木部大船渡土木センターの津付ダム建設事務所が設置されていたが、同日をもって廃止され、翌4月1日から住田整備事務所が設置された[3]。組織規則上は廃止新設に該当するが、事務所の入居する建物自体は前後で同一であり実質的には改称と言える[4][5]。また、住田整備事務所の広報誌「住田整備だより」の巻次も、津付ダム建設事務所発行の「津付だより」(第1 - 27号)の号数を引き継いでいる[5]。
- ^ 1947年(昭和22年)旧世田米町が世田米町立世田米中学校を創設し、同町立世田米小学校内に併設(また世田米中学校大股分校〈1950年、世田米町立大股中学校として独立〉を設置)[11]。1955年(昭和30年)4月、町村合併を受け住田町立世田米中学校に改称、前年完成の世田米字川向の新校舎で授業開始[11]。1984年(昭和59年)大股中学校を統合し、世田米字大崎の新校舎に移転[11]。2021年(令和3年)、諮問を受けた町教育審議会が町立中学校2校の「統合が望ましい」と答申し、町立有住中学校との統合に向けて始動[12][10]。2023年度末に閉校し、町立有住中学校と合併、2024年(令和5年)4月に新設される住田町立住田中学校に統合予定[13][14]。2024年(令和6年)3月13日に卒業式がおこなわれ[15]、同月20日、閉校式が開催された[16][17]。
- ^ 1971年(昭和46年)、住田町立下有住中学校・同町立上有住中学校・同町立五葉中学校の3校を統合して町立有住中学校に改称、それぞれを校舎として用いた[11][18]。1972年(昭和47年)12月、現在地に新校舎が完成[11][18]。翌1973年(昭和48年)実質統合校として発足[11]。2021年(令和3年)創立50周年記念式典挙行[18]。同年、町教育審議会の答申を受け、町立世田米中学校との統合に向けた協議を開始[10]。2023年(令和4年)4月、選択式のジェンダーレス制服を採用[19]。2023年度末に閉校して町立世田米中学校と合併し、2024年(令和5年)4月に新設される住田町立住田中学校に統合予定[20][21]。閉校を目前に控えた2024年3月、教室を改装した「記念館」が生徒の企画で校舎内に設けられた[22][23]。2024年(令和6年)3月13日に卒業式がおこなわれ[24][15]、同月20日、閉校式が開催された[16][17]。
出典
外部リンク
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