交響曲第67番 ヘ長調 Hob. I:67 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲。
概要
作曲年代は明らかでないが、第66番、本作、第68番の3曲は、1779年の秋にヨハン・ユリウス・フンメル(有名な作曲家のヨハン・ネポムク・フンメルとは無関係)によって「作品15」として出版されており[1]、それ以前の作品である。ケルンのヨーゼフ・ハイドン研究所(Joseph Haydn-Institut)が編纂する「ヨーゼフ・ハイドン全集」(JHW=Joseph Haydn Werke)では、1775年から1776年頃の作品とされる[2]。
編成
曲の構成
全4楽章、演奏時間は約28分。弦楽器に様々な奏法が使用され、創意工夫に富んでいる。最終楽章で「急-緩-急」の三部形式を採るのはイタリア序曲を転用したものという[3]。
- 第2楽章 アダージョ
- 変ロ長調、4分の2拍子、ソナタ形式。
- 弱音器つきヴァイオリンによる、複付点音符つきの特徴的な主題で始まる。提示部の終わりに突然 でホルンが聞こえる。展開部では第1ヴァイオリンが第2ヴァイオリンを1拍遅れて追いかける箇所がある。結尾にコル・レーニョ(弓の木の部分で弦を叩く)奏法が指示されている。
- 第3楽章 メヌエット - トリオ
- ヘ長調、4分の3拍子。
- 主部はアルペッジョを主体としている。トリオは弱音器をつけたヴァイオリン2本による二重奏で、第1ヴァイオリンは1本の弦だけを使って演奏される。第2ヴァイオリンはスコルダトゥーラでG線が一音低いFに調弦され、この開放弦が常に保続された民族的な響きになる。
- 第4楽章 フィナーレ:アレグロ・ディ・モルト - アダージョ・エ・カンタービレ - アレグロ・ディ・モルト
- ヘ長調、4分の4拍子 - 8分の3拍子、三部形式。
- 主題はまたもやアルペッジョを主体としたもの。展開部に代わり、第2の緩徐楽章といえる「アダージョ・エ・カンタービレ」の部分が挿入され、ここではヴァイオリン2本とチェロの三重奏に開始された後に全合奏に発展し、中間部は次いでオーボエ2本とファゴットの三重奏となるなど、色彩豊かである。半終止の後、主部が再現される。
脚注
- ^ 音楽之友社のミニスコアのランドンによる序文
- ^ 大宮(1981) 表p.6
- ^ 大宮(1981) p.179
参考文献
外部リンク