井上ゴム工業株式会社(いのうえゴムこうぎょう、登記上は井上護謨工業)は、IRCブランドを展開するオートバイ、自転車、車椅子用タイヤメーカー。本社は、愛知県名古屋市中村区。
イノアックコーポレーション系で、イノアックグループの源流企業。他の大手タイヤメーカーとは異なり、自動車用のタイヤを製造していないが、自転車用タイヤに強く、オートバイ向けのスノータイヤなど他社では造り得ない特徴を持つ製品を送り出す。
沿革
製品の特徴
- 主力のオートバイ用タイヤとしては、オンロード用ラジアルタイヤを除く各種車種向けタイヤを幅広くラインナップしている。とくにホンダ・スーパーカブなどのビジネスバイク用タイヤやスクーター用小径タイヤを豊富に用意していることが特徴(初代スーパーカブに初めて純正装着されたタイヤが同社製)。
- 1976年から現在も発売されている「GS-11」は北米のレイングルーブに影響されないハンドリングを実現するため、現地での調査とテストを繰り返して開発。1976年の発売と同時に大型自動二輪の完成車に純正装着された。
- 1980年代後半に粉塵問題のため禁止されたスパイクタイヤに代わるタイヤの開発を当時の郵政省からの要請を受け、スノータイヤの開発が始まる。開発段階では手彫りしたタイヤを日本各地の雪道とスケートリンクでテスト。3年間の開発期間を経て、世界初の自動二輪用スノータイヤ「SN12」を開発。現在も主に通勤・ビジネス系の自動二輪用のスノータイヤを販売している。
- 1983年から現在も販売されているエンデューロレース用タイヤ「VE-33」。エンデューロレースにおいて「迷ったらVE-33」と言われているほどライダーから高い支持を集めているロングセラーモデル。
- エンデューロ競技用タイヤ「iX-09W」は泥つまり対策としてトライアルタイヤのブロックを間引きしていたエンデューロライダーがいたことをヒントに、見た目はモトクロスタイヤでも中身はトライアルタイヤという発想のもと開発。「ヤモリ」のごとく張り付く高い走破性は大きな話題となり、エンデューロレースの難度を格段に低めることに貢献した。
- 以前はオンロード大排気量車向けのラジアルタイヤも生産していたが、2007年に撤退。しかし、2017年8月よりツーリングラジアルタイヤ「RMC810」を発売して大排気量向けラジアルタイヤ市場に再び参入した。
- 本田技研工業が開発したパンク防止チューブ「タフアップチューブ」や、耐摩耗性を向上させた製品も手がけている。
- 自転車用タイヤとしては一般品のほかロードレーサー用の高品位タイヤも製造する。
- 車いすバスケットボールや車いすテニス競技用のハイグリップタイヤも製造する。
海外展開
中国や韓国をはじめ、タイやベトナムなどの東南アジアにも、積極的に製造販売拠点を展開している。2015年に北米事務所をカリフォルニア州に開設。
- タイ - INOUE RUBBER (THAILAND) PUBLIC CO., LTD. (IRCT)
- タイ - INOAC (THAILAND) CO., LTD. R&D CENTER (ITH)
- ベトナム(ハノイ)- INOUE RUBBER VIETNAM CO., LTD. (IRV)
- 米国(カリフォルニア州)- IRC USA Office
- 中国(浙江省平湖市)- INNOVA RUBBER (BENGBU) CO., LTD. (INNOVA)
- シンガポール - ASIAN INOUE RUBBER PTE., LTD.(AIR)
- インドネシア - PT IRC GAJAH TUNGGAL MANUFACTURING INDONESIA(IGM)
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脚注
外部リンク