フランスにおけるリアール、リアル(フランス語: liard)はかつて使われていた貨幣のひとつ。銅貨とのみ解説されているケース[1]も見られるがこれは末期の姿であり、後述のように銀貨、ビロン貨があり形態は時代ごとに異なった。
初出は1439年でこの時は銀貨であり、3ドゥニエの価値があると定められていた[2]。アンリ2世(在位:1547年 - )の時代にも重量は1.05グラムで品位179/1000という銀貨であった[3]。シャルル9世の治世でも引き続き鋳造され、次代の1583年にアンリ3世はサン・エスプリ(精霊の)と呼ばれるタイプのリアール貨を発行した。これは1578年に創設した同名のサン・エスプリ勲章をかたどった貨幣であったが、ビロン貨であった[4]。
ルイ14世が発行したリアールは銅貨であった[5]。治世中、1654年には3ドゥニエであったものが[6]、1658年に2ドゥニエに切り下げられ[7][8]、1694には再度3ドゥニエの価値に戻された[6]。
フランス革命まで存続し、以後は廃止された[2]。
慣用句として「無一文である」と表現するとき、フランス語では“n'avoir pas un liard” という用例が見られる[1]。
リアールという名前の通貨は、17世紀以降のリュクサンブール、リエージュ、オーストリア領ネーデルラントの銀貨として、主要通貨たる地位を占めるようになった[2]。
脚注