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ラズベリー
分類
和名
覆盆子
英名
Raspberry
種
数十種
ラズベリー (英語 : raspberry )は、バラ科 キイチゴ属 (Rubus ) に属するいくつかの種の低木 、およびその果実 。分類学的には亜属 Idaeobatus のブラックベリーと並ぶ栽培品種群に相当する[ 1] 。フランボワーズ (フランス語 : framboise )とも呼ぶ。
単独でラズベリーを意味した古い方言 rasp に berry(ベリー )を加えた語である。
ラズベリーと呼ばれる一群のキイチゴは、多くは栽培種でヨーロッパキイチゴ あるいは、アメリカ種からの作出品種である[ 2] 。多くの種類があり、実の色によってレッドラズベリー、イエローラズベリー、ブラックラズベリーなどさまざまで、実のつきが多く、味も良い[ 2] 。
歴史
キイチゴ属の植物は果実 に甘みと酸味があり、世界各地で人間の食用にされてきたが、特にヨーロッパ 人の嗜好に合い、ヨーロッパ原産、及び彼らが進出した先、特に北米大陸原産の野生種がヨーロッパ系を中心とする人々によって、盛んに交配、品種改良を施されて果樹としての栽培品種群を生み出してきた。
ラズベリーは、16 - 17世紀ごろイギリス で栽培化された。最初の栽培の記録は1548年である。18世紀後半にはいくつかの品種が北米に導入されたが、風土の違いから大規模には栽培されなかった。19世紀に北米の種が栽培化され、ヨーロッパに移入されたり交配されたりした。
種類
イエローラズベリーまたは、ゴールデンラズベリーと呼ばれている種。
ラズベリーの花
ラズベリーやフランボワーズとは、本来はヨーロッパに自生するラズベリーをさしていたのであろうが、果樹としては特にヨーロッパキイチゴ (Rubus idaeus subsp. idaeus )を原種や交配親とする栽培品種を指すことが多く、また広義には果床が木質化し、熟すと果床上に形成される集合果と果床が分離するキイチゴ属および栽培品種群全体をラズベリーやフランボワーズの名で呼ぶ。
この観点に立てば、日本に自生するキイチゴ属の植物は全てがラズベリーに分類されることになる。現に、日本にもヨーロッパキイチゴの亜種であるエゾイチゴ(R. idaeus subsp. melanolasius )やミヤマウラジロイチゴ(R. idaeus subsp. nipponicus )、エゾイチゴの変種のカナヤマイチゴ(R. idaeus subsp. melanolasius f. concolor )、ミヤマウラジロイチゴの変種のシナノキイチゴ(R. idaeus subsp. nipponicus f. marmoratus )、イシヅチイチゴ(R. idaeus subsp. nipponicus var. shikokianus )が分布する。
クロミキイチゴ Rubus occidentalis
果樹としてはヨーロッパキイチゴを原種とするもの以外に、北米大陸原産のアメリカイチゴ (アメリカンレッドラズベリー; R. strigosus )やクロミキイチゴ (ブラックラズベリー; R. occidentalis )を原種とするものが重要である。これらの選抜や交配で生み出された品種群は、果実の色で赤ラズベリー、黒ラズベリー、紫ラズベリーに大別されるが、黒ラズベリーをキイチゴ属のもうひとつの重要な群であるブラックベリー と混同しないように、注意が必要である。
主な種
エビガライチゴ Rubus phoenicolasius
Idaeobatus 亜属の主な種をあげる。ただしこのほかにも、名前にラズベリーを含む種は多い。栽培化されているのはこれらのうちごく一部である。
Rubus arcticus - チシマイチゴ (Arctic Raspberry, Arctic Bramble)
ナガバモミジイチゴは西日本に分布する本種。モミジイチゴは東日本に分布する地理変異種。
栽培
生産量 (トン ) 2003-2004 FAOSTAT (FAO )
ロシア
95 000
26 %
110 000
28 %
セルビア
79 471
21 %
79 180
20 %
アメリカ
48 535
13 %
50 000
13 %
ポーランド
42 941
12 %
42 000
11 %
ドイツ
20 600
6 %
20 500
5 %
ウクライナ
19 700
5 %
20 000
5 %
カナダ
14 236
4 %
13 700
4 %
ハンガリー
9 000
2 %
10 000
3 %
イギリス
8 000
2 %
8 000
2 %
フランス
6 830
2 %
7 500
2 %
その他
27 603
7 %
27 890
7 %
合計
371 916
100 %
389 061
100 %
栽培においては最も簡単な部類に入る果樹 である。樹高は低く、土質を選ばないため、家庭でも手軽に栽培できる[ 2] 。
ただしコガネムシ の食害による枯死や地下茎による過度の繁殖に気をつけるべきである。
農薬 を一切使わずに栽培できるが日本では収穫時期が梅雨 と重なるため雨による灰色かび病 など病気の発生が起こる。
罹病した果実の除去や通気性の確保などが対策として挙げられるが
営利栽培において商品価値を向上させるためにはビニールハウス などの利用が好ましい。
国内における営利栽培はラズベリーやブラックベリー などがほとんどである。
黒ラズベリーの栽培も見られるが、紫ラズベリーは皆無である、尚苗木の流通も同じである。
食用
出荷されるラズベリー
品種により鮮やかな赤色や紫、黒紫色で直径1 - 2センチメートル 程度の果実 をつけ、優れた風味・甘味・酸味がありジャム や洋菓子 、ハーブティー 、リキュール などによく用いられる。ただし果実は日持ちが悪く、冷蔵しても一日と保たないため、まとまった保存は冷凍する必要がある[ 2] 。
果実は小さな球形の実の集合体で、一つ一つに種子 が入っている。種はゴマ 程度の大きさで、種ごと食べられるが、種は固くてやや口当たりが悪い。この集合果は木質の果床からまとまった状態で外れるため、球状の集合果の内側に果床の跡の空洞がある。
日本 では生の果実が店頭に並ぶことは少ないが、ケーキ の飾りなどでよく見られる。店頭ではジャム、シロップ煮の缶詰 、生の果実を冷凍 したものなど、主に輸入品が入手可能である。
香り
ヨーロッパキイチゴ Rubus idaeus の主な芳香族化合物 としてラズベリーケトン が含まれる[ 3] 。キウイフルーツ 、桃 、リンゴ 、カエデ 、松 の木の樹皮などにも含まれる[ 4] 。香料として用いられる[ 4] 。
脚注
出典
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
ラズベリー に関連するメディアがあります。